表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/138

ep.29 リーサルとミャナ

 ヨミ達が、学園に向かっている頃。

 ヨミ達の監視をしていた【三術姫(さんじゅつひめ)】の三人は、どこかの部屋に先に戻っていた。


「あ〜結局あいつらのイチャイチャと、クロノスドラゴンの力を手に入れるところを見ただけだったな〜」

「うん。あんなに朝早起きしたのに、結局監視するだけ……正直、疲れた……」


 リーサルと羊のような角を模した髪型をして、どこか眠そうな顔をした少女──シーサルの二人がソファに座りながら不服そうに言う。

 それに対し──、


「二人とも? あの方の意向に背くような発言は、ワタクシが許しませんよ?」


 猫の耳を模した髪型をしており、キリッとした目元が特徴的な少女──エーサルが笑顔で言ってきた。その笑顔は不気味なくらい怖かった。

 この三人の共通点は、チャイナドレスのような服を着ていて、小学生くらいに幼いというところだった。

 リーサルが黄色、エーサルが紫、シーサルが水色。

 髪色は服と同じで、リーサルが黄色。

 エーサルが紫。シーサルだけが唯一違くて、髪色は銀白だった。


「「ご、ごめんなさい……」」


 リーサルとシーサルの二人は、シュンとした表情を浮かべて、エーサルに謝罪をした。


「分かればよろしいのです。それにしても、あのお方の力を、こんな女を操るために使うとは。なんと罰当たりな」


 エーサルがそう言いながら、少し離れた場所を見る。

 そこには、力なくただボーっとしているミャナが立っていた。

 その顔は無表情で、瞳には光りがなかった。


「ホントにな! あのオッサン、あのお方の力をなんだと思ってんだろうな!」

「あのオジサン、嫌い」

「…………一行が戻ってきましたね。リーサル。今日の夜、行けますか?」

「もちろんだぜ! あいつらをコテンパンのギッタンギッタンにしてやんよ!」

「頼みましたよ。帰ってきた時に狙えと、あの方も仰っていましたから。そこの女! あなたも行くんですからね。くれぐれもリーサルの足を引っ張らないように」

「……………」

「はぁ〜……人形と言うのは困ったものですね」

「大丈夫だぜ! いざとなったらこいつ、殺すから」

「そうしてください」


 リーサル、エーサル、シーサルの三人は、夜に備えて何か準備を始めた。


 ☆ ♡ ☆


 学園に帰ってきたヨミ達。

 現在は、ヨミ達の教室に集まっていた。

 ヨミはと言うと、まだ目を覚ましてはいなかった。

 その為、机の上に寝かせている。


「みんな、おかえり。無事でよかったよ」


 ミリアが、ホッとした表情でユリア、エルナ、アイアに向かって言う。


「ご心配をおかけしてしまい、すみません」

「まさか、二週間も経ってるなんて思わなかったからね」

「ごめんね、お姉ちゃん」

「みんなが無事ならそれでいい。責めたりはしない。色々と話を聞きたいところだが、みんな疲れてるだろう。今日はもう休んで、また明日、話を聞こう」

「「「はい」」」


 そう言って、その場は解散になった。

 ユリア達はヨミと共に、寮の部屋へと戻った。


 ☆ ♡ ☆


 寮の部屋へと帰って来たユリア達。


「ヨミさん、目を覚ましませんね……」

「そうね……それだけ疲労してたって事なんでしょうけど、心配だわ」

「そうですね。ヨミ様の声が聞こえないと、寂しいですからね」


 三人は、ヨミを見てそれぞれ呟いた。

 と──、


「ん……」

「ヨミさん!」「ヨミ!」「ヨミ様!」

「みんな……?」


 ヨミが目を覚ました。


「ここは……?」

「学園の寮です!」

「私達、帰ってきたのよ!」


 ボーっとしているヨミに、ユリアとエルナが興奮した様子で答える。


「ヨミ様、お水です」

「ありがとう、ございます……」


 アイアがコップに水を入れて、飲ませてくれる。

 それでとりあえず落ち着いたのか──、


「ご心配をおかけして、すみません」

「本当よ! もう、めちゃくちゃ心配したんだからね!」

「ヨミさんがこのまま死んじゃうのかと、何度思ったか……」

「私達に心配をかけた分だけ、ベッドの上で可愛がってくださいね? ヨミ様」

「う、うん……。頑張るよ」

「ヨミに、可愛がられる……ぐへへ〜♡」

「ヨミさんに……えへへ〜♡」


 アイアがヨミに提案すると、ユリアとエルナの二人が決して人に見せてはいけないような顔で、ニヤけ始めた。

 これが、つかの間の休息だったと言うことを、この時は誰も知らなかった。


 ☆ ♡ ☆


「さぁ、行くぞ! 着いてこい、女!」

「……………」


 リーサルとミャナが、学園の敷地内に侵入していた。


「重力変化術・重槍(じゅうそう)!」


 リーサルは、校舎を攻撃し始めた。


 ☆ ♡ ☆


 ドガァァァァァァァァァァンッッッッ!!!


「「「「っ!?」」」」

「な、何!?」

「校舎が揺れました!?」

「校舎に攻撃を受けている?」


 リーサルの攻撃で、校舎は凄まじい衝撃を受け、寮にいる生徒達は全員、ざわめき始めていた。

 ヨミ達は、なんとなく予想ができているのか、驚きはしたものの、冷静に状況を判断する。


「とりあえず、外に行きましょう!」

「はい!」「うん!」「えぇ!」


 ヨミの号令で、四人は外に出た。


 ☆ ♡ ☆


「お、来た来た〜」

「あれって!」

「三術姫のリーサル!」

「「っ!?」」


 外に出て、校庭の方に行くと、そこにはリーサルとミャナが立っていた。


「あれが、伝説の三術姫……」

「あ、ミャナさん!」


 アイアがリーサルを見て警戒をしている隣で、ユリアがミャナを指さし、名前を呼んだ。


「あんの馬鹿……何やってんのよ! 洗脳なんかに負けてんじゃないわよ!」

「ミャナさん!」


 エルナとヨミがミャナに呼びかける。


「……………」


 しかし、ミャナの反応はない。

 ミャナは、左手を左腰に携えた剣の柄部分に添えており、いつでも抜刀できる状態にいた。


「いつでも私達を斬る準備はできてるってか……! いいわ! そっちがその気なら、こっちだってやってやる! ヨミ!」

「はい! ミャナさん、貴女を絶対に元に戻してみせます!」


 ヨミ、エルナ、アイアが並び、その少し後ろにユリアが立つ。


「いいね! じゃあ、殺し合いと行こうぜ!」


 互いに臨戦態勢になったヨミ達。

 そして、リーサルの一言で、戦いが始まった。

 連続投稿ですので、すぐに続きをお読みいただけます!


 続きをどうぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ