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獣人王子と癒し手王女の政略婚  作者: アシコシツヨシ


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126/128

126 結婚記念日

今日は結婚してちょうど一年目になる。


「マイ、今日こそリベンジをするわ。」

「成功をお祈りしております。」

入浴後、マイは初夜の夜着を着せてくれた。


グレーシス様の誕生日、私は初夜の夜着を着て、グレーシス様の全てを受け入れる覚悟をした。

けれど、お酒に酔って大失敗。愛を伝える事すら出来ずに眠ってしまった。


今夜はお酒も飲まない。なるべく早くガウンを脱ぐ。いえ、もう脱いで待つべき?


部屋は誕生日の時と同じ。明かりはベッド周りとソファー近くの蝋燭だけで、ほの暗い。けれど、落ち着く空間にして貰った。


「では殿下を呼んで参ります。」

「お願いね。」

互いにしっかりと頷き合う。


マイがグレーシス様を呼びに、廊下側の扉から退室するのを、ドキドキしながら見送った。


ソファーに座って待つべき?それともベッド?

ベッドとソファーの間を右往左往しながら悩んでいると、続き扉からノックがした。


「ひゃっ!」

ビクッとして思わず声をあげてしまった。


「どうした、大丈夫か?」

扉が開いてグレーシス様が部屋に入室してきた。


「っ!」

グレーシス様が目を目開いてから、素早く片手で目元を覆って顔を反らした。


「すまない。出直そう。」

グレーシス様が部屋に戻ろうとしたので、慌てて袖を摘まんで引き止めた。


「あの、初夜の夜着には意味があると教えて頂きました。一年前の今日は何も知らなくて、勇気もありませんでした。だから、今日、やり直したくて、ちゃんとお迎えするつもりだったのですが、どこで待つか迷ってしまったのです。」


「もしかしてそれは、初夜の夜着か?下着ではなく?」

「はい。」

じっと見つめられて恥ずかしいけれど、頷いた。


「そうか、そうだったのか、初夜の……。」

グレーシス様が口元を押さえて黙ったので、どうしたのかと顔を覗き込んだ。


「グレーシス様?」

「ああ、すまない。実は私もやり直したいと思っていた。一年前の結婚式は、あまりにも事務的で、誠意がなかったからな。」


グレーシス様は、私の正面に向き直ると、騎士が忠誠を誓うように跪いて、私の左手を取った。


「リーリス、私と結婚してくれてありがとう。一生、リーリスの笑顔を守ると誓う。」

ポケットから指輪を出して、左手の薬指に嵌めてくれた。


「これは……。」

セーラン王国王家御用達の宝石店が扱っている、女性に人気と噂の、結婚指輪。


「遅くなってしまったが、結婚指輪だ。セーラン王国では指輪を贈り合う文化があると教わった。私と義兄上からだ。」


「グレーシス様の指輪もあるのですか?」

「ああ、義兄上が贈ってくれた。」


グレーシス様がもう一つ、指輪をポケットから出した。


「私に嵌めさせて貰えますか?」

「勿論だ。そうしてくれると嬉しい。」


グレーシス様用の指輪を受け取って、グレーシス様の左手薬指に嵌めた。


「グレーシス様、私と結婚してくださって有り難うございます。これからもずっと、グレーシス様と共に生きて行く事を誓います。」


グレーシス様の目を見て伝えると、とても優しい笑みを返してくれた。


「では、誓いのキスを。」


グレーシス様はそう言うと、私の頬に手を添えた。

答えるように目を閉じると、ふわりと互いの唇が触れて、ゆっくり離れた。

唇が離れたのは束の間で、更に唇にチュッチュッと何度も啄むようにキスされて、段々深いキスに変わって行く。


頬に添えられていたグレーシス様の手が首筋に触れて、思わず、ピクンと肩が跳ねてしまう。

グレーシス様が気遣うような表情で、囁いた。


「リーリス、この先を求めても?」

「はい。」


ドキドキしながらも頷いて、キュッとグレーシス様の首筋に腕を回して抱きつくと、グレーシス様の逞しい腕にふわりと抱き抱えられて、ベッドに運ばれた。


こちらを見つめるシャンパンの様な黄色い瞳は、何時もとは違う、情熱的な色気を放っている。


「愛してる。」


目を細めて甘く囁かれ、大切な物を扱うように優しく触れるグレーシスの熱を感じると、幸せで蕩けてしまいそうだった。


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