ep.102 動かない怪物達……?
森の中に入った一行。
森の中に入った途端、一同は背筋を凍らせた。
「な、何……この異様な雰囲気……」
「ここまで殺気が漂ってるのは、私も初めてだ……」
エルナとミリアが小さく呟く。
森の中は、冷え切っており、この空間にいるだけでどうにかなってしまいそうな程の異様な雰囲気が漂っていた。
足を進める一行。
すると──、
「止まって」
『っ!』
ミャナが先頭を歩いていたのだが、突然足を止め、後方の皆に声をかける。
それを受け、皆は足を止める。と、目の前に広がっていたのは──、
「先生達が見たのはこいつら?」
「あ、あぁ……! こいつらだ……!」
皆の目の前に広がっているのは、ミリアとリエ達教師達が見たと言う怪物の大群が立っている光景だった。
ゴリラのような見た目で、頭に角を生やし、二本足で立つ筋骨隆々な人間のような怪物達。
「戦闘態勢!」
冒険者の一人がそう叫ぶと、全員が武器を構え戦闘態勢に入った。
が──、
『ん?』
怪物達は、ミリア達が見えてるのにも関わらず全く動こうとしない。
ただその場に棒立ちになっているだけ。手にはトゲトゲがついた棍棒のようなものを持っているが、それを使って威嚇してきたりもしない。
ただ、殺気を放ちながらこちらを呆然と見てくる。
「ど、どういう事……?」
ミャナは腰に携えた剣の柄を握りながら、この状況について考えていた。
今現在、何が起こっているのか。
目の前に敵がいるのに行動を起こさない。襲ってこない。
これは一体、どういう事なのか。
ミャナは必死に頭を働かせていた。
と、その時──、
「っ! フンッ!!!」
バァァァァンッッッ!
突如として、どこからともなく火球が飛んできた。
それにいち早く気がついたミャナが、剣を抜刀し斬り伏せる。
真っ二つになった火球は、燃焼の勢いを落としながら一同の左右に力なく落下する。
「す、すげぇ……」
「今の火球、全然気づかなかった……」
冒険者達は、飛んできた火球に全く気がついてなかったらしい。
そんな攻撃に気がつけると言うのは、ミャナの日頃の訓練の賜物なのだろう。
「誰!」
エルナがそう叫ぶと、森の奥から四つの人影がゆっくりと近づいて来た。
「あ、あんた達は……」
ミャナ達の前に、姿を現したのは果たして……?