ep.110 シーサルVSユリア&ミリア ③
「っ!? あああああああああああああああ!?」
「ゆ、ユリア!?」
ユリアが突然、胸を押さえながらしゃがみ込んでしまった。
苦痛の悲鳴を上げて。
「ユリア!? どうしたんだユリア!?」
「ぐぅ……!? ああああああああああああ!? うぅ……!?」
ユリアは胸が相当痛むのか、ミリアに答える事ができない。
「アッハハ! 今、そいつの精神に干渉した! そいつが抱えてる負の感情、闇の感情に入ってそれを増殖させた!」
「なんて事を……! ユリア! しっかり気を保て! 負の感情なんかに負けるな!」
ミリアはユリアの肩を掴み、体を揺らす。
そして、シーサルの魔術に負けるなと訴える。
「あ? そういやなんでお前は、無事なんだ?」
「はぁ?」
「オレ様はお前ら ”二人” にかけたんだぞ? それなのになんでお前には効いてない?」
「私にも……?」
なんと、シーサルはユリアにだけではなく、ミリアにも魔術をかけたと言う。
しかし、ミリアにはなんの異変もない。これは一体どういう事なのか。
「まぁ、いいや。一人は潰した。そっちの女は後でゆっくり殺してやる。その前に、先にお前を殺す!」
「お前の話が本当なら、お前の魔術は私には通じないんだろう? そんなんで私を殺せるのか?」
「オレ様を、あまり舐めるなよ……? オレ様は最強だ。なんでもできるんだ!」
「くっ……」
ミリアは歯を食いしばった。
自分に精神術が効かないなら、このままどこかへ去ってくれればよかったのに、どうやらシーサルには別の手があるらしい。
それによって、シーサルとの第二ラウンドが始まってしまった。