ep.65 最悪の戦い
「ぐあああああああああああああああああああ!?」
「ぐ、グートさん!?」
紫色の液体を浴びたグートが突然、絶叫を上げた。
「うっ……!? ぐぅっ……!? な、なんだ、これ……!? 体が、熱い……!? ぐあああああああああああああああああああ!?」
グートの全身から、青と紫の炎が燃え上がる。
その炎の熱さは、離れているヨミ達にも伝わる程だった。
「これが、ヴェノムカーデの毒熱……!?」
「まさか、これほどまでとはね……!」
「な、なんなんですか、これ……?」
グートから放たれる熱波に耐えながら、ヨミは謎の男性に尋ねる。
「あれはヴェノムカーデの毒と魔法が混ざった危険な液体さ。人体にとてつもない力と肉体を与える代わりに、代償として使用者の命を奪う。この熱は命が削られていくことにより生じるものだ……。こんな危険な物を学生に渡すなんて……何を考えているんだあの男は……!」
男性は、ヨミの質問に答えながら奥歯を噛み締めた。。
「ど、どうすれば助けられるんですか……!?」
「君は自分を殺そうとした人を助けたいのかい?」
「そ、そんなの当然じゃないですか! 自分を狙ってきたから見殺しにしていいなんて、そんな訳ない! 目の前で苦しんでる人がいたら助けたい! 救いたい! それに、グートさんがこうなってしまったのが僕のせいなんだとしたら、しっかりと話して、お互いに理解し合って、それで解決したい! 全ての物事を生と死で決めるなんて、間違ってます!」
ヨミのその答えを聞いて、謎の男性は念話をクロノスドラゴンに送る。
(彼は純粋で透き通ってるね。こっちの心が浄化されそうだよ)
(あぁ。その純粋さが甘すぎて、時に邪魔になる時もあるがな)
(まぁ、それが彼のいいところだ。こういう子は中々いないから、大事にしてあげてね)
(善処するよ)
二人は念話を終え──、
「彼を助ける方法は簡単ではない。それでも、やるかい?」
「はい!」
「分かった。では、まず三人で彼と戦う。そして、彼を倒すんだ。あの液体は、かけた人間が敗北しないかぎり、力を失わない」
「はい……! グートさんの為に僕、頑張ります!」
「うん。その意気だ。タイリもいいね?」
「あぁ。それと、俺はクロノスドラゴンだ」
「ごめんごめん。それじゃあ行こうか。ヨミ君、クロノスドラゴン!」
「「あぁ!(はい!)」」
グートVSヨミ、クロノスドラゴン、謎の男性の戦いが始まった。
☆ ♡ ☆
「ぐはっ!?」
院舎の壁に背中を打ち付けるヨミ。
グートに吹き飛ばされてしまったのだ。
「「ハァァァァァ!!」」
クロノスドラゴンと謎の男性が同時攻撃を仕掛けようとするが、それを──、
「ハァアアア!!!」
「「ぐあああ!?」」
回避しつつ、二人に強力な掌底を打ち込んだ。
掌底を受けた二人は、ヨミがいる方とは真逆の方向へ吹き飛んだ。
「はぁはぁ……! ここでテメェらを、確実にぃぃぃ!!!!!」
「や、止めるんだ!!!」
グートが、ポケットから三本の小瓶を取り出し、その中に入っている液体を全て浴びた。
「「「っ!?」」」
「ぐっ……!? ぐああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
グートの脇から腰にかけて、ムカデのような鋭い足が生え、尾てい骨からはムカデの胴体が生えている。それがまるで尻尾のようにも見える。
額には触覚が生え、目も白目の所が黒くなり、黒目が紫色の変化した。
「ぐ、グート、さん……!」
痛む体をなんとか動かし、這いつくばりながらもグートに近づこうとするヨミ。
だが──、
「っ!? ぐあああああああああああ!?」
突如、ヨミが悲鳴を上げた。
「「っ!?」」
二人は、ヨミの悲鳴に驚いたが、その前にもう一つ驚いた事があった。
それは、ヨミから離れた位置に立っていたはずのグートが、ヨミの背中の上に立っていたから。
「あの力……かなりマズイかもね……」
「どうする……このままでは……」
「…………………ヨミ君には悪いけど、もう手段は選んでられないね。覚悟を決めよう」
グートはどうなるのか、そして謎の男性が選ぶ選択、覚悟とは?
次話は6/22に投稿予定です!
お楽しみに!
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