ep.105 コウトVSアイア&リエ ②
「ふん。まぁいいや。本当に避けれたのか、試してやる」
コウトは、銃のスライド部分を再びスライドさせる。
(ど、どうする……あの攻撃は全く視えない……避けようがありません……!)
「さぁ、避けれるもんなら避けてみな!」
バンッ! バンバンッ!!
「風術、風幕!」」
アイアはコウトが引き金を引く寸前、両手を地面に突きつけ、風の幕を目の前に張った。
その幕が張られた次の瞬間、銃弾が放たれた。
その銃弾は、風の幕に当たり……そのまま通過した。
風 ”では” 防ぎきれず、銃弾二発はアイアに向かっていく。
「ぐっ……!?」
なんとか体を右に傾ける事で銃弾を躱す事ができた。が、完全には躱せず、左腕に二発の銃弾が掠った。
しかもその掠りはかなりの威力で、アイアの左腕には二つの火傷と傷跡、そして多量の出血が。
それにより、コウトの銃の威力がとんでもない事が分かる。
「ぐはっ……!?」
無理に体を捻った事により、体勢を崩してしまったアイアは、そのまま横転してしまった。
「マジかよ! マジで避けてんのな! すげぇすげぇ! 今までで避けれたの訓練での ”あの四人” 以外で初だぞ!」
アイアが銃弾を躱したのが余程嬉しかったのか、コウトは興奮した様子で叫んでいる。
「じゃあ、次も躱してくれ!」
横たわっているアイアに、コウトは銃を放つ。
「ぐぅっ!」
アイアは、転がる事でコウトの銃弾をギリギリの所で躱していく。
しかし、どれもがギリギリなので、服のあちこちが破れていく。
それにより、どれだけギリギリで躱しているのかが分かる。
「と、トーリさん!」
「先生! 伏せて!」
「っ!」
アイアは躱しながらリエに近づき、リエに飛びかかり伏せさせる。
すると、その場所に銃弾が飛んできた。
「危なかった……! 先生、大丈夫ですか!」
「は、はい……! 私は平気です……でも、トーリさんが……!」
「先生、治術を継続的に私にかける事は可能ですか?」
「え……? か、可能ですが……何をするつもりなんですか……?」
「詳しい話をしている時間はありません。可能ならば行ってください。できる限り、長く。では、お願いします!」
「と、トーリさん!?」
アイアはリエに頼み事をした後、走り去っていく。
「い、今のままでは私は足手まといにしかならない……だったら、よく分からなくてもやるしかない! 今、できる事を!」
リエは立ち上がり、アイアに向かって治術をかけ始めた。