ep.56 記憶喪失の【雷撃の閃光】
学園のとある場所で、ワーイ達【雷撃の閃光】達は拘束されていた。
魔法を使い、生徒達を襲ったと見なされ、教師達に拘束された。拘束と言っても、怪我の治療が必要だったので、別棟にある医務室で治療をしながら暴れないように拘束をしている。
眠ったままだった三人。
そのうちの一人、【雷撃の閃光】のリーダーであるワーイ・ヨデスが目を覚ました。
「ここ、は……?」
ワーイは、ベッドの上で目を覚ました。
ゆっくりと上半身を起こす。
「こ、これは……」
ワーイの手には、手錠がはめられていた。
「なんで、僕……」
何が起きているのか分かっていないのか、辺りを見回しながら戸惑っている。
と、その部屋に入室してくる者がいた。
「お〜。目が覚めたか」
入室してきたのは三人。
ミリア、エルナ、リエだった。
「ふん」
「エルナさん、少しは態度を隠してください」
ワーイの顔を見るやいなや、、鼻を鳴らすエルナ。そんなエルナを見ておどおどするリエ。
なぜ、この三人がワーイの元にやって来たのかと言うと──、
「目覚めたばかりで悪いけど、色々聞かせてもらうから」
エルナがそう言いながら、ベッドの脇に椅子を持ってきてそいに腕を組みながら座る。
そう。三人がここに訪れた理由は、ワーイに事情聴取する為だった。
ワーイは、魔法を使い、生徒達を動けなくし、ヨミを襲った。
その狙いはなんなのか、どうしてあんな事をしたのか、あの力はなんなのか。
それを聞きに来た。のだが……。
「ぼ、僕は何か、してしまったのでしょうか……?」
「テンメェ……何白々しい態度取ってんだ、あぁ!? ヨミの事襲っといて知りませんじゃ通じねぇぞ!」
エルナが椅子から勢いよく立ち上がり、ワーイに殴りかかろうとする。だがそれをミリアが押さえ──、
「落ち着け! 気持ちは分かるが、ここで暴れたら、お前が加害者側に回るぞ?」
「くっ……!」
「リエ先生、これは……」
「おそらく、記憶障害、でしょう」
「記憶、障害……!?」
リエの言葉に、エルナは驚きを隠せなかった。
「断言はできませんが、おそらく、記憶に干渉するトリガーのようなものがあり、そのトリガーが引かれたことにより、ヨデスさんは記憶を失ってしまったのだと思われます」
「そのトリガーって……」
「おそらく、魔法、かと」
「っ!?」
「なるほどな……。冒険者で魔法を使えるやつは対して珍しくはないが、一度に大勢の人の動きを制御する事ができる魔法なんて、常人が使えるものではない。その強大な力を得た代償が、記憶の消失、というわけか」
「おそらくは」
ワーイが生徒達の心に干渉し、次々と倒れていったあの力。
あれは、強大な魔法であり、それを使用する代償が記憶の消失だと、リエとミリアは睨んだ。
エルナは、その力を身を持って体験しているので、あの力がどれだけ強大なものだったのかを理解している。
あれほどの力であれば、記憶の消失が代償であったとしても、不思議ではない。
「あ、あの……」
話し込むミリア達に弱々しく声をかけるワーイ。そんなワーイに対し──、
「うっさい! 今は喋んな! 黙ってろ!」
と、エルナが怒鳴った。
元々、エルナ達女性陣はワーイをよく思ってなかった。そんな中でワーイはヨミを襲った。
そして、挙句の果てにはその記憶を失った。
エルナからしたら絶対に許せない。怒りが全くもって収まらないのだ。
エルナに怒鳴られたワーイは、そのまま大人しく黙り込む。
リエとミリアは、そんなワーイとエルナの様子を見て困った表情を浮かべていた。
「そういえば、こいつの仲間は? 魔法を使ったのはこいつだけだから、他の二人は覚えているかも」
「確かにそうですね。お二人の部屋に行ってみましょうか」
三人が部屋を出ようとすると、この別棟の医務室で働く保健医が、慌てた様子で入室してきた。
「リエさん!」
「ど、どうしました? そんなに慌てて……」
「た、大変なんですっ!」
「何があったんですか。落ち着いて教えてください」
「は、はい……ヤコザさんとジャクさんが、死んでしまったんです!!!」
「「「え……!?」」」
記憶を失ったワーイ。そして、死んでしまった……? ワーイの仲間達。
この三人はどうして、こうなってしまったのか。
その答えは、次話で!
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