ep.64 始まる……戦い……
「そうだ……俺は……俺はお祖父様の為に……いや……! 俺は母様と父様の為に!!! 父様を殺したお前を! お前を殺す為にぃ!!!」
グートは、ヨミに向かってヴェノムカーデを放った。
「させないよ」
「チッ……!」
放たれたヴェノムカーデを、謎の男性は軽々と弾き返してしまう。
「お前だけは……お前だけは許さない……俺の、全てを奪った、お前だけは……!」
グートは手を上に突き上げる。と、散らばったヴェノムカーデ達が一箇所に集まりだす。
「へぇ〜。集束魔法か。珍しいね」
「感心してる場合か! 一体でも面倒くさいヴェノムカーデが集束したら、さらに厄介になるぞ!」
「そうだねぇ〜。じゃ、サクッといっちゃおう」
謎の男性が集束し続けるヴェノムカーデに手を翳すと、一瞬にしてヴェノムカーデが散ってしまった。
跡形もなくバラバラに。
「なっ!? お、お前……一体、何を……!?」
「別に何もしてないよ? ただ、集束している核を潰しただけさ」
「テメェは一体なんなんだ!? さっきからチート級の力ばっかり使いやがってよぉ!」
「ふふ。チートねぇ。嬉しい事を言ってくれるね。まぁ、僕もそろそろ限界が近いんだけどね……」
「お前、無理して出てきたのか?」
「うん、まぁね。あの子がいないタイミングじゃないと出てこれないからね」
「ったく。無理すんなよ」
「ありがとう。でも、ここで引くわけにはいかないよ。このままだと、あの子はヨミ君を殺してしまう。それだけは防がなければならない」
「だな。二人で守るぞ!」
「あぁ!」
クロノスドラゴンと謎の男性は、怒りを露わにするグートと対峙する。
ヨミを背後に隠しながら。
「ざけんな……ざけんな……ざけんなぁぁぁぁ!!! 俺は! 俺は! 俺はぁ!!! そいつを殺さなきゃならないんだぁ!! 絶対に! 絶対にぃ!!!!」
グートはもはや泣いているのではないかと思うほどの叫びを上げた。
その叫びに、ヨミは顔を暗くしていた。
「なぜそこまで僕を……」
小さく独り言ちたヨミの言葉に、謎の男性が答えてくれた。
「さっき彼の過去を見た。どうやら、父親を亡くし、母親が目覚めなくなってしまったらしい。それがなぜか君のせいになっているらしい」
「な、なるほど……?」
ヨミはよく分かってなかった。
両親の事は分かった。しかし、それが自分のせいとはどういうことなのか。会った事もないのに。
「ああああああああああ!!! うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇ!!!! テメェら全員まとめて、ぶっ殺してやる!!!!」
グートの顔は必死だった。
ここで全員を殺さないと、自分が殺されてしまうのではないかと言うほどに。
「これがあれば……!」
「そ、それは!?」
グートが小瓶をポケットから取り出す。
その中には、紫色の液体が入っている。
それを見た謎の男性が、驚愕の表情を浮かべた。
「あれはなんだ?」
クロノスドラゴンが尋ねる。
「あれはヴェノムカーデの毒と魔法を混ぜた危険な物だ……! なぜ彼があれを……! そもそもどうやってあれを……!」
謎の男性は動揺していた。
先程までの落ち着いた様子がなくなっていた。
「はっ……はは……これで、これでこいつらを……!」
「ヤメロっ!?」
グートは小瓶の蓋を開け、紫色の液体を頭から浴びた。
「な、なんて事を……!」
「これでお前らを! ぐっ!? ぐっ……!? ぐあああああああああああああああああああ!?」
「ぐ、グートさん!?」
グートが突然、絶叫を上げた。
連続投稿です!
お楽しみください!




