自分にできること
次の日
俺は6時に起き1時間勉強した。
とてつもなく辛かったが春のことを考えたら何とかやり遂げることが出来た。
「初日だけど、辛いな」
7時になり、朝食を食べに下の階に下りていく。
「あら、珍しい。一真が朝起きてくるなんて、いつもギリギリだから朝ごはん食べずに行くのに」
「今日から少し早く起きようと思う」
「その方が良いと思うわよ」
俺は朝食を食べ、すぐに俺は自転車をこぎ、考えながら学校に向った。
学校に到着し、教室に向かうがまだ朝早いため、他の生徒は見当たらない。
教室につくが、誰もいない。
誰もいない教室は何か変な感じだ。
俺は前まで春が使っていた机をなでる。
「ここで春は勉強してたんだ」
春は病気がちで、なかなか学校に来ることはできなかったが、あの明るい性格と結構賢い頭脳で友達は多い方だった。
俺は職員室に向った。
「先生、お願いがあります。今日の朝、皆に少し話をさせてください」
「柊、お前が朝早くからくるからどうしたことかと思ったが、それぐらいなら構わないが、何を言おうとしているんだ?」
「みんなに手伝ってほしいことがあるので」
「そうか、だが、問題なのはお前の方だぞ、柊。高校はどうするんんだ」
「高校は今年に受験しません。」
「受験しない!どうして…」
「僕にはまだ時間があるからです。この時間は時間がない奴に使ってやりたいんです」
「春のことか…だが、お前とは何も関係ないだろ、一番に考えなければいけないことをもう一度しっかり考えろ」
「俺の考えは一向に変わりません、今でずっと避けてきた勉強を1年頑張るつもりです」
俺は自分の考えを先生に包み隠さず伝えた。
「そうか、お前は本気なんだな…なら俺はお前の気持ちを尊重しようと思う。今度三者面談で一緒にご両親に伝えよう」
まさか、受け入れてもらえるとは思っていなかったため、少し動揺してしまったが
「あ、ありがとうございます!」
「お前がそこまで頑張ろうとするのは珍しいからな」
時間がたち、朝のホームルームが始まった。
「先生からは異常だが、柊が皆に言いたいことがあるらしい、聞いてやってくれ」
「何だよ、柊とうとう告白でもする気になったか」
「ちげえよ、ええっと、聞いてほしいことがある。みんな覚えているか分からないけど、クラスメイトだった川原さんのことでお願いがある。」
俺はそう言いながら深々と頭を下げる。
「川原さんに皆の時間を少しくれないか。ほんの少しで良いんだ、彼女にはもう時間が残されていない、俺だけの力じゃどうすることもできない。だからお願いだ、皆の力を貸してくれ」
「時間をわたすっていったいどういう事なんだよ。それに今俺たちは受験の真っただ中だろ、他人に構っている時間はないんだよ」
「それは分かってる。だから、ほんの少しでもいいんだ、クラスの皆が1時間あいつのために何かしてくれたら、30時間あいつに時間を分けてやれる、つまり1日以上の時間をあいつに使ってやれるんだ。俺がどんなに頑張っても1日30時間分のことをしてやれない。だからお願いだ、一時間とは言わない30分でも、10分でもいい、だから、あいつに時間を分けてやってほしい」
俺はもう一度深々と頭を下げた。
「は~、何をすればいいんだよ」
「それは…まだ決まってない。」
「何だよ、それ」
「今日、あいつと話をしてくる。それを聞いてから決めようと思う。少しでも早く皆に知っておいてほしかったんだ」
「私たちだって、そんなに時間取れないよ」
「ああ、分かってる」
クラスメイトの反応は半分半分くらいだった。
アイツのために何かしてやろうと思ってくれた奴とそんなことしている時間は俺たちにはないと思っているやつ、確かにいきなりこんなこと、こんな大切な時に言うなんておかしいもんな。
でも、巻き込んでやったぞ、俺だけじゃどうすることもできないことでも、どうにかできる気がする。