ep.5 楽しい?学園生活
ヨミ達が、学園の寮で生活を始めた翌日。
ヨミはまだ、覚醒しきってない意識の中にいた。だんだんと意識が覚醒し始めてる状態だ。
(ん〜……なんだ、この柔らかいものは……)
ヨミは、右手に感じる心地よい柔らかい何かを答えを求めるように触る。すると──、
「んっ……」
「っ!?」
その声で、ヨミの意識は一気に覚醒した。
(ゆ、ユリアさん!? じゃ、じゃあこの感触は……っ!?」
ヨミは目を開け、隣で眠るユリアを見る。そして、自分の右手が触っている物の正体を確かめる。
(やっぱりーーーーーーーー!?)
ヨミが触っていたのは、ユリアの大きなおっぱいだった。
昨日、デストドラゴンに勝つために揉んだ時の事を思い出したヨミ。
張りがあって、かつ柔らかくて、指がどこまでも沈んでいってしまう。その感触を忘れるはずがなかった。
ヨミはその感触に抗えず、軽く揉んでしまう。すると──、
「んっ……? ヨミ、さん……?」
ユリアが起きてしまった。ヨミは慌てて誤りながら手を引こうとする。が──、
「待って……。止めちゃ、嫌です……」
ユリアがその手を掴み、上目遣いで言ってくる。
「私、ヨミさんにもっといっぱい触ってもらいたいんです……だから、もっと揉んでください……」
ユリアは、右手で掴んだヨミの手を、自分の胸に押し付ける。ヨミが抗えず揉みそうになった時──、
「ちょっとぉぉ! 何やってんのよぉぉ! 抜け駆けは許さないわよ! ユリアの胸を揉むなら、私の胸も平等に揉みなさーーーーーーーい!!!」
エルナが割り込んできた。
この後、ヨミは二人のおっぱいを、二人の気が済むまで揉み続ける事になった。
☆ ♡ ☆
朝から一騒動あったヨミ達。その数時間後。
ヨミ達は、とある教室のドアの前で緊張した面持ちで立っていた。
その教室の中で──、
「えー、今日から授業が始まる訳だが、その前に、この教室の残りのメンバーを紹介する」
教卓に手をつきながら、目の前に広がる沢山の席に座る生徒達を見ながらミリアが言う。すると、生徒達がざわつき始めた。
「はいはい、騒ぐな、静かに! 今から生徒入れるから!」
ミリアが怒鳴ると、生徒達は一旦静まった。しかし、ヨミ達が入室してくると再びざわつき始めた。中には罵声を浴びせる者いた(特にヨミに対しての、男子の罵声が多かった)。
「男子うるさいです! 静かに!」
女子の誰かが言った。
(な、なんか僕、嫌われてる……? と、友達できるかな……?)
皆からの罵声を受け、そんな事を考えるヨミだった。
☆ ♡ ☆
自己紹介を終え、席に着いたヨミ達。ユリアとエルナは当然のようにヨミの隣を陣取る。
ミリアは次の授業の準備の為、、教室を留守にしていた。すると──、
「おい、貴様」
とある男子がヨミの目の前に現れ、声をかけてきた。
「はい?」
ヨミが首を傾げて返事をすると──、
「入学式をサボり、その次の日もサボり、やっと来たかと思えば、女を二人引き連れての登校。いいご身分だな。お前は何様のつもりなんだ?」
声をかけてきた男子は、見下すような視線で睨みながらヨミに尋ねた。
「い、いや、その……何様と言われましても……」
「その口調もどうにかならないのか? 気持ち悪い」
「…………す、すみません……」
男子生徒は、蔑むような目でヨミに悪態をつく。その言葉にヨミは申し訳なさそうに頬を掻きながら謝ると──、
「ヨミが謝る必要はないわ」
エルナが話に入ってきた。その口調から怒っている事が窺える。
ヨミが不思議そうに首を傾げていると──、
「なんでこんなパッとしない奴に、誰よりも格好いいヨミが悪口を言われる必要があるの? 悪いけど、ヨミはここにいるどの男子よりも強くて、格好良くて、頼もしいんだからね。だから、ヨミに悪口言ったり手を出す者は、誰であろうと容赦はしない。もちろん、女子も」
エルナは鋭い視線で生徒達を見回しながら言う。その視線に怯む男子達。一方──、
「はぁ? あんたにすごまれても別に怖くないんだけど? そもそもその子が強いって言うけど、見てないから分かんないし、しかも言うほど格好良くないし、そもそもよく分かんない奴の事なんてどうでもいいから」
一人の女子が言った。その周りには四人の女子が立っている。おそらくこのクラスを仕切っている生徒なのだろう。
この女子が話を始めた途端、他の生徒達は身を潜めてしまっている。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ? 何アンタ? 偉そうに。言っとくけどヨミは本当に強いから」
エルナは負けじと反論する。
「だったら、証明してみなさいよ」
「はぁ?」
「そんなに強いって言うなら、戦って証明してみなさいよ」
「いいわよ。誰が相手をするの?」
「私がしてあげる」
「そんな!」「アイアさん!?」
エルナと言い合う女子──アイア・トーリの取り巻き達が、驚きの声を上げる。
アイアは、おわん形でDカップのおっぱいだ。
「お黙りなさい。この赤髪に私の怖さを思い知らせる必要があるのです。その為には、先程から強いと言われているそこのお方を叩きのめす必要がある。分かってくれますね?」
「はい!」「アイア様流石です!」「勝利を願っております!」「勝つのは当たり前です。コテンパンにしてやってください!」
「お任せください。では放課後、園庭でお待ちしております。怖くなって逃げ出さないでくださいね」
「誰が逃げるか!」
かくして、ヨミとアイアの、よく分からない戦いが放課後に行われる事となった。
☆ ♡ ☆
時は放課後の戦いの少し前。
ヨミの部屋で──、
「ごめん……勝手にこんな事にしちゃって……」
エルナが、頭を下げ謝罪していた。
「い、いえ。気にしないでください。女子と戦うのは少し、気が引けますけど……」
「そんなの気にしなくていい! あんな小生意気なクソ女、ボッコボコのコテンパンにしてやって!」
「い、いや、その、あの……」
ヨミとユリアは、エルナの気迫に圧倒されていた。
☆ ♡ ☆
そして、戦いの時間。
ヨミは今、園庭でアイアと対峙していた。
「逃げずに来た事は褒めてあげます。ですが、逃げなかった事を後悔させてあげますわ!」
少し離れた場所に立つヨミに、啖呵を切るアイア。
「は、はい……。その……お手柔らかにお願いします……」
ヨミはその気迫に押され、たじろぎながらも答えた。
「ふっ。戦いの場においてお手柔らかになんて、通用しないんですよ。その事を分からせてあげます」
アイアは、先程までとは違う、鋭い視線をヨミに向けた。すると──、
「すみません。そうですよね。しっかりと僕も、気を引き締めます」
ヨミもその視線に応えるように、鋭く、油断のない目で睨み返す。
(な、なんなんですの、この人……私の睨みに怯まないですって……? 大体の人は怯むのですが……。それに、この人の目、なんか怖い……どう怖いのか、うまく表せないけど、凄く怖い……)
アイアはそんな事を考えていた。
「ルールの確認を致します。魔術や魔法の使用はなし。単純な肉弾戦のみでの試合とします。相手を降参に追い込むか、有効打を与えた場合、その時点で勝負を終了致します。お二人共、それでいいですか?」
審判役の男子生徒がルールの確認を行う。
「えぇ。問題ないわ」「僕も大丈夫です」
二人がそのルールを承諾する。
「では、両者準備がよければ構えてください」
審判がそう言うと、ヨミとアイアは構えのポーズを取る。ヨミが取った構えを見て、ユリアとエルナは──、
「な、何……? あの構え……」
「ヨミさんらしく、ありません、よね……?」
二人はヨミが取った構えに、違和感を覚えていた。
ヨミが取った構えは、いかにも戦闘を楽しもうとしている人の構えで、両手をグーにして、ステップを踏んでいる。
「では、始め!」
試合開始の宣言がされた直後、ヨミの姿が一瞬にして消えた。
(っ!? き、消えた!? 一体どこに……!?」
アイアが辺りを見回す。と、背後に気配を感じたアイア。後ろを振り返ると──、
「攻撃、しますね」
ヨミがいた。しかも、攻撃を今から繰り出すと宣言までしてきた。そして、ヨミはアイアに向かって右回し蹴りを繰り出す。
が──、
「くっ……!」
アイアはそれを、咄嗟にバックステップを踏むことで回避した。が──、
「このくらいは躱すよな。だが!」
ヨミは間を置かず、次の攻撃へ移った。バックステップをした際に生じる僅かな隙を見逃さず、正拳突きを繰り出した。
一方、アイアは無理に後ろに躱した為、体勢を崩してしまっていた。
(このままでは攻撃が直に……そうすれば私は負ける……魔術を使えば躱すことは容易い。でも、それだとルール違反に……)
一瞬の間に思案するアイア。果たして、彼女が導き出した答えは──、
「風術、巻!」
アイアは風の魔術で、空へと浮かび上がり攻撃を回避した。足元には竜巻のようなものが現れ、その竜巻のようなものが、アイアを浮かび上がらせていた。だが──、
「ちょっと! 魔術を使うのはルール違反でしょうが!」
二人の試合を見ていたエルナが、当然ながら訴えた。エルナが審判を睨むと──、
「こ、この試合、トーリさんの違反行為により──」
試合終了、と言いかけた所で──、
「いえ! 試合は続けましょう」
ヨミが試合続行を提案した。
「ちょ、よ、ヨミ!?」
エルナが戸惑った声を上げる。
「魔術があった方が本気になれるようですので。僕は大丈夫なので、このまま」
ヨミの提案で、魔術や魔法の使用ありでの続行となった。
「っ……。寛大なご配慮感謝します。ですが、魔術を使えるようにした事、後悔しますよ」
「はい」
アイアは、地面に着地しヨミとの距離を置きつつ、言った。その手と足は、本人にしか分からないが小刻みに震えていた。
(くっ……ルール違反を責めて、勝負を終える事もできたのに……て言うか、私がもう終わりにしたいのよ……! だって、この人本当に怖いんだもの……殺されるんじゃないかってくらいに……でも、魔術が使えれば……!)
「こっちのもんよ! 風術、突風!」
アイアが体を回転させ、突風を生み出す。そして、そのままヨミに突っ込んでいく。
「へぇ〜。完璧に風術を操ってる。これが直撃したらかなりヤバそうだ。だが」
ヨミは不敵な笑みを浮かべ、突風を纏ったアイアに突っ込んでく。
『なっ!?』
そんなヨミの行動に、試合を見ていた誰もが声を上げ驚いた。
そして、二人はそのまま正面衝突。吹き飛んだのは──、
「ぐはっ!?」
ヨミ…………ではなく、アイアだった。
「な、なんであいつが!?」
エルナが、吹き飛んだアイアを見て、驚きの声を上げた。他の面々も驚きが隠せないようで、呆然としている。
(な、何……? なんで私が吹き飛んでいるの……? 私は風術・突風で、風を纏って攻撃したのよ……? なのに吹き飛んでいるのは私……この子、なんなのよ!?)
アイアは空中で受け身を取りながら思考する。なぜヨミではなく、自分が吹き飛んでいるのか。しかし、今は考えた所で何も変わらない。
「ふっ! 風術、絵巻!」
アイアは地面に着地すると、新たな魔術を使用する。
アイアが魔術の名を唱えると、アイアの目の前に巻物が現れる。そして、その巻物にアイアが絵を描き始める。
「悪く思わないでね。風の秘術・鳥獣戯画!」
アイアがそう唱えると、巻物の中から様々な絵の動物が出現した。
「あ、アイア様!? さすがにそれは……!?」
「あれを出すとは……本気のようですね……」
「あの少年は、生きて立っていられるでしょうか……?」
「運がよければ、って感じでしょうね」
など、アイアの取り巻き達が口々に言う。
アイアが使った『風の秘術』は、風の魔術の中でも高難易度の魔術。そもそも秘術とはそう簡単に使用もできず、習得すら困難なものである。
そして、アイアが使用した『鳥獣戯画』は、風の秘術の中で、最強の攻撃魔術だった。
「恨まないでね? 鳥獣戯画・散!」
アイアは目の前に立つヨミに可愛らしく微笑み、魔術を唱える。すると、空に飛んでいた様々な動物達が一気にヨミに向かって突進していく。
(ここまで使えるとは、正直侮ってたな。ここまでされたんなら、俺も、一割くらい、本気出さなきゃな!)
「ヨミさん!?」「ヨミ!?」
ユリアとエルナが叫ぶ。
ヨミに鳥獣戯画が直撃する瞬間──、
「ハァァァァァァァァァァァァァ!」
ヨミが体を高速回転させた。すると、アイアの鳥獣戯画の動物達が一斉に消滅した。
「チッ……一割でこれかよ……まだ ”外に出るには、時間がかかるな” …………」
ヨミはふらふらになっていた。
「あっ……………」
自身の鳥獣戯画を破られたのを初めて見たのだろう。目を見開き言葉を失っていた。
風で飛ばされたのか、驚いてなのかは分からないが、アイアは尻餅をついていた。黄色のパンツが見えてしまっている。
そんなアイアは、小さなため息をこぼしながら立ち上がる。お尻についた汚れを手で払った後、両手を上げて──、
「降参。私の負けです」
と、宣言した。
「あ、アイア様!?」「なぜです!?」「そこの少年はふらふら、このまま行けばアイア様の勝利のはずでは!?」「なぜ降参を!?」
など、取り巻きの四人が驚き、慌てふためいている。と──、
「お黙りなさい!」
『っ!?』
アイアが怒鳴り、四人は黙り込んでしまった。
「勝敗くらい、戦ってる自分がよく分かっています。審判、私は降参しましたよ?」
「……………あ、は、はい! この試合、アイア・トーリさんの降参により、ヨミ・アーバントさんの勝利!」
審判が勝敗を決した。
「はぁはぁ……」
ヨミはふらふらになり、倒れそうになる。そんなヨミを──、
「おっと。大丈夫ですか? ヨミ様」
「と、トーリさん……」
アイアが支えた。
「アイアで構いませんわ。私は貴方を認めました。貴方こそが強者です。ですので、どうか私の事はアイアとお呼びくださいな」
「は、はい……」
「それでは、これからよろしくお願い致しますね、ヨミ様。チュ♡」
アイアが、ヨミの頬にキスをした。
それを見たエルナとユリアは──、
「き、き、き、キス……!?」
顔を真っ赤にして慌てふためくユリア。
「アンタ!? 何キスしてんのよ!? それに様って何よぉ!!!」
怒りに狂ったエルナが、ヨミとアイアに近づき尋ねる。
「何って、将来、夫になる方に対して様を付けるのは当然でしょう?」
アイアが当然の如く答えたその一言に──、
『お、夫ぉーーーーーーーーーーーーーー!?』
その場にいた者達の驚きの声が、学園中に響き渡った。
連続投稿なので、この続きはすぐお読み頂けます!
少し短いのですが、楽しんで頂けましたら幸いです!
女の子を書くのは、ものすごく楽しい……♪
これからもっと増えていくと思います♪