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常世町の平凡   作者: 蜂六
4/6

歩いて、走って

犯人探しを始めた3人は町の住人に聞き込みを始めた。


「おーい 藤田のばあちゃーん いるかー?」

「おぉ 朱ちゃん どうしたね あら菫ちゃんと蒼ちゃんも」

「いや、最近荷物入れ替わってる事件あるだろ? 最近なんか変わったことなかったかなぁって みんなに聞いてんだ」

「うーん そうだねぇ 特に変わったことないなぁ」

「そうだよね〜 なんかあったら俺らに教えて!」

「あいよ そうだ 柏餅持っていきんさい」

「おぉー ありがとう じゃあまたね」

「はいよ」


その後も3人はすれ違う住人や家にいる住人などに聞き込みを続けたが、みな一様に変わったことはないと言っていた。


「ふぅ〜 こんなに知ってる人がいないとなると厳しいなぁ」

と公園の椅子に腰掛けた朱が言った。

「ちょっと疲れてきたなぁ そうだ 藤田のばっちゃんからもらった柏餅食おうぜ」

「おう そうだな ほらよ菫」

朱は菫に柏餅を投げ渡した。

「お、センキュー」

「蒼も食うか?」

「あぁ」

「ほらよ」

朱は隣に座っていた蒼に柏餅を渡し、3人は柏餅を食べた。

柏餅を食べ終わった朱は

「よし 回復したことだし聞き込み続けるぞ」

と言い、3人はまた聞き込みを始めた。

聞き込みを再開して、数軒目の家のチャイムを鳴らした。

「腹田のじいちゃんばあちゃーん」

と朱が家に向かって呼びかけると、ガラガラッと家の玄関の引き戸が開いた。

「おお 朱に菫に蒼! この町の三子宝がどうしたんよ?」

「いや、今さ 最近起きた荷物入れ替え事件についてなんか知ってる人がいないか聞いてるんだよ」

「あぁ〜 ここ最近起きてる事件かい あ、それならわしら知ってることがあるよ 中に入り〜」

「え、まじ!? おい、聞いたか菫!蒼!」

「おうよ! 聞き込み続けた甲斐があるぜぇ!」

「そうだな」

こうして、3人は腹田夫妻の家へと通され、話を聞くこととなった。3人は机の周りに座った。朱は待ちきれず、お茶を持ってきてくれた腹田のおばあちゃんに先程の続きを聞いた。

「さっき言ってた今回の事件の知ってること、教えてくれ!」

「わかってるよ そんな焦らんでも大丈夫」

そう言うと、腹田のおばあちゃんはおじいちゃんが座っている隣の椅子に座り、話し始めた。

「わしらは走って逃げていく犯人を見たんだよ」

「えええぇぇぇぇぇぇえええええ!!!」

3人は声を合わせて驚いた。

「えっ!どんなやつ!? 特徴は!?」

朱が矢継ぎ早に質問を投げかける。

「焦るんじゃないよ そそっかしいねぇ 見たって言ってもね はっきり見たわけじゃないんよ この時期の朝はまだ暗いでしょ」

「でもよ なんか特徴とかわかんなかったか?」

「ん〜 暗かったしすぐ走ってちゃったからねぇ 顔の特徴は分からなかったんよ」

「じゃあ、顔の特徴じゃなくてもいいからさ どんなやつだった?」

「そうねぇ 身長はとっても低くて小学生くらいじゃないかと思ったんよ お父さんはどう思った?」

「わしも小学生くらいと思ったなぁ でも、この町じゃあんな小さいやつはおらんからな」

「じゃあ、犯人は小学生くらいの身長のやつってことで確定だな」

「でもよ、この町に小学生なんて来んのか? おらぁ半年以上この町にいるけど見たことないぞ」

「そうなんよ わしらもこの町で小学生なんて見たことないから不思議に思ってたんよ」

「んー、まぁそれは調べてみないとわかんないからなぁ とりあえず犯人は小学生くらいの身長ってことだけはわかった」

すると、おばあちゃんの話を聞きながら眉間に皺を寄せ、考え事をしていた蒼が口を開いた。

「いや、犯人についてわかったことは身長だけじゃない なぁばぁちゃんは最初に犯人が走って逃げていくのを見たって言ってたよな?」

「そうよ」

「じゃあ犯行も走ってやったってことだ この町の全ての荷物を走って入れ替えたんだよ 小さい町とはいえ1人でそんなこと出来るわけない だから犯人複数いる可能性が高い」

「おぉ すげぇ 蒼はあったまいいなぁ」

菫が感心していると、朱がキラキラした瞳で

「頭いい蒼がいるなら犯人なんてすぐ捕まりそうだな! よーし!犯人探しに行くぞー!」

「おー!」

朱の掛け声に菫は元気よく答えた。そして、蒼は黙って拳を突き上げた。


次の日から、小学生くらいの身長の住人がいたか聞き込みが始まった。何人かに聞いていくと1年ほど前に小学生くらいの子供がこの町に来ていたことがわかった。そして、その子供が住んでいた家の大まかな場所がわかった。


そして、3人は犯人と思われる子供の家を探し始めた。




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