ep.99 戦いの編成
「みっともない所を見せて、すまなかった。だが、もう大丈夫だ。私はもう何にも屈しない!」
ミリアが教壇から生徒達に向かって言うと、拍手が巻き起こった。
拍手が鳴り止むと、ミリアは森に向かう編成の話を始めた。
「これは遊びじゃない。少しの油断が死に繋がる。いや、油断をしてなくても負ければ死ぬ。つまり、勝たなければ生き残れない」
ミリアの言葉を、静かに聞く生徒達。
「だから、命を懸ける覚悟がある者だけ、挙手をしてくれ」
ミリアが挙手を求めると、一人、二人、三人、四人の手が上がる。
「ユリア、スカーレット、トーリ、シーズ……ありがとう……!」
そして、もう一人。
「ヨミ……」
「僕も、戦います!」
ヨミも覚悟を決め、手を上げた。が──、
「ヨミさんは駄目ですよ」
「り、リエ先生……? なぜですか……?」
リエがそれを止めた。
「ヨミさん、体の調子が優れないんじゃないですか?」
「っ!?」
「ここ最近、顔色が悪い時が多々あります。体調が優れない人を、危険な戦場に向かわせる事はできません」
「で、でも!」
「足手まといになるというのが分かりませんか!」
「っ……!?」
「今のあなたが戦場に行っても、戦力にはならない。ただの足手まといなんです。戦えない人が側にいるだけで、みんなはその人を守らなきゃいけない。守りながらでは、戦闘に集中ができないんです。その結果、命を落とす可能性が高まる。それでもいいんですか?」
「くっ……」
リエの言う事は正しい。正しいからこそ、ヨミは何も言えなかった。
そして、今回ばっかりは、ユリア達も何も言えなかった。
実際、ヨミには戦う力はある。だが、エルナ達に比べれば大した事はない。
そうなると、誰かがヨミを守りながら戦わなければいけなくなる。
そうすると、リエが言った通り戦闘に集中ができず、命を落とす可能性が高まってしまう。
今回の戦いでは、その可能性は少しでも低い方がいい。と、するならば、ヨミはいない方がいい。。
「それに、ヨミさんには頼みたい事があるんです」
「た、頼みたい事……?」
「はい。書庫に行って今回現れた生物達について何か載ってないか、調べてほしいんです」
「わ、分かりました……。やります」
「お願いします。ミリア先生、それでいいですよね?」
「あ、あぁ。ヨミ、頼んだぞ」
「はい」
そうして、ヨミは書庫で今回の生物について調べる事になり、森に向かうのはミリア、リエ、ユリア、エルナ、アイア、ミャナと言う事になった。
ヨミの表情が晴れる事はなかったが。