第3話
王を含め五人が交戦していた。
世界の支配をなお強固にする者とそれに抗う者
ローブの男コウヘイは考えた、プレイヤーが襲われているが相手は世界転生者の配下だ容易に説得はできない。
他のプレイヤーに申し訳無いが今は助けられない、こちらにはそれなりの戦力が三人いる、だが相手はこちらの動きに察知して先手を打ってきた。
つまり僕達と少なくとも一回は交戦していると考えた方がいい、相手の自由自在に変化する肉体をさばきながら思考する。僕のスキルは防壁[バリア]、回復[ヒール]
基本受け身なスキルだ今頼りになるのは経験組の影[シャドウ]使いキョウコ、強化装甲[パワードスーツ]のクメ、呪術[カース]使いのDDだ。
「影伸ばし」
「煩わしいな」
キョウコが印を組み、自分の影を伸ばし王を拘束する、次にクメが強化装甲[パワードスーツ]を纏った拳で殴りかかる。
「おら!!」
「ぐっ・・・」
いい判断だ内蔵火器なら爆風のフラッシュでキョウコの影が解除されてしまったかもしれない。
即座にDDが呪術[カース]で聖霊[ジニ]を自ら憑依させ拘束された奴に蹴りかかり、もう一度呪術[カース]を使い、呪いの人形を作りだしそれに釘を刺す
瞬間奴の体に無数の釘が刺さりだす。
「ぐああああああああ」
奴が苦悶の表情で叫ぶ、いける、このまま押せば!
「とでも言うと思ったか?私はスライムで転生したんだよ、最初はこんなものかと女神を恨みもしたが箱を開ければ、物理無効[アンチフィジカル]で捕食[プレデター]すれば相手のスキルも使えるチートスキルさ、君たちと違って制限ナシのね
そしてこの世界で王にもなれた、あの女神には感謝しかないよ」
最悪のパターンでこちらの事情も手の内もバレている
「これから君たちを尋問した後捕食させて貰うよ、大したスキルは手にはいらないだろうがまぁ、転生のタイミングでこんなにも差が生まれてしまうとは哀れなものだよ」
「アンタはやりすぎたんだ、だから世界に目をつけられた、今まで何人殺してきた」
キョウコが睨みを利かせる。
「じゃあどうしろと、こんな力を貰って世界平和に貢献しろとでも?劣った異世界人の為にかい?元の世界に帰るのも馬鹿馬鹿しい、あとねいちいち殺した数なんて数えないよ」
「どうでもいい、お前を殺すだけだ」
機械的な声でクメが静かに語る。
「やってみろよ!」
奴の触手が一斉に襲い掛かる。
僕の防壁[バリア]で防御するが突破された、即座にバリアを追加で三枚重ねる
最後の一枚でようやく防げた、だけどスキルを使いすぎた、このままではこっちがスキル切れで負ける。
「クメ!」
クメが全身の火器を使って圧をかける、しかし彼の内蔵火器では弾薬もすぐに尽きるだろう、奴が爆風に包まれる。
「キョウコ」
クメが合図する、奴にできなくて僕達にはできる事、連携だ
土埃が舞う中、鋭く影が奴を捉える。
「しつこい」
赤子の手をひねるように拘束を解いた、怒りを隠せない表情と触手も同調して床を無意味に叩いたり激しく揺らしている。
「久しぶりに本気でやれると思ったがハエのようにちょこまかと不愉快だ、もう終わらせていいかな」
地鳴りとともに床から触手が伸びてキョウコを腹をめがけて襲う。
「間に合え!」
防壁[バリア]を四枚重ね掛けし、間一髪で防ぐ、がもう一本背中へ向う
「死にたくない・・・!」
強い衝撃が体に加わる
「お父さん、お母さん・・・ケイ・・・」
「うおおおおおおおおお」
床に叩きつけられたけど痛みは無い、何かくっついてる感覚はあるけど、視線を合わせてみる。
「大丈夫?」
息を切らし泣きながら微笑んでいる、私はこの凡庸そうな青年に助けられたのか、でもこんな人は経験組にいなかったし
という事は今回転生した人か、こんな初心者に助けられちゃうなんて。
今の彼はさっき助けた、異世界転生者相手に無茶をする、でもおかげでキョウコが助かった。
でも僕達には異世界転生者を倒せる攻撃力が無い、攻略組のスキルでは致命打を与えられないこのままではジリ貧だ。
すると僕達をかき分けて誰かが奴に高速で近づいている。
「ぐっ!!なんだ貴さ・・・」
「・・・」
白髪の髪を後ろに結んだチャイナ服の男が無数のラッシュを繰り広げている、迎撃の触手を鮮やかに躱し、凄まじい攻防を繰り広げている。
あんな人は経験組にはいなかったけど、今は好機だ。
「キョウコ!クメ!DD!あの人をカバーするぞ!」