〜僕にも、魔法が!?〜
冒険者はライルの町まで歩きながら、自己紹介をした。
「俺はライル1の冒険者、ルート=エルマサだ!町の人なら、俺の名を知らぬものはいないぜ。」
拓人も緊張しつつ、
「僕は渡辺拓人です…僕は異国から来たんで名前はへんなんですけどね」とごまかした。エルマサは頷きながら、
「ふむふむ、タクトか!よろしくなタクト!」と親しげに言った。
二人は笑顔を交わしながら、ライルの町へと向かって歩き続けた。そしてあたりが静まり返った頃、エルマサが興味津々な表情で尋ねた。
「そういえばお前は魔法とか使えるのか?」
タクトは目を輝かせながら答える
「魔法なんて使えるんですか?」と興奮気味に。
「これは異世界転生で無双できるやつでは?僕はあんまり小説やアニメとかは見たこと無いけどこれはどうなんだ」と考える。
エルマサは
「誰でもこの世界なら魔法は使えるだろ。俺は炎の魔法を使えるんだぜ」と言いった。心の中でタクトは
「俺は異世界から来ているんだけどね!」と思ったが、当然言葉にはできないので胸の中にしまっておく。
そうやって話しているうちにライルの町についた。
ライルの町に到着したタクトとエルマサ。エルマサは
「冒険者の会に加入しないか?」と提案した。タクトは心の中で
「よくアニメである冒険者ギルドみたいなやつかな?」と思った。
エルマサは続けて
「冒険者の会に加入するとクエストや仲間募集などの便利な特典があるぞ」と説明する。タクトは考える余地もなく、まずは冒険者の会に行くことを決意した。
冒険者の会の中はすごく広く、どこからか懐かしく感じる。多分前世のブラック企業の様に妙に社会身を帯びてるからだろう。しかしワクワクとした期待に包まれた雰囲気が漂っている。広いホールには様々な種類の冒険者たちが行き交い、クエストに挑戦する者たちの姿が目に飛び込んでくる。エルマサ、タはタクトを冒険者の会に案内してくれた。
ホールの中央に掲げられた巨大なクエストボードにエルマサが指さし、
「これがクエストボードだ。お前もここで仕事を見つけてくるんだぞ!」と笑顔で語りかける。クエストボードには様々な難易度や報酬の異なるクエストが掲示され、冒険者たちが次々と仕事を見つけていく光景が続いている。
エルマサは次にトレーニングエリア案内した。冒険者たちが激しい戦闘の練習やスキルの向上に励む姿が見受けられ、その中には魔法を使う者もいた。
「スキルの向上は冒険者にとって重要だ。機会があればここで訓練してみるといいぜ」とエルマサがアドバイスする。
仲間を募る掲示板の前では、冒険者たちが仲間を求める声が上がっている。エルマサは
「仲間との連携が冒険の鍵だ。お前もパーティーを組むことを考えてみろ」と言い、タクトは新たな仲間との出会いに期待を抱。
最後に、エルマサは冒険者の受付へと案内してくれた。受付には可愛らしい茶色い髪のショートヘアの娘が座っている。
「冒険者の会にご加入ですね」とスムーズに対応し、冒険者の会への加入手続きに移行する。
タクトは受付嬢の案内で、まずは自分のステータスを見ることになった。しかし、自分がみたステータスは、普通あり得ないものだった。攻撃、防御、HPは極めて低く、一般人のそれでしかない。
「俺ってまじで弱いやん。これじゃスライムも倒せないわ」と諦めかけていた。しかし、その一方でMPだけが上級冒険者くらいのステータスを有していた。エルマサも
「すっげぇこの魔力」と驚きを隠せなかった。
受付嬢は
「この魔力なら、魔法も使い放題ですよ!だったら、どんな魔法を使えるか見てみましょうか?」と聞く。
タクトは
「どんな魔法があるんですか?」と興味津々で尋ねる。受付嬢は
「魔法は自分がレベルアップで習得する基礎魔法と、魔法の書で入手する聖書魔法の2つがあるんですよ。基礎魔法は成長に合わせて身につけていく感じで、聖書魔法はいろんな種類があるから、MPが多いほど有利なんですよ」と詳しく教えてくれたのだ。
タクトは試しに手に入れた炎の魔法の書を開き、期待と興奮が入り混じった心境で魔法を習得しようとしたが、何も反応がなかった。エルマサも「どういうことだ?」と首をかしげているが、受付嬢は
「これは、貴方の持っている基礎魔法がとんでもなくMPを使うもので、他の魔法に手をだせないのでは?」と説明する。
「魔法、使えない?」と混乱した表情でタクトは受付嬢に問いかけると、エルマサは
「そんなことねぇよ! こんだけ魔力があるんだ。なんかでっけぇ魔法がつかえるんじゃねぇのか?」と力強く言い切ってくれた。タクトは自らの魔法に対する不安と期待の入り混じった心情に戸惑いながらも、新たな可能性に胸を躍らせる。
受付嬢の提案で、タクトは魔法特定場へと向かうことに決めた。自分の持っている魔法の力を理解するために、タクトは未知の場所へと足を踏み入れたのだった。
受付嬢の案内で、タクトはカウンターの裏から地下へと降りると、そこには大きな魔法陣と真ん中に大きなかけた魔石のようなものがあった。受付嬢は
「ここに手を触れてください。貴方の持っている能力の抽象画が浮かび上がります」と説明をする。タクトは恐る恐る手を触れ、魔石に浮かび上がったのはハートキューティクルの好本愛衣のソロCDと先日買いそびれた新曲のCDだった。
エルマサは「これは、なんだ?」と混乱していたが、タクトは「母国ではやってるアイド……いや、応援です!応援することで一時的に強くなれるんです」と言い訳をした。受付嬢は「これは、貴方は精霊のようなものを召喚できるのでは?それはこの円盤的なのはよくわからないのですが、攻撃バフや防御バフを一時的に得ることができるのではないでしょうか?」と興奮気味に語るのだ。
タクトは強さよりも、アイドルを推すことで得られる幸福感に心打たれていた。エルマサの提案でモンスターを狩ることになった。スライムは怖かったので今回はよろけイノシシだ。攻撃手段は突進しかなく、簡単に避けられる。エルマサが
「魔法を唱えるときはとにかく念じろ!」とアドバイスし、タクトは魔法を詠唱した。すると魔法陣が現れ、愛衣の分身が攻撃力バフをかけてくれるようだった。
タクトは思い切って攻撃をする。するとよろけイノシシは吹っ飛んでいった。エルマサは
「すげぇ。コレがオメェの魔法!」と驚き、タクトも自分の能力に少しずつ気づき始めていた。
「どうやらコレは俺が愛衣を推せば推すほど魔力は強くなる」チート能力を手に入れたと思うタクトは、気分が良いまま町に帰った。
町へ帰ると、冒険者の会の前で泣いている子供がいた。話を聞くと、お母さんとはぐれてしまったようだ。