ep.53 クロノスドラゴンとヨミ
ユリア達四人が廊下で話してる中、ヨミはベッドの上で一人座っていた。
そんな時──、
『おい』
「っ! クロノスドラゴン? ビックリしました。どうしたんですか、急に」
『いや、まぁ、その……貴様がこうなったのは我の責任だからな……』
「え……?」
クロノスドラゴンが声をかけてきた。
「クロノスドラゴンのせいって、どういう……?」
『本来であれば、貴様の記憶は欠けたりはしなかったんだ。だが、我の力の一旦が、思った以上に貴様の体に侵食していたようでな。我を召喚したり、力を行使したりすると、何か代償を払う事になってしまう。らしい』
「な、なるほど……じゃ、じゃあ、僕はもうクロノスドラゴンの力を使わない方がいい……って事ですか?」
『まぁ、極力な。だが、この間のような状況だったり、どうしようもないピンチの時は使え。代償は払ってしまう事になるが、我ができるだけ最小限に抑えてやる』
「ありがとうございます! クロノスドラゴン!」
『ま、まぁ、そもそも我のせいだからな……』
「クロノスドラゴン? どうしたの?」
『な、なんでもない!』
「本当にありがとうございます。ミャナさんを救出した後も変わらず、力を貸してくれて」
『か、貸したくはなかったんだがな。せっかく助けたあの女を殺されるのも癪だったからな。…………』
「クロノスドラゴン?」
急に黙り込んでしまったクロノスドラゴン。
そんなクロノスドラゴンを心配し、ヨミは優しく声をかける。
すると──、
『まぁ、なにはともあれ、無事で良かった。これからは我も気にかけといてやる。だから心配するな。……………少年』
「っ!」
クロノスドラゴンとの会話はそこで終わったが、クロノスドラゴンのヨミの呼び方が変わった。
『貴様』から『少年』。
ただそれだけなのだが、ヨミにとってはとても嬉しい事だった。
そしてヨミは決意する。
「僕ももっと、強くなる……!」
と。
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