ep.25 ヨミの強さ
「水術、泡弾!」「風術、竜巻!」
「ハァァァァァァァァァ! 剣術、神速の雷剣!」
ユリア、アイアの二人が後方から魔術を放ち、エルナが剣術を使った近接戦闘でクロノスドラゴンに攻撃する。
「かっかか! 見事な連携だ。だが、甘い!」
「「「くっ……!?」」」
クロノスドラゴンが、咆哮を上げる。それだけで凄まじい衝撃波が生まれ、三人は吹き飛びそうになってしまう。
だが、三人はなんとか耐える。
「貴様らに、術の本質を見せてやる。ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
クロノスドラゴンが雄叫びを上げると、クロノスドラゴンの周囲に、火、水、風、雷、土、氷の光弾が無数に出現する。
「い、一気に六種族の魔術……!?」
「しかも、数が多い……!?」
「術とは、こう使うのだ!」
クロノスドラゴンは、その無數の光弾をアイア達に放った。
その全てがアイア達に向かってる最中──、
(このまま何もできず、みんなが傷つくのを見るだけでいいのか……? いや、いいわけがない! 僕にできること、それは──)
「みんなの盾になり、守る事だ!」
そう叫びヨミは、アイア達の前に割り込む。
そして──、
ボカァァァァァァァァァァンッッ!!!
「よ、ヨミ!?」
ヨミが一人で、無數の攻撃を浴びた。
全身はボロボロになり、フラフラとしている。
「はぁはぁ……皆さん、大丈夫ですか……?」
「それはこっちの台詞よ! ヨミは大丈夫なの!?」
ボロボロになりながら、後ろを振り返り尋ねるヨミに、エルナが逆に聞く。
「僕は大丈夫です。このくらいなんて事ありません。皆さんの盾になりますので、皆さんは思う存分、戦ってください……! 僕にできるのは、このくらいですから!」
「そんな事はありませんが……ですが、ヨミ様のその思い、無駄にはしません! エルナ、ユリアさん、ヨミ様の為にも、絶対勝ちますわよ!」
「えぇ!」「はい!」
アイア達がヨミの前に向かおうとすると──、
「ほぉ〜。この程度なんともないと言うか。中々に舐められたものだな。ならば、これはどうだ!」
「がっ……!?」
ドォォォォォォォンッッッ!!!!
「ヨミ!?」「ヨミ様!?」「ヨミさん!?」
クロノスドラゴンが、太く重たい尻尾を振るい、ヨミを攻撃。
その尻尾はヨミの腹部に命中し、ヨミは勢いよく後方に吹き飛ぶ。
壁に勢いよく衝突し、壁が崩れ、激しく砂埃が舞う。
砂埃が晴れると、ヨミは壁にめり込み、意識を失ってしまっていた。
「「「っ!?」」」
三人が、ヨミの元へと向かおうとすると──、
「戦闘中の敵に、背を向けるか。侮られたものだ!」
「「「ぐっ……!?」」」
背中を向けた瞬間に、クロノスドラゴンが翼をはためかせ、三人に強風を浴びせた。
三人は左右後方、それぞれに吹き飛ぶ。
「翼をはためかせるだけで、この威力……!」
「油断をしていたわけではありませんが、流石伝説の龍ですね……強い……!」
「よ、ヨミさんは、大丈夫でしょうか……?」
「自分が吹き飛びながらも、男を心配するか。貴様は見どころがあるな」
クロノスドラゴンは、ユリアの事を褒める。
一人だけ、倒れながらも後方のヨミの事を心配していたからだ。
そんなヨミは──、
(ぼ、僕……また、駄目だった……?)
意識を手放してしまっていた。
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(あれ、ここは……)
ヨミは、夢を見ていた。
とある家の庭で、幼いヨミと母親が座って会話をしていた。
『ねぇ、おか〜さん』
『ん〜? どうしたの? ヨミ』
『僕には、何ができるのかな……?』
『…………何かあったの?』
『うん……僕、魔法も魔術も苦手で、体力もないから
友達に馬鹿にされるんだ。お前は何もできない無能だって。僕は何もできない無能なの……? 僕は強くなれないのかな……?』
『ヨミは無能なんかじゃないよ』
『ほ、本当……?』
『うん。ヨミの事を一番よく知ってるお母さんが保証する。ヨミは無能じゃない。優しさって言う、一番の能力を持ってるから』
『優しさ……? それって能力なの……?』
『うん。人に優しくできるって、すごいことなのよ? 誰もが簡単にできる事じゃない。それをヨミは普通のこととしてやってるでしょ?』
『うん……』
『だから、それは誰にも真似できない、ヨミだけの能力なの』
『そっか……そうなんだ……! 僕には能力があったんだ!』
『うん』
『でも、僕は強くはなれない、よね……? 体力も全然ないし、魔法も魔術も苦手で使えないから……』
『お母さんはそうは思わないかな』
『え……?』
『ヨミは、魔術や魔法が使えて、体力がないと強くないし、強くなれないと思ってるみたいだけど、お母さんはそうは思わない。だって、強さの形なんて人それぞれだから』
『人それぞれ……?』
『そう。魔術や魔法が使えるから強い。体力があるから強い。それ以外は弱い。なんて、誰が決めたの? もしそれ以外を強さと認めないなんて言う人がいたら、お母さん怒っちゃう』
『お、お母さんは怒っちゃ駄目! 体に障るよ……!』
『うふふ♪ ありがとう。お母さんが何を言いたいのかと言うとね。強さの形は、一人ひとり違うの。ヨミのお友達には、お友達なりの強さがある。ヨミには、ヨミなりの強さがある』
『ぼ、僕の強さって……?』
『そうだな〜。お母さんが思うヨミの強さは──────』
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「う、うぅ……」
ヨミは壁にめり込んだ状態のまま、意識を取り戻した。
ゆっくりと目を開けると、アイア達がクロノスドラゴンと戦っている姿が見えた。
(みんな……)
アイア達は、すでに満身創痍の状態だった。
だが、決して諦めず、立ち向かっている。
そんなアイア達を見て──、
(僕も、諦めちゃ駄目だ……前に、母さんに言われた……。僕の強さ……。それは!)
ヨミは、痛む体にむち打ち、壁から体を剥がし叫ぶ。
「『諦めない心』だ!」
ヨミの声に、ヨミの母の声が重なったような気がした。
それを感じたヨミは、優しく微笑み疾駆した。
そして、その勢いのまま、クロノスドラゴンに拳を打ちつけた。
「グッ……!?」
クロノスドラゴンは、初めて顔に衝撃を感じた為、驚きと痛みの声を漏らす。
そして、そのまま真横に大きな音を立てて倒れ込んだ。
「な、何!?」
「あ、あれは……!」
「ヨミさんです……!」
横たわっていた三人が、顔を上げると、そこにはクロノスドラゴンを殴り終えたヨミが、立っていた。
「皆さん、遅くなってすみません。ここからは、僕に任せてください」
ヨミの背中は、頼もしく、勇ましく見えた。
「ンン……この我に一撃を打ち込むとは。貴様、本当にさっきまでの男と同一人物か?」
「言ってる意味がよくわかりませんが、僕は僕。ヨミ・アーバントです!」
「かっかか! 面白い! いいだろう! ほんの少し、本気を出してやる!」
「あれで本気じゃなかったの……」
クロノスドラゴンの言葉に、絶望の表情を浮かべるエルナ、アイア、ユリア。
そんな中、ヨミとクロノスドラゴンの激しい戦いが始まった。
「行きます!」
「来い!」
この続きは、明日投稿させていただきます!
ヨミとクロノスドラゴンの戦い、楽しみに待っていてくださいね♪
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