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獣人王子と癒し手王女の政略婚  作者: アシコシツヨシ


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127 やり直し(グレーシス視点)

結婚記念日のグレーシス視点です。

「ふ―――っ。」

ドカリとソファーに座り、風呂を済ませた私は、何時ものように、侍女のマイが呼びに来るのを自室で待っていた。

二つの指輪が入ったケースを握りしめて。


今日六月一日は、一年前にリーリスと結婚式を挙げた日。つまり結婚記念日だ。

しかし、一年前の私は余りにも誠意が無く、後悔しかない。

都合が良いのは重々承知しているが、一年前の結婚したあの日をやり直せたら、と思っている。


義兄上に頼んで注文して貰った揃いの結婚指輪を二つ、ポケットに忍ばせた。

指輪を贈り、リーリスに永遠の愛を誓うつもりだ。


「妃殿下の準備が整いました。何時でもお越し下さい、との事です。」

「分かった。」


マイが呼びに来て、一呼吸置いてから続き扉をノックした。


「ひゃっ!」

叫び声が聞こえた。

リーリスに何かあったのか?


「どうした、大丈夫か?」

心配になって、勢いよく扉をあける。


入室した部屋の明かりはベッド周りとソファー近くの蝋燭だけで、ほの暗い。

この状況、以前にも……


「っ!?」

リーリスが驚いた表情で立ち竦んでいる。


しかも、あの襟ぐりが大きく開いて、丈も膝より短く、布地も肌が透けて見えるほど薄い、あの、魅惑的なワンピースの下着姿で!


思わず目を目開いて見惚れてしまった。

いかん。

素早く片手で目元を覆って、顔を反らした。

時、既に遅いが、見てませんアピールだ。


「すまない。出直そう。」

マイの奴、絶対わざとだろう。


部屋に戻ろうとしたら、リーリスが駆けて来て、私の袖を摘まんだ。

おいおい、その格好で来るとか、もしや、既に酔っているのか?


私を見上げるピンクの瞳は潤んで、頬は桜色に色づき、薔薇のような唇が、何か言葉を必死に紡ごうとしている。


酔って、いない?何か重要な話のようだ。

下着である必要性は分からないが、次の言葉を待った。


「……あの、初夜の夜着には意味があると教えて頂きました。一年前の今日は何も知らなくて、勇気もありませんでした。だから、今日、やり直したくて、ちゃんとお迎えするつもりだったのですが、どこで待つか迷ってしまったのです。」


え?今、初夜の夜着と言ったのか?


「もしかしてそれは、初夜の夜着か?下着ではなく?」

「はい。」

リーリスが顔を赤らめて頷いている。


我が国、いや、獣人の王族全体に言える事だが、初夜の夜着を着て伴侶を迎える。それは相手を受け入れる意思表示を意味する。

え?では、私の誕生日の時も、リーリスはそのつもりで……。


「そうか、そうだったのか、初夜の……。」


だからマイはリーリスが頑張ったのに。と、私にドン引きしていたのか。

しかし、初夜の夜着と言われないと分かるわけが無いだろう。いや、分からないのは、私が最初に初夜を拒絶したせいか。


「グレーシス様?」


リーリスが不安そうにしている。

頭を整理するのに時間を要してしまった。リーリスが頑張ってくれたのだから、私も誠意を見せなければ。


「ああ、すまない。実は私もやり直したいと思っていた。一年前の結婚式は、あまりにも事務的で、誠意がなかったからな。」


リーリスの正面に向き直り、立て膝になって、リーリスの左手を取った。


「リーリス、私と結婚してくれてありがとう。一生、リーリスの笑顔を守ると誓う。」

ポケットから指輪を出して、リーリスの左手薬指に嵌めた。


「これは……」

「遅くなってしまったが、結婚指輪だ。セーラン王国では指輪を贈り合う文化があると教わった。私と義兄上からだ。」


義兄上にはリーリスの誕生日に。と言われたが、贈るなら、やはり今日だと思った。


「グレーシス様の指輪もあるのですか?」

「ああ、義兄上が贈ってくれた。」


私用の指輪をポケットから出した。リーリスとお揃いのデザインだ。義兄上に感謝だな。


「私に嵌めさせて貰えますか?」

「勿論だ。そうしてくれると嬉しい。」


リーリスに指輪を渡すと、私の左手薬指に嵌めてくれた。


「グレーシス様、私と結婚してくださって有り難うございます。これからもずっと、グレーシス様と共に生きて行く事を誓います。」


私の目を見つめて真剣に伝えてくれる姿が愛しくて、思わず顔が綻びる。


「では、誓いのキスを。」

リーリスの頬に手を添えて、唇に口づけたものの、物足りず、何度も啄むようにキスをした。


いくら軽いキスをしても、リーリスが足りない。

もっと、もっと深く……もう食べてしまいたい。

貪るようにキスをした。


ビクンとリーリスの肩が動いて、ハッと我に返った。

リーリスの気持ちに、迷いは無いだろうか。無理強いはしたくない。


「リーリス、この先を求めても?」

「はい。」


真っ赤になったリーリスが、ピンクの瞳を潤ませながら、コクリと頷いて、私の首筋に腕を回して抱き付いて来た。

愛しい、愛しすぎるっ!


抱き抱えてベッドに運ぶと、腕の中に閉じ込めた。

リーリスの全てを感じたくて五感が研ぎ澄まされる。


「愛してる。」

何度言っても足りないくらい愛しい。


この愛しい人が何時までも笑って居られるよう、守り続ける。

そう心に誓った。


結婚指輪の準備については、目次107です。

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