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最弱の魔法使いが、女子の力を借りて最強に  作者: 龍  岳
第一章 絆 編【人間の悪意】
135/138

ep.130 クロノスドラゴンの散策

 ユリア達に状況説明を終えた翌日。

 ヨミ(クロノスドラゴン)は、街に出向いていた。


「ほう。中々に賑わっている」


 クロノスドラゴンが出向いた街は【ファスティム】と呼ばれていて、農作物が有名である。


 果物、穀物、野菜の生産量を誇っている。


 特に穀物が有名で、 ”お米” がこの街、いや、この国【ノロスタート】ではよく食べられている。


「昔はここまで賑わっていなかったはずだが……」


 ヨミ(クロノスドラゴン)が歩みを進めながら辺りを見回していると──、


「あら! ヨミちゃん!」

「っ!?」


 突然、果物屋の店主であるおばちゃんから声をかけられた。


「今日は一人かい?」

「あ、あぁ」

「そうかい。じゃあ、これ持っていきな」

「うおっ!」


 袋いっぱいに入った梨を渡された。


「これは?」

「ヨミちゃん達好きだろ〜? 梨! いつもよくしてもらってるからね〜! そのお礼だよ〜!」


 手を振ってくれるおばちゃんに対し、軽く会釈をするヨミ(クロノスドラゴン)。

 そのまま梨を持ち、歩き出す。


「これは……エリフンか? すんすん……匂いはエリフンに近いようだが……がぶっ! んん! これ美味いな!」


 どうやらクロノスドラゴンは梨を気に入ったらしい。

 袋に入っている梨をほとんど食べてしまった。


 ☆ ♡ ☆


「いかんいかん。街の調査をせねば」


 口元の梨の果汁を腕で拭いながら、空になった袋をゴミ箱に捨てるヨミ(クロノスドラゴン)。

 ゴミ箱に捨てた後、ヨミ(クロノスドラゴン)は街の散策を再開した。


「ここは……書物がある建物か。ふむ。我は文字が読めん。ここはパスだ」


 ヨミ(クロノスドラゴン)は、日が暮れるまで街を散策した。


 日が暮れ始めた頃。ヨミ(クロノスドラゴン)は人気のない所にいた。

 なぜか。それは──、


「下手くそな尾行を、我が気がつかないとでも思ったか?」

「チッ。バレてたか」

「なんの用だ? 貴様はグルスの犬だろう。勝手な真似はできないはずだ」

「そのグルス様からの命令なんだよ。テメェの動向を見張っとけってな」


 ヨミ(クロノスドラゴン)の背後から、泉霞の教頭であるゴーザが姿を現した。

 どうやら朝からずっとヨミ(クロノスドラゴン)を尾行していたようだ。


 ゴーザの左肩には(いか)ついアーマーが装着されていた。

 エルナにやられた傷は完治しなかったのだろうか?


「んで? ここで殺り合うのか? 我は一向に構わんが、貴様は左肩を負傷中だろ?」

「そのつもりはねぇよ。俺の役目はテメェを見張ること。戦う事じゃねぇ」

「ほう。昔と比べて聞き分けがよくなったんだな」

「グルス様に逆らうなんて、今までの俺はどうかしてたんだ。これからはグルス様の命に従って生きていく」

「つまらん人生だ」

「うるせぇ」


 そう言ってゴーザは、瞬間移動でもしたかのように姿を消した。


「ふぅ。もう時間も遅い。今日は帰るか。面倒くさい奴が見張っているようだからな」


 そう言ってヨミ(クロノスドラゴン)は学園の寮へと帰っていった。

 クロノスドラゴンが言った面倒くさい奴とは、ゴーザ……の事ではなく──。


「まさかバレていたとは……」


 建物の影から、三術姫の一人、大気のエーサルがヨミ(クロノスドラゴン)を見張っていた。


「やはり、侮れませんね」


 エーサルは、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた後、姿を消した。

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