ep.54 暗躍する陰
日曜日になる前に、投稿できました〜!
少しでも楽しんで、喜んでいただけましたら幸いです!
それでは、本編をお楽しみください♪
ヨミが医務室で目を覚ます前。
ユリア達が書庫に向かってる時の事。
雨が降るその街に、何かから逃げているかのように走る男性がいた。
全身を雨で濡らし、人々をかき分けひたすら逃げ回っている。
雨のせいで空は薄暗い。その薄暗さも相まって男性の恐怖心は増しているのかもしれない。
「はぁはぁ……はぁはぁ……!」
男性は路地裏に入る。
壁に背をつけ、乱れる呼吸を落ち着かせる。
「な、なんだったんだ、ありゃ……あんなの聞いてねぇぞ……」
男性が呟くと──、
『こんな所で何をしているんですか?』
「っ!?」
男性の左横から声が聞こえてきた。
声は偽っているのか、エコーのようなものがかかっていて、男性なのか女性なのか分からない。
姿も真っ黒な大きな外套を身に纏っているので、誰なのかまったく分からない。
「あ、あんた、なんでここに!?」
『あなたが逃げ出すのが見えましてね。このまま任務を放棄されても困ると思って、後をつけてきたんです』
「べ、別に逃げやしねぇよ! だがよ! あんなの ”約束” と違ぇじゃねぇか! あんな、あんなのが出てくるなんて聞いてねぇし、 ”契約と全く違ぇ” !」
『全く……あなたはそれでもAランクの冒険者ですか……? 【灼熱の陽炎】リーダー、マエオ・モカヨさん』
先程から逃げ惑い、息を切らしていた男性はマエオだった。
「るせぇ……! ふざけんなよ……! なんであんな雑魚野郎がドラゴンを召喚してんだよ……! ありえねぇだろ……!」
『まぁ、それについては私もビックリでした。かつてのヨミ・アーバントにはあれほどの力はなかったはず。それなのに、いつの間にか力をつけていて、あの伝説龍、クロノスドラゴンまで手懐けていた』
「く、クロノスドラゴン、だと!? あれは空想上の生き物なんじゃないのか……!?」
『おじい……ううん! ある方の話だと、空想上だとされる生物は全て実在するそうだ』
「ま、マジかよ……そ、そんな奴にどう対抗すれば……」
『はぁ〜。仕方ないですね。私の力を少し貸してあげます。なので、なにがなんでも奴を……ヨミ・アーバントを殺してください』
「うお……!」
謎の人物がマエオに向けて手をかざすと、マエオの体に紫色の光りが集結する。
「こ、これは……! 力が漲る……!」
『それでは頑張ってくださいね、マエオさん』
「あぁ! あんがとよ!」
マエオは、恐怖心がなくなったのか、路地裏から意気揚々と出ていった。
その場に一人残った謎の人物は、外套のフードを取りながら独りごちる。
口調と声音が元に戻り、正体が明らかになった。
その正体とは──、
「しっかり働いてくれよ。クソだるま」
グート・ヴォルアだった。
久々の登場となったあのキャラ!
彼はどうしたのか? そして、今後どうなっていくのか、楽しみにしてください♪
この続きは、日曜日に投稿させていただきます!
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