ep.26 龍術契約
「行きます!」
「来い!」
クロノスドラゴンとヨミによる、激戦が幕を開けた。
「業火、焔黒拳!」
「ンヌッ!? 黒い、炎、だと!?」
ヨミの放った拳は、クロノスドラゴンの顔に命中。倒れはしなかったが、クロノスドラゴンはヨミが手に纏った炎を見て驚いていた。
「まだまだ行きます! 業火、焔黒弾!」
「グオオオオオオ……!?」
ヨミは黒い炎の弾を無數に出現させ、それをクロノスドラゴンに放つ。
その全てがクロノスドラゴンに命中。クロノスドラゴンの体に火傷を残した。
「まだまだ! 業火、焔黒蹴!」
「ググゥ……!?」
ヨミが跳び上がり、両足に炎を纏わせ右足、左足と順番にクロノスドラゴンの顔に蹴りを食らわせた。
「はぁはぁ……」
ヨミは着地し、ファイティングポーズを取りながら息を切らす。
その視線は、クロノスドラゴンを捉え、油断なく見据えている。
「我に攻撃を一度のみならず何度も当てるとは。流石に驚いたぞ。だが、これでこそ戦っていると実感できる! さぁ、もっと我を楽しませてくれ!」
「もちろん、です……! まだまだ、行きます……」
バサッ。
「ヨミ!?」「ヨミ様!?」「ヨミさん!?」
ヨミは、倒れてしまった。
ヨミが倒れてしまった事に驚いた三人は、フラフラしながらもなんとか立ち上がり、走ってヨミに近づく。
「ヨミ! ヨミ、しっかりして!」
エルナ達の呼びかけに応えないヨミ。
「安心しろ。気を失っているだけだ」
「そ、そう……」
クロノスドラゴンの言葉に、エルナ達は少しだけだが安堵した。
「男は気を失い、貴様らは満身創痍。ここまでだな」
「ま、待って!? わ、私はまだ戦える! だから、終わりにしないで!」
「わ、私だって戦えます! ヨミ様の代わりに戦いますわ!」
「わ、私だって……!」
と、クロノスドラゴンに必死に訴えかける三人。
ここで終わってしまえば、きっとクロノスドラゴンは力を貸してくれないだろう。
自分達はクロノスドラゴンを満足させられていない。そう思っているから。
「無理をするな。これ以上戦えば、命を落とすぞ」
「で、でも……!」
エルナ達は目に涙を浮かべる。
「何やら勘違いをしているようだが、我は『ここまで』と言っただけで『満足してない』とは言っておらんぞ?」
「「「え……?」」」
エルナ達は、クロノスドラゴンの顔を見上げる。
「確かに、貴様らは弱い。我が納得するような力は見れなかった。だが、満足はした」
「「「え……?」」」
クロノスドラゴンの口から『満足』と言う言葉が出て、三人は目を点にした。
「我に敗れても何度も立ち上がる三人。そして、我に何発もの攻撃を打ち込んだ男。我にあそこまで攻撃を打ち込んだのはこの男で ”二人目” だ。かっかか! よって、我はこの戦いに満足した」
「と、と言う事は……」
「貴様らに、我の力を貸してやろう」
「「「っ〜〜〜〜!」」」
クロノスドラゴンの言葉に三人は歓喜した。しかし、その次の瞬間──、
「「「…………………」」」
三人は気を失い、倒れてしまった。
そんな三人を見て、クロノスドラゴンは──、
「ふん。この時代の人間は、中々見どころがあるな」
と、少し嬉しそうにはにかみながら呟いた。
そして、どこまでも続く天井を見上げ──、
「この時代に我を ”復活させた意味”、今なら分かるやもしれん。なぁ、 ”クィンユリア” よ」
と、誰かを馳せるように優しく呟いた。
☆ ♡ ☆
『ん……ここは……』
『ここはお前の意識の中だ』
『あなたは……?』
『我はクロノスドラゴンだ。今は直接、お前の意識に話しかけている』
『意識に……?』
『あぁ。お前は今、気を失っているからな』
『気を……そうだ、僕……戦いの最中に倒れて……とう言う事は、失格、ですよね……』
『貴様は何か勘違いしているようだな』
『え……?』
『我がどうしてこうしてわざわざ、貴様の意識に話しかけているのか。不合格ならわざわざしたりはしない』
『そ、それじゃ……』
『あぁ。我は満足した。よって、我の力を貸してやる』
『ほ、本当ですか!?』
『あぁ。我に二言はない』
『あ、ありがとうございます……!』
『だが、決して勘違いするなよ?』
『え……?』
『我は力を貸すだけだ。決して貴様らを認めた訳ではない。貴様らの命令に従うつもりはないし、聞くつもりもない。貴様らの誰が傷つこうが我には関係ない。よって、誰が死のうと、我は一切関与しない』
『そ、それでも、今、力を貸してくれるだけで十分です……!』
『ふん。ならば手を出せ』
『て、手……?』
『あぁ。契約を結ぶ』
『契約……』
『【世界の理、世の万象、全ての摂理に乗っ取り現象を引き起こせ。締結、龍術】』
『あ……』
『これで貴様は、いつでも我の力を引き出す事ができる。まぁ、一部だがな。操られた少女を助ける事くらい、簡単にできるだろう』
『で、でも、僕は魔術が……』
『貴様は馬鹿なのか? この術は、魔術をある程度の階級まで使用できる者にしか付与できん。契約なんて特にな。貴様は付与だけでなく契約までできた。それはつまり、貴様には魔術の才能があると言う事だ』
『僕に魔術の、才能が……』
『そろそろ意識が戻るな。我の力を使いたい時に、手に触れ【龍術】と唱えよ。さすれば、我の力を一部使わせてやる。だが、むやみやたらに使うなよ? 我の力は危険だからな』
『は、はい……!』
『それでは目覚めるがいい』
『は、はい……! あの!』
『なんだ?』
『本当に、ありがとうございます……!』
『ふん』
ヨミの意識が覚醒したのか、ヨミがクロノスドラゴンの前から姿を消す。
真っ白な空間に一人残ったクロノスドラゴンは──、
『奴は、気づいておらぬか。自分自身が ”特別な人種” であると言う事を』
と、呟き、姿を消した。
投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ございません……!
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この続きは水曜日か木曜日に投稿したいと思っております!
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