ep.30 届かない思い
「行くよ! 火術、弾!」
「風術、竜巻!」
「重力術、圧迫!」
エルナ、アイアの二人がリーサルに向かって魔術を放つ。リーサルはその放たれた魔術に向かって魔術を使用。その二人の魔術を打ち消した。
「あの術、厄介ね……」
「エルナ、私が竜巻を多く発生させます。そこに火術をできるだけ多く乗せてください」
「え? でも結局は消されない?」
「私の考えが正しければ、大丈夫です」
「ん? よく分かんないけど、分かった」
「じゃあ行きます。風術、竜巻・多!」
アイアが魔術を使用。その魔術は先程までとは異なり、発生した竜巻の数が一つではなく五つになっていた。
そこに──、
「火術、弾・連!」
エルナが多くの火弾を乗せた。
竜巻に乗った火弾は、螺旋を描いてリーサルに向かっていく。
「へっ。学習しない馬鹿共だな! 重力術、圧迫!」
リーサルは、その竜巻に先程同様に重力術を使用した。
だが──、
「なっ!? なんで消えない!?」
「あなたの重力術には弱点があります」
「弱点、だと?」
「えぇ。あなたの重力術は、あなたが見ていて、狙いを定めたものにしか使用できない。つまり、一斉に多くの魔術を放ち、死角に入れば、それを防ぐ事はできない」
「ぐっ……!」
「この一瞬でそれを把握するなんて……」
アイアは、リーサルの魔術の弱点を見抜き、魔術を使用していた。
それに対して、エルナは関心していた。
「さぁ、死角からの魔術を食らいなさい!」
「クソが!」
アイアとエルナの合術が、リーサルに直撃する瞬間──、
ズシャァァァァァァァンッッッ!!!
「「あっ!?」」
「へっ」
魔術が全て、斬られてしまった。
この中で、『斬る』攻撃をするのは、エルナともう一人──、
「ミャナ!」
ミャナだった。
ミャナは、魔術を斬り伏せた後、地面に着地し剣を鞘に収め、リーサルの隣に並び立った。
「あんたねぇ!」
「落ち着いてください。ミャナさんの相手はヨミ様とユリアさんに任せましょう」
「そうね。私達はあのガキを」
「えぇ」
「よくやった、女。珍しく役に立つじゃねぇか。でも、ここはアタシに任せていい。お前はあっちの二人を相手にしろ」
「……………」
リーサルの指示を受け、ミャナは無言のままヨミとユリアがいる方へと向かった。
「さぁ、第二ラウンドだ!」
「「っ!」」
リーサルVSアイア、エルナの戦いが始まった。
☆ ♡ ☆
「ミャナさん……」
ヨミとユリアの前には、剣を抜刀したミャナが立っていた。
「ミャナさん! 僕です! ヨミです! 目を覚ましてください!」
「ミャナさん!」
「………………」
二人が呼びかけるが、ミャナからの返答はない。
それどころか、剣を構え、臨戦態勢へと入ってしまった。
「くっ……ミャナさん……やるしか、ないか……」
『おい。何を躊躇っている?』
「クロノスドラゴン……!?」
『貴様はあの女を助けるために、我の力を欲したのだろう? であれば、戦わなくてどうする。傷つけるのが怖いのは分かる。が、覚悟を決めねばいつまで経っても助ける事などできんぞ』
「はい……もう迷いません。僕は、ミャナさんを助けたい。だから、戦います!」
ヨミは、ユリアを背後に立たせ、ミャナと対峙した。
「ヨミさん……」
「大丈夫です。僕が必ず、ミャナさんを元に戻してみせます!」
心配そうな表情を浮かべるユリアに、ヨミは振り返り微笑む。
そして、自身の覚悟を口にし、再びミャナに向き合った。
「それじゃあ、行きますよ、ミャナさん!」
「………………」
二人は走り出した。
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