表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣人王子と癒し手王女の政略婚  作者: アシコシツヨシ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/128

90 魔物肉(レミリオ視点)

突然ですが、リースの兄、レミリオ視点です。今後、関わって来ます。

因みにリースが手紙を送ったのは目次33です。かなり前ですね。

私はセーラン王国の王太子、レミリオ。リースの兄だ。


「魔物の肉が美味しかったので、是非ご賞味下さいませ、か。」


リーリスの手紙を読んで呟くと、側近や侍従達は青い顔をした。それも仕方がない。

魔物は野蛮で、それを食べる隣国の獣人も野蛮人。それが、このセーラン王国の常識だからだ。


私自身も同じ認識で、本来なら、誰が何と言おうと、魔物肉なんて食べようとは思わない。が、三つ年下の妹、リーリスが関わると、話は変わってくる。


私は兎に角、リーリスに甘い。と言われているが、キッカケは十歳の時だろう。

第一王子で、王太子でもある私は、幼少期、病弱だった。


「レミリオ殿下の命は、いつ尽きても、おかしくはありません。」


王宮医師が両親に話しているのを聞いてしまい、眠れない不安な夜を過ごしていた。

そんな命の危機に瀕していた私を救ったのが、妹のリーリスだった。


私を助けたい一心で使った癒しの力は、当時、リーリス自身も全てを理解出来ていなかった。

その為、力を使いすぎて、私の身代わりになる様に体調を崩して、しばらく昏睡状態が続いていた。


「お前が、私の代わりに死ねば良い。」


私は元気なリーリスに嫉妬して、思わず言ってしまった事を酷く後悔した。


リースの意識が戻った知らせを聞いて、どんな顔をして会えば良いのか分からないながらも、直ぐにリーリスの元へ駆けつけた。


「レミリオお兄様、元気になったのですね?良かった……。でも、私、こんな力があるなんて。本当の家族じゃないかもしれません。魔女かもしれません。」


いつも笑顔だったリーリスが、弱々しく震えながら泣いていた。


「リーリスは誰が何と言おうと、私の命の恩人で家族だ。父も母も皆、リーリスの味方だ。心配しなくて良い。だから、はやく元気になれ。」


母の王妃がリーリスを生んだ直後、私はリーリスを抱っこさせて貰った。

だから、絶対にリーリスは妹だし、魔女である筈がない。


例えそうでも、自分を犠牲にして命を救ってくれたのは間違いない。だから、今度は私が、リーリスを何があっても絶対に守る。

あの時そう誓った。


それなのに、野蛮人とされる獣人の国、テナール王国にリーリスを嫁がせるのを、阻止出来なかった。

国家の為には仕方がないとしても、悔やんでも悔やみきれない思いが込み上げた。


リーリスにばかり負担をかけている。私も出来る事は何でもしてやりたい。

でも、リーリスは一度も望みを口にした事が無い。


ただ元気でいて欲しい。

そう言うのだ。


そんなリーリスが初めて望んだ。

魔物の肉はリーリスの舌を満足させ、貴族にも受け入れられる確信があるのだろう。


輸出出来れば、テナール王国は潤い、我が国は天候不良で食糧危機に陥っても、肉を食べられる。

獣人の食文化を受け入れられれば、獣人に対して差別的感情が薄れ、国交正常化のキッカケになるのではないか、と。


心優しいリーリスは、他国で頑張っているようだ。

兄として、応援するのは当然だろう。


「それで、これをどう思う?」


急遽(きゅうきょ)呼び出した料理長に、送られてきた魔物の肉と、同封されていたレシピを見せてみる。


「初めて見ましたが、成る程、かなり大きな塊ですね。しかし、普通の肉とよく似ています。味は、食べてみないと何とも。」

「では、調理してみてくれ。」


周りの者達が驚いているが、どうでも良い。分かりきった反応だ。


「本当に食べるのですか?」

「リーリスが食べれて、私が食べれない筈はないだろう。」

「リーリス殿下が……そうですか、(かしこ)まりました。」


料理長は何か吹っ切れたらしい。

確か、あの料理長は、よくリーリスのお菓子作りに付き合わされていた者だ。

何かしら思うところがあったのだろう。


リーリス、お前一人を野蛮人の仲間だなんて言わせない。国民全員野蛮人にしてやるからな。


私は、ニヤリとほくそ笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ