ep.35 謎の存在?
ミャナを救出した次の日。
学園の教師達は、損壊した校舎の修理に追われていた。
「見ての通り、私達はとても忙しい。よって、しばらく休みになった。好きな事をして過ごすように」
教室でミリアが生徒達に言う。
それを受けて、生徒達はしばらくの期間、自由に過ごす事となった。
ヨミ達は、全員揃って街に出ていた。
「たまにはこうやって出かけるのも、いいものね」
「そうですね。ミャナさんの救出祝いをどこかでしましょうか?」
エルナとアイアが前を歩く。ヨミ、ミャナ、ユリアが並んで歩いている。
そんな三人にアイアが提案をする。
「あ、いいですね。ミャナさん、何か欲しいものとか、何か食べたいものとかありますか?」
「欲しいもの……ヨミ君の、童貞、とか?」
「っ!?」
「「「はっ!?」」」
ミャナはヨミの腕に抱きつき、上目遣いでそう言った。
それを受けてエルナとアイアが──、
「何言ってんだテメェはぁぁぁぁ!!!」
「今のは流石に聞き捨てなりませんよぉ!」
「よ、よよよよよよよよよヨミさんのさ、さささささささ最初は、私がっ!」
「「「ユリア(さん)!?」」」
「あっ……な、なんでもないですぅぅ!?」
ユリアは自分が言った事の意味に気がつき、顔を真っ赤にしてその場にうずくまってしまった。
「み、皆さん落ち着いて……」
「ヨミはこいつとしたいの!?」
「ヨミ様!?」
「ふぇ!? な、なんでそうなるんですかぁ!?」
ヨミはエルナ、アイアの二人に詰め寄られ、どうしていいかわからなくなってしまった。
「二人とも、私のヨミ君を困らせないで」
「「わ、私のぉ!?」」
「私は、もしヨミ君の童貞をもらえなかったとしても怒ったりしない。愛の深さは誰にも負けないと思ってるから。でも、三人は違うみたいね」
「「ぐぬぬぬぬぬ……!」」
「はわわわわわ……!」
五人が騒いでいると──、
ドガァァァァァァァァァァンッッッ!!!
『っ!?』
突如、街の一部が爆発した。
「な、何!?」
「あそこは、宿屋が多くある所ですわ!」
「ヨミ君!」
「ヨミさん!」
「行きましょう!」
五人は、爆発が起こった場所に向かう事にした。
☆ ♡ ☆
「うふふ。いいわ、もっとやりなさい。そして、あの子達をおびき出すの。ん? うふふ。来たわね」
薄い緑色のドレスを着た女性が、空に浮かび地上を見下ろしていた。
そして、その女性が浮かんでいるのは、爆発があった場所から少し離れたところだった。
女性は、その場所にヨミ達がやってくるのを見て、不敵に微笑み──、
「後は頼むわよ。うふふ」
姿を消した。
☆ ♡ ☆
『はぁはぁ……!』
爆発が起こった場所に到着した五人。
「な、何これ……」
「お店が、ボロボロです……」
五人が到着すると、多くの建物が倒壊していた。
「皆さん、警戒を!」
「誰か、いる!」
アイアとミャナが叫ぶ。それを受け、全員が警戒体勢を取る。
「あっは♡ あああ〜♡」
「お、女の子!?」
倒壊した建物の中から出てきたのは、ヨミ達と歳が同じくらいの少女だった。
鎧のような服を着ているが、胸と下半身を隠している面積が少ない為、すぐに見えてしまいそうだった。
だが、ヨミ達が気になったのはそこではなく──、
「な、なんか、様子がおかしくない……?」
「えぇ……どこか、狂ってるかのような……」
少女の様子だった。
全身には大粒の汗をかいていて、常に笑っている。
さらに目にはハートマークが浮かんでいるのではないかと言うくらい、何かに惚れたような目をしている。
「あ〜はぁ〜♡ 獲物ちゃんが来ちゃいました〜♡ これはお仕事、するしかありませんね〜♡」
「っ〜〜〜〜!?」
少女は、ヨミを舐め回すように見つめた後、ヨミの目を真っ直ぐに見つめた。
すると、ヨミは全身を震わせた。
「よ、ヨミ? どうしたの?」
「い、いえ……なんか、悪寒が……」
「あの女性、踊っているように見えて、隙がありませんよ……」
謎の少女は、まるで酔っ払っているかのようにフラフラとしながら踊っているが、攻撃する隙が全く見当たらなかった。
「来る!」
「「「「っ!」」」」
ミャナが剣を構えながらそう告げると、全員が臨戦態勢になった。
そして、謎の少女が向かって来て──、
「ここで全員、殺しますぅ〜〜〜〜♡♡♡」
両手に持った扇を振り回しながら、攻撃を仕掛けてきた。
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