アンケート(2)
2人に相談しながら、アンケートが完成した。
「良いんじゃないかな、これならバレにくいかも」
「よし、早速今日このアンケートを解いてもらうよ」
早く学校終わってくれ…
学校が終わり、俺は放課後になった瞬間、教室を飛び出した。
「よし、さっさとアンケートを書いてもらうぞ」
自転車を飛ばし最速で病院に着く。
「柊君今日は早いわね」
「はい、アンケートに答えてもらいたくて」
「なるほど、アンケートか良いかもしれないね」
「それじゃあ、俺急いでるので」
いつもならもっと弥生さんと話しているのだが、今日はあいさつ程度にしておく。
病室の目の前まで来た。
すぐさま開けてアンケートを書いてもらいたかったが、いったん冷静になり、普通を装っていつも通りの感じで病室に入る。
「よう、体調はどうだ?」
「もう元気100倍!…て訳でもないかな」
今日はいつも以上に辛そうだ。
「春…お前に書いてほしいものがあるんだ」
「何?」
俺は唐突にアンケートの話をし出した。
自然な流れで書いてもらおうと思ったがそんな話をしている余裕が無さそうだと感じたためである。
「このアンケートなんだけど、書けるか?」
「アンケート1枚くらいなら、何とか」
春はアンケートを手に取ると、勉強道具の中からシャーペンを一本取りだす。
「ちょっと、待っててすぐに書くから」
「急がなくてもいい、確実に思ったことだけを描いてほしいんだ」
「分かってるよ、私嘘嫌いだもん」
「そうだったな」
春は嘘をつくのが嫌いだった、その為、一部の人からは嫌われ、大勢の人に好かれた。
春はアンケートを順調に答えていく、しかし、終盤になり手が止まった。
少し考えたようで、数分経ってからもう一度書き始めた。
「終わったよ」
そう言って春はアンケート用紙を俺に渡してきた。
「ありがとう、助かるよ」
「それにしても、そのアンケートどこのアンケートなの?」
「それはまた今度教えてあげるよ」
「何それ」
俺はアンケートを受け取ると、早速取り掛かることにした。
「もう行くの?」
「ああ、やらなきゃいけないことがあるんだ」
「そう、頑張ってね」
春は横になりながら言う。
「ああ、頑張るよ」
病室を出ると、すぐさまアンケートを見る。
はっきり言って、途中までの話はどうでもいい、肝心なのは最後の質問「あなたの夢は何ですか?」この部分だけだ。
「何々?『私の夢は、高校生になって制服を着ることです』か…」
難しい夢だな…普通に待っているだけでは春の時間が足りない。
何とかして、春に制服を着させてやりたい。
俺はすぐさま、西野さんと安藤にラインで伝える。
「今日これから作戦会議を始める、場所は病院近くのメック。何か用事がある場合は言ってくれ、用事を優先してくれてもいい。集合時間は5時半」
「今日は部活内から行けるよ」
「行きますよ、どうせ行かないって言ったら、強制的に連れていかれるんでしょ。お前には拒否権がない!なんて言って」
そうして、3人がメックに集合した。