〜運命の魔法発動!!〜
受付嬢の案内で、タクトはカウンターの裏から地下へと降りると、そこには大きな魔法陣と真ん中に大きなかけた魔石のようなものがあった。受付嬢は「ここに手を触れてください。貴方の持っている能力の抽象画が浮かび上がります」と説明をする。タクトは恐る恐る手を触れ、魔石に浮かび上がったのはハートキューティクルの好本愛衣のソロCDと先日買いそびれた新曲のCDだった。
エルマサは「これは、なんだ?」と混乱していたが、タクトは「母国ではやってるアイド……いや、応援です!応援することで一時的に強くなれるんです」と言い訳をした。受付嬢は「これは、貴方は精霊のようなものを召喚できるのでは?それはこの円盤的なのはよくわからないのですが、攻撃バフや防御バフを一時的に得ることができるのではないでしょうか?」と興奮気味に語るのだ。
タクトは強さよりも、アイドルを推すことで得られる幸福感に心打たれていた。エルマサの提案でモンスターを狩ることになった。スライムは怖かったので今回はよろけイノシシだ。攻撃手段は突進しかなく、簡単に避けられる。エルマサが「魔法を唱えるときはとにかく念じろ!」とアドバイスし、タクトは魔法を詠唱した。すると魔法陣が現れ、愛衣の分身が攻撃力バフをかけてくれるようだった。
タクトは思い切って攻撃をする。するとよろけイノシシは吹っ飛んでいった。エルマサは「すげぇ。コレがオメェの魔法!」と驚き、タクトも自分の能力に少しずつ気づき始めていた。「どうやらコレは俺が愛衣を推せば推すほど魔力は強くなる」チート能力を手に入れたと思うタクトは、気分が良いまま町に帰った。
町へ帰ると、冒険者の会の前で泣いている子供がいた。話を聞くと、お母さんとはぐれてしまったようだ。