ep.112 リムリVSミャナ ①
アイアとリエがコウトと、ユリアとミリアがシーサルと戦闘を繰り広げている中、別の場所でも戦闘が行われていた。
皆から離れた所で、腰に携えた剣の柄を握り、臨戦態勢を取っているミャナ。
そんなミャナの相手は──リムリ・アイルン。
「あはぁ〜♡ 私の相手はあなたですか〜♡」
「えぇ。ミャナ・シーズ。私があんたの相手。あんたには借りがあるから」
「借り〜? 何を言っているのか分かりませんが〜、楽しく殺し合いましょう♡」
ミャナは、目の前でゆらゆらと揺れながら扇を回しているリムリを睨みつけている。
その睨みに対し、何も感じてないような様子を見せるリムリは、ミャナの言葉に首を傾げながらも楽しそうにしている。
「楽しく殺し合い……あんたの感性終わってんな!」
「感性なんて、人の数だけあるんじゃないですか〜?」
「その喋り方、腹が立つ!」
「腹が立つのであれば〜、殺し合いましょう〜♡」
「やってやるよ!」
そう言ってミャナは剣を抜刀し、リムリに迫る。
目にも留まらぬような速さで接近している為、本来であれば、対応できないのだが……。
「ふふ♡」
「なっ!?」
リムリは、迫ってきたミャナの剣を容易く扇で弾いてしまった。
猛スピードで接近していたので、弾かれた際の衝撃が凄まじく、ミャナは後方に吹き飛んでしまう。
「くっ……!」
しかし、ただ吹き飛ばされるミャナではない。
剣を地面に突き刺し、勢いを殺し停止した。
「あのスピードについてくるの……?」
「あのくらいのスピード、普通ではありませんか〜?」
「くっ……! おちょくりやがって……!」
「別に〜おちょっくってなんかいませんよ〜♡ た〜だ、事実を言っただけです〜♡」
「それがおちょっくってるって、言うんだよ!」
「おっと♡」
ミャナは、再び猛スピードでリムリに近づき剣を振るった。
しかし、それをリムリは扇で剣の刃を受け止めてしまう。
力は拮抗しており、剣と扇がカチャカチャと震えている。
「こいつ……思いの外力が強い……!」
「人を見かけで判断しては〜いけないんですよ!」
「っ!?」
リムリは扇に力を込めて、ミャナを突き飛ばした。
突然の事に驚いたミャナだったが、咄嗟に判断し受け身を取った。
その為、大きなダメージは入らなかった。
「あんまり長期戦にすると、こっちが不利そうだ……短期決戦で行く!」
「あはぁ〜♡ 沢山、楽しみましょうよ〜♡」
ミャナは目を閉じて神経を研ぎ澄まし、集中力を高める。
周りの音が聞こえない程に。
そして──、
「っ──!」
目を見開き、先程よりも格段に速い速度でリムリに肉薄して行く。
「っ!?」
あまりにも速いその速度に、リムリは目を見開く。
そして、ミャナはあっという間にリムリとの距離を詰め……。