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獣人王子と癒し手王女の政略婚  作者: アシコシツヨシ


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113 女神の癒し

「リーリス、話がある。殿下達も一緒に私の執務室へ。」

結婚式が終わって、退場する時、お父様に声を掛けられた。


心当たりはある。

きっと花が光った件についてね。

王家専用の通路を使って、お父様の執務室へと向かった。


執務室には応接間があり、長方形のテーブルが中央にある。テーブルの幅が広い方にある三人掛けのソファーにグレーシス様と座った。


テーブルを挟んで向いにティミラーお義兄様とフレイルお義兄様。

入り口の正面にあたる奥の席にお父様は座った。


侍従は紅茶を淹れると、退室し、人払いがされた。


「あの光る花びらはリーリスで間違いないな。」

お父様に確認された。


「はい、間違いございません。」

「やはりそうか、で、どのようにして、光らせたのだ?」


光らせようと思ってした訳ではないので、困ってしまう。


「どのように、と言われましても……。ただ、お兄様達が幸せになって欲しいと思って投げていただけですので、よく分かりません。」

「では、この花びらを光らせられるか?」


お父様は、先ほど結婚式で投げる用に渡された花びらを、全て投げずに取って置いたらしく、花びらが入れてある小さなバスケットごと渡された。


「やってみます。」


花びらを手に取ると、自然エネルギーを感じる。

花びらから貰った力を、再び花びらにお返しするように、幸せを願ってみる事にした。


グレーシス様やお義兄様、お父様やお母様、セーラン王国やテナール王国、皆が仲良くなれるよう、笑っていられますように。


突然、花びらが先ほどと同じように、手の中で、キラキラと僅かに光り始めた。


「「「「!?」」」」

全員、私の手の中にある花びらに注目した。


「熱さは無いのか?」

「ええ、特には。」


グレーシス様に聞かれたので、花びらを一枚取って、グレーシス様の手に乗せた。


「本当だ。普通の花びらと感触は何も変わらない。」

グレーシス様の感想を聞いたティミラーお義兄と、フレイルお義兄様が手を出した。


「リーリス、私にも一枚。」

「私にもくれ。」

お義兄様達の手にも乗せ、お父様にも渡した。


皆、手の中で光る花びらをじっと眺めていたけれど、暫くすると、普通の花びらに戻った。


「リーリス、体調は大丈夫か?さっきもだが、何かしら力を使ったら、消耗するのではないか?」


グレーシス様に言われて気が付いた。


「そう言えば。でも、何ともありません。何と言うか、花びらに貰った力を少し返しただけで、私自身は消耗していないのです。」


「花びらに力を返すなんて出来るのか?」

驚くグレーシス様に、私自身も驚いていた。


「みたいです。今、やってみて初めて知りました。」

「リーリス、もしかしたらそれこそが、女神様の力と同じ、万能とされる癒しの力に繋がるのかも知れない。」


「「「え?」」」

お父様の言葉に全員が注目した。


「歴史書には、女神の居る場所に、この世の物とは思えない、美しく輝く万能薬の花あり。と記述がある。しかし、光る花が何処にあるのか、癒しの力との関係は謎で、伝説くらいにしか思われていなかった。」


光る花の話は、教育係から聞いた事があった。

テナール王国の聖獣祭で、光る花を見た時、もしかして。と思ったけれど、その花に何も効果が無いのは、王宮医師のクレインに確認して、直ぐに分かった。


「リーリスによって今、判明したが、光る花とは、花の種類に関係なく、祈りによって作られ、その花が万能薬となる可能性がある。私が思うに、女神と呼ばれた女性は、花に癒しの力を与えて、患者を治療する薬師のような存在だったのかも知れない。」


お父様の考えは、間違いではない気がする。

きっと、女神様は、自然エネルギーを感じられる人で、その力が生きる力を助けると分かっていたのだろう。


「では、今までの患者に触れる癒し手は、やり方が間違っていたのでしょうか?」


お父様は、首をゆっくりと横に振った。


「そうは思わない。覚醒者は皆、幼い頃に自分で癒しの力に気付き、助けたい思いから患者に触れ、癒しの力を使う所が共通している。そして実際に多くの命を救っている。ただ、他にも方法が存在して、女神様の方法を知っていれば、覚醒者の犠牲は出ずに済んだだろう。」


女神様が花を使ったのは、直接患者に触れると消耗して、多くを助けられないと分かっていたのだろう。


私は、癒し手に関して、そういうものだと思い込んで、より安全で、多くを助ける方法を考えるなんて思いもせず、グレーシス様や、沢山の方に心配をかけてしまった。


考えの至らなかった自分が情けなくて、少し、落ち込んでしまった。

ポフン、とグレーシス様の尻尾が私の膝に乗って、手に触れた。


グレーシス様は表情には出さないけれど、いつも私を気遣って、元気づけようとしてくれる。

お父様の手前、あからさまに尻尾を撫でられないけれど、心が落ち着いた。


「今後、リーリスが祈りをした花を作るだけで患者を治療出来るなら、負担も無く、安心だ。それに今後、我が国で覚醒者が生まれても、伝え続ける事で、犠牲を出さずに済む。」


未来の覚醒者の為にも、負担なく癒せる方法を知る必要がある。


「はい、本当に癒しの効果があるのか、帰国したら王宮医師のクレインと調べてみます。何か分かりましたら、お兄様に報告致します。」


お父様への報告は、お兄様経由と決まっている。

直接お父様に報告の手紙を出すと、お忙しいお父様が、お兄様に報告しなければならない。

でも、お兄様は用件を要約して報告してくれるので楽なのだとか。


「そうしてくれ。こちらでも、この花びらの効果を調べて見よう。」


話は終わり、晩餐会の準備の為、執務室を出て、王家専用通路で別邸へ向う。


帰国したらクレインに花を見て貰って、患者さんにも試して貰わなければ。

それに、花がどれくらい持つのかも調べる必要がある。


「リーリス、癒し手の事は一旦休憩しよう。」

グレーシス様に手を繋がれて、ハッとした。


「焦る必要はない。国王陛下も言っていただろう。今までのやり方でも間違いではないと。それに、帰国すれば、クレインが何も言わなくても色々調べてくれる。私達も協力する。だから今は、晩餐会の事を考えよう。」


「晩餐会の事?そうでした!魔物肉が出るのですよね。」

貴族達は食べた後に知ったら、どんな反応をするかしら。


「それもあるが、私はリーリスがどんなドレスを着るのか、が楽しみだ。」


グレーシス様が繋いでいる手を持ち上げて、私の手の甲に頬を押し当てながら、ふわりと甘く微笑んだ。


「今も可愛らしいが、着飾ったリーリスは、さぞ美しいだろうな。」

「……っ!」


どうしよう。美しいグレーシス様の期待に応えられるかしら?

侍女に、それはそれは頑張って貰わなければ。


いつの間にか、グレーシス様の思惑通り、晩餐会の事で頭が一杯になっていた。


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