ep.117 ゴーザVSエルナ ②
「剣術、剣閃!」
「なっ!?」
ゴーザはエルナに向かって、剣術を放った。
切っ先から、紫色の閃光が放たれエルナに向かって一直線に向かっていく。
「ぐっ!」
なんとか横に転がる事で躱すことができたエルナ。
しかし、攻撃は一撃だけではなく──、
「剣閃! 剣閃! 剣閃! 剣閃!」
「くっ……!」
連続で放たれる閃光。
その全てを躱しきる……事はできず、最後の一発だけ命中してしまった。
「はは! こいつはいいな! 本当にいい剣だ! 俺の術に耐えられるとは! 気に入った!」
エルナを倒せたと思っているのかどうなのか。ゴーザは剣を見つめながら、声高らかに剣を褒めている。
「おっと」
そんなゴーザに向かって、炎の弾が飛んできた。飛んできたのはエルナがいた方向からだった。
「やはり生きてたか」
「ったり前でしょう……人の剣を、好き勝手使ってんじゃねぇ!!!」
エルナは無事だった。
いや、無事とは言い切れないかもしれない。先程よりもボロボロになっており、出血箇所が増えている。
立っているのも辛いのか、体は左右にフラフラと揺れている。
エルナが生きているという事を、ゴーザは気づいていたようで、エルナが立ち上がってもさほど驚いた様子は見せなかった。
「この剣だって、お前のような雑魚で無能な奴ではなく、俺のような強く、有能な者に使ってほしいと思ってるだろうぜ?」
「確かにそうかもね……私には、剣の技術も努力も足りてない。ミャナのような才能もない」
「それが分かっているなら、なぜ剣を使う?」
ゴーザの問いに、一瞬黙るエルナだったが、力強い視線をゴーザに向け──、
「それでも! 私は剣を使い続ける! 剣の腕を磨き続ける! ヨミに貰ったその剣に、見合えるようになるために!」
ゴーザにそう言った後、エルナは心の中で──。
(それに……剣は、私と ”あの日のキミ” を繋いでくれた大切な物だから……。ね、ヨミ)
と、呟いた。
あの日のキミとは一体……?
それがヨミと、どう関わりがあるのか、それを知っているのはエルナだけだった。