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常世町の平凡   作者: 蜂六
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事件の足音

3人は屋根裏に登った。


真っ暗で何も見えていなかったが、目が慣れてくると何かのスイッチが蒼の目に映った。蒼はおもむろにそのスイッチを押した。すると、3人の目の前の壁を照らすように明かりがついた。突然の光に3人は目をしぼませながら、目が慣れると同時に蒼が口を開いた。

「これは…」

3人の前には、壁一面に貼られた常世町の地図があった。

「常世町の地図? あれ、よく見ると線が引いてある」

と言うと朱は、2人に地図に引かれている線を指さした。

「んん?ほんとだ ひぃ、ふぅ、みぃ…5本引いてある」

と菫が言うと、蒼がなにかに気づいたように顔を上げた。

「写真に写ってた小学生も5人だよな?それでこの線…常世町をくまなく通ってる これって5人で手分けして常世町を回るための道順なんじゃないか?」

「そうか!この道順を走って、町中の荷物を入れ替えてるのか!」

「おめぇ、頭いいなぁ 蒼」

「ま、まぁな」

蒼が少し照れくさそうに顔を背ける。

「犯人が通った道順がわかったのはいいけど、こっからどうしたらいいんだ?」

朱が悩んだ顔をしながら、2人に言った。

「そんなのおめぇ 決まってんだろ 俺らもこの道順通りに歩いてみんだよ そしたら、なんか分かるかも知んねぇし 犯人の落とし物とかあるかもしれねぇだろ?」

「菫 たまにはいいこと言うじゃねぇか! 見直したぞ」

「へへっ まぁな おれぁ天才だかんな」

2人の話を聞いていた蒼は近くに落ちていた持ち運び用の地図に線を写した。そして、3人は蒼が書いた地図を元に犯人の道順を辿る為、家を出た。


「よし! ますはこの線から辿っていこう!」

と朱の掛け声で3人は歩き始めた。歩いていると町の中心にある公園に着いた。線の通りに公園の中を横切るように歩いていると、ゴンッ!と鈍い音が菫の方から聞こえた。菫の方を見ると、大きなジャングルジムに頭をぶつけていた。

「痛ったぁー!!」

「ハッハッハハハ バカでぇ ずっと地図見ながら歩いてるからぶつかるんだよ」

「だってよ、この道順に障害物があるとは思わないだろ?」

「地図見て前見ながら歩けばわかるだろ〜」

「でもよ、線はこのでっけぇジャングルジムの上を通ってんだぜ?」

「菫の言う通りだ この道順はおそらく常世町を5人で効率よく回れるように引いてある なのにわざわざジャングルジムの上を通るのは非効率的 なのに、他の線をも全部ここを通ってる ここになにかあるのかもしれない」

「蒼がこう言ってんぜ 朱 おれぁバカじゃね〜んだ わかったか!」

「いや、菫はバカだよ」

「蒼!てめぇ!今、おれは朱に言ってただろ!」

「まぁまぁ、でも蒼のおかげで大発見出来たな」

「いや!おれのおかげだろ!」

「はいはい」

「おい!今、流したろ!朱!おい!」

蒼と菫の2人により、新たな発見をした3人であったが、他の線を辿って一日中歩くも進展はなかった。


その後、数日経っても進展はなく、公園で3人が座り、その日も解散する流れとなった時、蒼がなにかを思い出した。

「なぁ、明日って荷物が届く日だよな?」

「あ、そういえばそうだ! 前回の事件から明日で1週間か!」

「そうだろ だから明日それぞれ早起きして荷物入れ替えに来た犯人をとっ捕まえたらいいんじゃないか?」

「おっ!それだ!よく思い出したな! 菫!わかったか 明日早起きだからな! ちゃんと起きろよ!」

「おうおう まかせろぃ!」

「じゃあ、明日に備えて解散しよ」

こうして3人はそれぞれ帰路につき、翌日に備えて眠りについた。


翌朝、朱は日が明ける前に起き、ドアに耳を当て、犯人が来るのを待っていた。30分ほど待っていると、突然ドアの外でゴトッと物音がした。朱は急いでドアを開けると、そこにはいつもの荷物が入ったダンボールが置かれていた。急いで中を確認すると、そこには「おれらのことつかまえるんじゃなかったのか?」と書かれた紙が入っていた。怒りに任せ、紙をグシャグシャに丸めた。部屋に戻り、水を飲んでいると、ある疑問が頭をよぎった。

「さっき荷物を置く音しか聞こえたなかった 普通、この朝の静けさの中だったら少し遠くからでも走ってる音は聞こえるはずなのに…」

朱は疑問を抱えたまま、支度を済ませ、集合場所の公園に向かった。


公園に着くと、前回のように顔を真っ赤にした2人がいた。朱は怒っている2人をなだめ、今朝感じた疑問を話した。すると、2人も足音がしなかったことを思い出し、不思議に思っていた。そして、3人は進展がないまま、新たな謎も増えた為、ここでもう一度腹田夫妻に聞き込みしようと決めた。


3人は公園を出て、腹田夫妻の家へと向かった。




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