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ep.1 三人の出会い

「よし、行くか」


 黒髪の少年が、部屋の前の鏡で自身の服装の乱れを確認し、気合を入れていた。そして家を出る。

 少年の名前は「ヨミ・アーバント」。この春から「(せん)()(えい)(じゅつ)()(じゅつ)学園」に通う新入生。

 入学式は朝九時から始まる。現在の時刻は七時。あと二時間も余裕がある。よって、まだ全然間に合うとヨミは考えていた。


(初日から遅刻なんて、絶対しちゃいけないからね)


 そんな事を考えていると──、


『助けて』


 そんな声がヨミの耳に響いた。辺りを見回すが誰もいない。声は聞こえるのに、人の姿は見当たらなかった。一体どういう事なのか。

 ヨミは、顎に手を当てて考える。が、助けてとはっきりと聞こえたため、放って置く訳にはいかない。

 ヨミは直感を頼りに、声の出どころを探す。

 そして、とある地下へと進む洞窟の入口にたどり着くと──、


『誰か……』


 先程の声が聞こえる。どうやら声の主はこの中にいるようだ。現在の時刻は八時。探すのに一時間もかかってしまった。

 ヨミがいる場所から学園までかかる時間はおよそ一時間。超特急で声の主を探し出せば、なんとか間に合うかもしれない。

 そう思いヨミは、洞窟の中へと足を踏み入れた。

 そんなヨミを追って中に入って行く、人物が一人いた。


 ☆ ♡ ☆


 洞窟の中に入ったヨミ。奥へ奥へと足を進めると、別れ道が。ヨミは耳を澄ます。すると、右側から声が聞こえてきた。

 なので、ヨミは声のする右の道へと向かった。

 そんなヨミに遅れること数分。ヨミの後を追う人物がやって来た。しかし、ヨミの姿はすでになく、どちらに行ったかが分からない。その人物は慌てて、ヨミとは反対の左の道へと進んでしまった。


 ☆ ♡ ☆


 ヨミは、道中にあった階段を降り、地下へと進んでいた。


「ここって確か、()(てい)(そう)、だった気が……」


 そう。ヨミが今いる場所はただの地下ではない。危険なモンスターが数多く生息する危険な巣窟だった。

 この巣窟は、「ダンジョン」と言われる場所にしかないはずなのだが……。

 ヨミが辺りを警戒しながら、ゆっくりと歩みを進めていると──、


「ここはどこなんでしょう……? 私は学園に行かなければならないのに……」


 綺麗な水色の髪をしたショートカットの女の子が立っていた。

 何やらあたふたとしていて、落ち着かない様子だ。ヨミは声の主がこの女の子だと当たりを付け、声をかける事にした。


「あの〜」

「ひぃ!?」


 声をかけられた女の子は驚いたのか、その場にうずくまり、耳を塞いで首を横に振り始めてしまった。

 さらには──、


「ごめんなさい、ごめんなさい! 勝手に入ってしまってごめんなさい! どうか命だけはお助けを!?」


 命乞いまでしてしまっていた。ヨミはやれやれと呆れながら近づこうとする。と、その時──、


『ギャアアアアアアアアアアアア!』


 近くからモンスターの咆哮が。女の子はそれに気づいていないのか、まだ無駄な命乞いを続けている。いや、あながち無駄ではないのかもしれないが。それはさておき──、


「危ない!」


 女の子に向かってドラゴンが突進してくる。ヨミは間一髪の所で女の子を突き飛ばし、攻撃を躱すことに成功した。


「危ないですよ。しっかり周りを見てください」

「あ、あっ……あぅ……」


 ヨミが女の子の上に跨って注意すると、女の子は口をパクパクさせて頬を赤らめる。

 しかし、ヨミはそんな事に構っている時間はなかった。なぜなら先程のドラゴンがまだこちらを狙っているからだ。


(あれは確か『デストドラゴン』。M(エム)H(エイチ)Lv.(レベル)U(ユー)のモンスターで、この地底巣に住むモンスターの中でもかなり危険なモンスターだったはず……)


 ヨミが冷静に分析を進めていると──、


「あ、あの〜……」


 女の子が声をかけてきた。


「ん? なんですか?」


 ヨミが応じると──、


「そ、その……て、手が、む、胸に当たってて……」

「え……?」


 ヨミが下を向き、自身の右手を確認すると、確かに柔らかで弾力がある心地の良いモノに触れていた。と言うより、掴んでいた。


「…………!? ご、ごめんなさい!」


 その状況に絶句し、慌てて手を離すヨミ。そして間髪入れずに──、


「ほんっとうにごめんなさい! 決してわざとじゃないんです! 信じてください……!」


 頭を下げて謝る。すると──、


「信じるも何も、怒っていませんよ? ただちょっとビックリしちゃっただけで、嫌ではありませんでしたし……それに、あなたは私を助けようとしてくれたんですから」


 女の子は優しく微笑み、許してくれた。その表情にホッと胸を撫で下ろすヨミだが──、


(ん? 助ける? あ、デストドラゴン!)


 そう。今、ヨミ達はモンスターに狙われているのだ。それを思い出したヨミ。すると──、


「ギュリャァァァァァァァァァァァ!」


 デストドラゴンが、ヨミに向かって飛んでくる。


「危ない!」


 すると、今度は女の子がヨミを守る為、ヨミの頭を両手で掴み、自分の方へと引き寄せた。

 体勢を崩しそうになったヨミは慌てて手をつく。しかしそれが運悪くまた女の子の胸だった。

 胸に手を置いてしまったヨミ。その手はまるで条件反射のごとく、モニュと揉んでしまった。


「んぅ……」


 半球形の大きなおっぱい。Eカップ以上はあるであろうその柔らかさには抗えず、ヨミは無意識の内に揉み続けてしまっていた。


「んっ……んん……あっ……」


 ヨミは、デストドラゴンに狙われていると言う事も忘れ、胸を揉み続ける。ヨミも男だ。女子の体に興味がある年頃なので、この状況は当然とも言えるのだろうが、それにしては、ヨミの様子はどこかおかしい気もした。

 ヨミが、主張を始めた胸の先端を抓むと──、


「んひゃぁぁぁぁぁぁぁ!」


 女の子が嬌声を上げた。すると、女の子の体がビンク色のオーラを纏い、ウインドウが出現する。

 そこには【ER・Lv1】と表示されている。女の子の嬌声で我を取り戻したヨミは、申し訳なさそうに女の子と目を合わせる。

 すると、ピコンと言う音が鳴った。二人がウインドウを見ると、表示されていた数字が1から2に変わっていた。


「え……? あぁ……」


 レベルが上ったのと同時に、女の子の体が纏うピンク色の光りが輝きを増す。それだけでなく、ほんの少し、女の子の胸が大きくなり、顔も赤くなっているような気がした。

 すると──、


「え……?」


 ヨミの目の前にもウインドウが現れ、そこには【MH・Lv1】と表示されていた。するとその数字が1から2へと変化した。

 ヨミもレベルアップをしたらしい。しかし、ヨミの体にはなんの変化もない。光りが体を纏ったりなどもない。


(この子みたいに目に見える変化はないけど、なんだろう? 力が湧いてくる……)


 ヨミはレベルがアップした事で、少しだけ力が上がっていた。


(これなら、デストドラゴンにも勝てるかもしれない!)


 ヨミはそう考えると女の子の上から降り、上空に佇むデストドラゴンを見据える。


「え……? あ、あの……」


 女の子も立ち上がり、ヨミの背中を心配そうに見つめている。


「勝手に胸を揉んでしまってごめんなさい。この償いは後で必ずします。ですので今は、僕の後ろに隠れていてください。デストドラゴンを討伐します」


 ヨミは横目で女の子を見やり、そう告げる。女の子はそんなヨミの姿に見とれていた。

 それと同時に、デストドラゴンがヨミに向かって急降下してくる。それに合わせて──、


「行きます!」


 ヨミが疾駆した。一瞬にしてヨミとデストドラゴンの距離が縮む。ヨミが攻撃を繰り出そうとする。が、しかし──、


「ぐあ!」


 ヨミよりもデストドラゴンの方が素早かった。デストドラゴンの尻尾攻撃が腹に直撃。弾き飛ばされたヨミは天井に激突し、そのまま地面へと力なく落下した。


「グルルルルルルルルル……」


 デストドラゴンは、一瞬で終わったヨミには興味を示さず、前方で棒立ちになっている女の子に狙いを定めた。


「こ、来ないで……い、嫌……!?」


 女の子は恐怖で足が竦み、その場に尻餅をついてしまう。制服のスカートが捲れ、パンツが丸見えになってしまうが、女の子は恐怖でそれどころじゃなかった。

 女の子が恐怖におののく中、デストドラゴンはゆっくりと距離を詰めてくる。


「グルギャアア!」


 デストドラゴンが女の子に向かって手を振りかざし、切り裂こうとした時──、


「ぐあ!?」


 女の子の目の前にヨミが現れた。ヨミは女の子を力強く抱きしめ、デストドラゴンの攻撃から守った。しかし、デストドラゴンの攻撃はヨミが背中で受ける事となってしまった。

 ヨミの背中には大きな爪の痕が残り、そこからかなりの出血が発生している。


「あ、あの……」


 女の子がヨミに声をかけようとするが、それを遮り──、


「大、丈夫、です、か……?」


 痛みに耐えた声で尋ねた。


「は、はい……」


 目元に涙を浮かべながら答える女の子。


「それなら、よか……った……は、早く……逃げ……て……」


 ヨミは女の子の無事を確認すると、左側に倒れ、気を失ってしまった。


「あっ!? し、しっかりしてください! め、目を開けて!?」


 女の子が必死に呼びかける。が、返事はない。それでも懸命に呼びかける女の子だが、女の子の危機はまだ去っていない。


「グルルルルルルルルル……」


 デストドラゴンがまだ、女の子を狙っている。


「駄目!?」


 女の子がヨミに覆いかぶさり、守ろうとする。

 デストドラゴンが二人に攻撃を加えようとした、その瞬間──、


「どーーーーーーっせーーーーーーい!」


 いきなり上から女の子が降ってきて、デストドラゴンの左目に、落下の勢いを利用して短剣を突き刺した。


「ガァァァァァァァァァァァァ!?」


 突然の出来事に慌てふためくデストドラゴン。すると──、


「今の内に行くよ!」


 女の子がヨミを担いで、水色髪の女の子の手を取り走り出す。

 デストドラゴンは、目に刺さった短剣が抜けないらしく、首を振り暴れている。その為、逃げる三人には気が付かなかった。

 この続きは、日曜日に投稿できたらなと思っております! 投稿できるように、頑張ります!!

 皆様の反応で、投稿話数が増える可能性がございます♪


 面白かったや、もっと読みたいと思っていただけたら、ブックマーク、いいね、評価、ご感想、などなど、ぜひお願い致します……!

 皆様の応援が僕の小説を書く活力となります!

 ご感想を頂けた場合、返信する時間は遅くなってしまうかもしれませんが、必ず返させて頂きます!

 この機会に『龍   岳』をよろしくお願い致します!


『沈黙の剣使』(ちんもくのけんし)

『おにぎりの具、それは……。』

『暗黒魔団』

 未完結ですが投稿しておりますので、よろしければぜひ、こちらも合わせてチェックしてみてください!

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