ep.128 それぞれの休息
泉霞叡術魔術学園に帰ってきたユリア達。
森を出た後、冒険者達と話し合い、詳しい報告会は後日開く事となった。
学園に帰ってきた一行は、ひとまず医務室に向かった。
「え、エルナさんは……?」
医務室でしっかりとした治療を受けたユリア達。
そんな中、ユリアはこの場にいないエルナの身を案じた。
ちなみに、アイアはまだ目を覚まさないのでエルナと同じ部屋にいる。
アイアを運んだのはミリアだった。
「エルナさんなら大丈夫ですよ。治術を施すのが間に合ったので、出血も止まり、傷口も少しですが塞がって今は穏やかに眠ってます」
「よ、良かったぁぁ……!」
エルナは無事だった。
出血時間はそれなりに長かったが、治術を施すタイミングが良かったため、なんとか一命を取り留めた。
ユリア、ミリア、エルナ、アイア、ミャナ、リエの六人はそれぞれゆっくり休息を取ることに。
「私、一旦寮に戻る……ヨミ君に会いたい」
そう言いながらミャナは立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。
ミャナがドアを開けると、そこには──、
「お、ここにいたのか」
「ヨミ君!」
ヨミだった。
「ヨミ君……会いたかったぁ! ………ふべっ!?」
ヨミに抱きつこうとしたミャナだったが、ヨミがそれを躱してしまった為、ミャナは壁に衝突してしまった。
「よ、ヨミ君っ!?」
「お前、ヨミじゃないな」
「お姉ちゃん……?」
「我はクロノスドラゴンだ」
「「「「っ!?」」」」
ヨミがそう告げた。
その声はクロノスドラゴンの声で、顔つきも普段の優しいヨミのものではなく、鋭くクールなものだった。
「クロノスドラゴンが体内に宿っているとは聞いていたが……まさか前面に出て会話する事ができるとはな……流石に予想外だ……」
ミリアが驚いていると、ミャナが剣の柄に手をかけながら──、
「あんた……ヨミ君をどうしたの!!! あんたがそうしてるって事はヨミ君に何かがあったって事……! ヨミ君に何があった! 何をしたぁ!」
「今からそれを順を追って説明してやる。そのためにここに来たんだ。だから少し落ち着け」
「シーズさん、落ち着いて……」
「くっ……」
ミャナは剣の柄にかけた手を、ゆっくりと下げていく。
そして、話を聞く体制に入った。
他の三人も、固唾を飲んで聞く体制になる。
そして、ヨミ(クロノスドラゴン)は口を開いた。
「お前らが森に向かった後、こいつの元に四人の刺客が現れた」




