ep.125 ヨミ(クロノスドラゴン)VS四人組
「さぁ、教えてくれ」
ヨミ(クロノスドラゴン)が、ミヤビ、アカネ、サトルの三人にゆっくりと近づいていく。
「ど、どうしますか……?」
「この状況……完全に予想外ですよ……」
「……………」
三人は、ゆっくりと後退しながら距離を取る。
そして、小声でどうするかを話している。
しかし、打開策は見つからず冷やせをかきながら後退するしかできない。
と、そんな時──、
「ダァー!!! ふざけんなよ……! ふざけんなよぉ! テメェごときが俺をぶっ飛ばすなんて許されねぇんだよ……! このクソ雑魚がよぉぉ!!!」
「リョウヤ、今は待てっ!」
壁に激突していたリョウヤが、瓦礫を投げ飛ばしながら立ち上がった。
そして、ヨミ(クロノスドラゴン)に向かって、突進していく。
それを見たマコトが、慌てて声をかける。
が、その声掛けは時すでに遅く──、
「遅い」
「なっ!?」
ヨミ(クロノスドラゴン)が、一瞬にしてリョウヤの背後に回り、リョウヤの背中に手をかざした。
そして──、
「ぐあああああああああああああ!?」
リョウヤは、ミヤビ達がいる方へ吹き飛んだ。
リョウヤは、ミヤビの真横をものすごい勢いで通過し、院舎の壁に衝突した。
「リョウヤ!?」
壁に衝突したリョウヤの元に、マコトが駆け寄る。
「さぁ、お前らもあいつのようになりたくなかったら、我の質問に答えろ。その力、どうやって手に入れた?」
ヨミ(クロノスドラゴン)が、再び近づいてくる。
その様子は、怒っているのかヨミ(クロノスドラゴン)の声は低く背筋が凍ってしまいそうな程だった。
実際、ミヤビとアカネの二人は、先程から鳥肌も冷や汗も止まらなかった。
「あ、あなたに教える事は、何もありません!」
バンッ!
ミヤビがヨミ(クロノスドラゴン)に向かって銃を発砲。
放たれた銃弾は、ヨミ(クロノスドラゴン)に向かって一直線に飛んでいく。
「はっ。こんな物で我に勝てるとでも思ってるのか?」
「え……」
「う、嘘……っ!?」
だが、ミヤビが放った銃弾をヨミ(クロノスドラゴン)は右手で簡単にキャッチしてしまった。
そして、その銃弾を力強く握ると、銃弾は粉となり地面に落ちていった。
「う、嘘……でしょ……」
「み、ミヤビちゃん……に、逃げよう!?」
絶望しきった顔を浮かべ、尻もちをつくミヤビ。
そんなミヤビに駆け寄り、撤退しようと促すアカネ。
しかし、それを許してくれるヨミ(クロノスドラゴン)ではなく──、
「我がみすみす逃がすとでも思っているのか? 舐められたものだな!」
「「「っ!?」」」
ヨミ(クロノスドラゴン)が右手を真上に突き上げる。
と、大気が震え始め、風が吹き荒れ、空も黒い雲が覆い暗くなっていく。
そして、ヨミ(クロノスドラゴン)の右手の中心に、紫色のエネルギーのようなものが収束し始める。
「ミヤビさん! アカネちゃん! 撤退します! すぐに神放を!」
「は、はい! ミヤビちゃん!」
「う、うん……!」
気絶したリョウヤを支えながら、サトルがミヤビとアカネに指示を出す。
それを受けた二人は、その指示通りに動く。
「「「神放・開訪!」」」
三人がそう唱えると、それぞれの目の前に空間が出現した。
「亜空間か」
その空間を見たヨミ(クロノスドラゴン)は、何かを知っているような感じで小さく呟く。
「行きますよ!」
「「はい!」」
そして、三人はその空間の中に入った。
三人が入った次の瞬間にはその空間は消えてなくなった。
「ふぅ〜。あの力……どう考えても四神龍だ……。あの男、どこまで手にしている……? どこまで始まっているんだ……世界の危機は……」
四人がいなくなった事で、ヨミ(クロノスドラゴン)は右手を下げる。
と、エネルギーは消失し、空も明るくなった。大気の震えも収まり風も収まった。
そして、悩ましげな表情を浮かべながら空を見るヨミ(クロノスドラゴン)。
この先に起こる何かを心配するかのように、少し震える声で呟くのだった。