ep.107 コウトVSアイア&リエ ④
アイアの秘術が直撃したコウト。
アイアはコウトがいる場所を見る。果たして──、
「すんげぇ威力だな〜」
「「っ!?」」
なんと、コウトは立っていた。 ”無傷” の状態で。
「なるほど〜。ここまでの威力だと ”二回” 換算になるのか〜。まさか一日のうちに ”三回死ぬ” とはな」
コウトは体に付いた埃を手で払いながら、何かを一人でブツブツと呟いていた。
「そ、そんな……この攻撃で倒せない、なんて……」
「トーリさん!?」
アイアは魔術費を大量に消費した事により、その場に倒れ込んでしまった。
「あ? あ〜そういえば ”この世界の人間” は魔術を使いすぎると倒れるんだったか? じゃあ、今がチャンスってやつか?」
コウトは、倒れたアイアに銃を構えながら近づいていく。
と、その二人の間に──、
「あ? んだ?」
「トーリさんは、殺させませんっ!」
リエが割り込み、アイアを庇うように立ち塞がった。
「あ〜じゃあ、まずお前から殺してやるよ」
「やれるものなら、やってみなさい!」
コウトが右手に持つ銃を、リエの額に向けて構える。
銃とリエの額の距離は、ゼロ。銃口はリエの額にくっついている。
「せ、先生……逃げて……!」
アイアは、気力を振り絞りながら叫ぶ。
このままでは、二人とも死んでしまう。
アイアは、リエに逃げて欲しかった。
生きてほしいのもそうだが、応援を呼んできてほしかったのだ。
しかし、リエは逃げない。
鋭く、覚悟の決まった目でコウトを睨みつけている。
「じゃあ、死ね」
銃を構えながらスライドを引く。そして、引き金にかける指に力を込める。
そして──、
バンッ!
「先生ーーーーーーーーーーーー!!!!」
銃声と共に、アイアの叫び声が森に響いた。