田島さん
俺は学校の放課後、家庭科室に足を運ぶ。
中の様子を確認しようとしていると、いきなり後ろから話しかけられた。
「あの…何か御用ですか?」
「あ、いえ…その田島咲さんは居ますか?ちょっとお尋ねしたいことがあるんですけど」
「先先輩なら今日は学校お休みしているらしいですよ。もう部活も引退されてますし…」
「そ、そうですか。ありがとうございます」
――学校に来てない…風でも引いたのか、でも時間が無い田島さんの家に行って直接は無そう。
俺は昔の記憶をたどり、何とか田島さんの家にたどり着いた。
「確かここだ…昔何度か春と遊んでいる所を見たことがある。もしかしたら協力してくれるかもしれない」
プレートには田島の文字が彫られている。
インターフォンを慣らすと、聞き覚えのある声がインターフォンから聞こえてくる。
「はい、誰ですか?」
「えっと、久しぶりです。柊一真と言います、ちょっとお話したいことがあるんですけど聞いてもらってもいいですか」
「帰ってください…」
「え…」
そしてインターフォンから声は聞こえなくなった。
――え…話も聞いてもらえなかったんだけど。何で…
もう一度インターフォンを慣らす
しかし、反応が無い。
――仕方ない、一応伝えられるところだけ伝えておこう。
「田島さん行き成りすいません。頼みたいことがあって、学校を休んでいると聞いたのですが、時間が無いのでいきなり家まで押し寄せてしまいました。ただ春のことで話を聞いてほしかったのですが、今日は帰ります。内容を紙に書いてポストに入れておきますので、読んでください。明日もう一度来ます」
――今できることはこれくらいだろう、何とか田島さんの気が変わって話を聞いてもらえたらいいんだけど。
俺はルーズリーフにお願いしたいことを書き、ポストに入れた。
そしてその場を離れる。
「………」
――もう行ったかな…いきなり家に来るなんて、びっくりした。柊一真って…確か春ちゃんと一緒に遊んでた時よく春ちゃんと怒鳴り合ってた人…だよね。
私は重たい体を動かし、玄関へと向かう。
「う…眩しい、久々に太陽の光見たかも…」
――確か…ポストに何か入れたって言ってたよね…
サンダルを履き、ポストまで歩く。
「あった…これだ」
ルーズリーフを手に取り、すぐさま家の中に戻る。
階段を上り自分の部屋に行くとベッドに倒れ込む。
作りかけの服や、布の切れ端、裁縫道具が徐に置かれ、お世辞にも綺麗な部屋とは言えない。
「何々…制服を作ってほしい…どいう言う事」
[田島さんにお願いしたいこととして制服を作ってもらいたいんです。女子高生用の制服、藤高校の制服何ですけど、どうかお願いします。どうか春の夢を叶えてやって欲しいんです]




