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常世町の平凡   作者: 蜂六
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町の三子宝

朱は少年に駆け寄り、声をかけた。

「よっ! こんなとこでなにしてんだー?」

少年は朱のほうに顔を向ける

「どこに行ったらいいのかわからない」

そういうと少年は顔を下に向けた。

「どこに行くったってもう死んじまってんだからここにいるしかねぇよ お前最近ここに来たのか?」

「あぁ」

「そうか じゃあ、おれがここを案内してやるよ! ちなみにおれは朱!よろしくな」

「ここにいても意味ないしな おれは蒼だ よろしく」

2人は自己紹介を済ませ、公園を出た。

「あそこは池田さん家で、あっちは坂井さん家で…」

と朱は通る家、通る家を紹介をしていった。

「お前、全員のこと覚えてんのか?」

「当たり前じゃん!みんな優しいからいっつも話しかけたり、ご飯もらったり色々世話になってるからよ 自然と覚えたんだよ」

「みんな優しいんだな」

「そうだな ここはみんなおじいちゃんおばあちゃんだからみんなおれらのこと孫みたいに思ってるんだ」

「おれら?まだおれはこの町の人と会ったことないぞ?」

「あぁーそっか ここにはおれと同い年のやつが1人いるんだ」

「そうなのか てか、歳いくつだ?」

「おれは16 蒼は?」

「おれも16だ」

「おー!まじか! じゃあ、3人とも同い年か!」

「そうだな」

「じゃあ、もう1人のやつのとこ行こ!」

そう言うと朱は走り出した。

「あっ、おい!」


朱は一軒家の前で止まると、大きく息を吸った。

「おおーーーい!!菫ーーー!!」

朱が大声で菫を呼ぶと、2階の窓が開き、菫が顔を出した。

「ふぁ〜 うるせえよ こちとら気持ちよく眠ってんだ 起こすんじゃねぇ」

「いいからいいから おい菫!ちゃんと目開けてこっち見ろ!」

「あぁ? なんだってんだよ」

菫は眠い目を擦りながら、朱の方を見た。

「おぉ?誰だそいつは?」

「こいつは蒼 おれたちと同い年なんだってよ!こいつ最近常世町に来たんだってよ!だから今、この町を蒼に案内してんだ お前も来いよ!」

「同い年!? そりゃ珍しいな 今行くから待っとけ!」

菫の家からドタバタと音が聞こえ、玄関が開いた。

「よう! 蒼!聞いてたとは思うが、俺が菫だ 歳が近いやつがこいつしかいなくて飽きてたんだよ よろしくな」

「ああ よろしく」

「そんじゃ、案内再開するぞ」

こうして、3人は町民達に蒼の挨拶のため一軒一軒家を回った。

「よし、これで全員に挨拶できたな」

「じゃあ、蒼の歓迎パーティしようぜ!」

「菫の家でいいか?」

「おうよ!」


菫の家へと戻った3人は、蒼の歓迎パーティを始めた。

「いやぁ、まさか同い年のやつが俺以外に2人も来るとはな」

「本当にそうだなぁ 菫はおれより3ヶ月くらい早くこの街にいたんだもんな」

「そうそう 朱が来るまでこの町にはじいちゃんばあちゃんしかいなかったからよ 退屈でしかたなかったわ」

「朱はいつ来たんだ?」

「おれは半年前くらいかな」

「そうなのか」

その後、3人は好きな漫画の話や他愛もない話をし、そのまま眠りについた。

この日以降も3人はつるむようになり、いつしか町の宝である3人の子という意味から3子宝(しほう)と呼ばれるようになった。


そんなある日、平和な日々が流れる常世町で事件が起こった。






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