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カレンダーをめくりたい  作者: コヨコヨ
11/14

先生

「お母さん…お気持ちは痛いほどわかりますが…春さんの前ではそのような感情を持ち出さないようお願いいたします。」

「は…はい…分かりました」

その人は先生のもとを離れていく。

「何て僕は無力なんだろうか…」

今まで、死ぬほど努力して、いい学校った。

高校では学年で一番を取り、3年間全て1位。

大学も日本で有名な大学に現役合格を果たし…そのご、死ぬほど努力して医師免許を取った。

研修医の時、それはもう大変だった…睡眠時間は3時間、給料もほぼなし…。

僕が初めてその子にあったのは3歳の頃…

「先生はどうして他の先生と違うの?」

「それはね、僕がまだ本当の先生じゃないからだよ。今本当の先生になるために勉強しているんだ」

「へ~、でも私先生が一番好き!だってスッゴク優しいんだもん!」

「そうか、そう言ってくれるとすごく嬉しいよ」

ベッドに横たわり、点滴を打っている、生まれて初めての入院だったらしい。

その後よく、病院で会うことが多くなった。

「ん…またあの子だ…最近体調が悪いな、どうしたんだろう」

初めて、願が見つかったのは6歳の故…小さな腫瘍が発見され、悪性の為すぐさま手術を行った方がいいと判断し、手術が行われた。

結果は無事成功し、一命をとりとめた…が、彼女の戦いはまだここからが始まりだった。

その後…幾度となく入退院を繰り返していく。

僕はその間に研修医から医者になる事が出来たのだ、そして医院長から僕の担当する子にその子が任命された。

選ばれた理由はよくなつかれているということ+見届け人だった。

すでに何度も癌が再発しており…いつ急変するかも分からない状態になっていた。

しかしそれでも、彼女は笑顔を絶やさなかった…きっと心では辛かっただろうに。

数年後彼女は亡くなった、僕の初めて担当した子は私の目の前で天国に行ってしまったのだ…この時も思った

「僕はなんて無力なんだろう」と

その後も多くの人を助けてきた半面、多くの人の死を見てきた。

感謝されることも多くあるが…罵倒されることだって一日何度あることか…

僕は何度も思った…

「どうして僕は医者に成りたかったのか」と

思い返してみても…特に理由なんてものは無かったのだ。

アニメの主人公の様に、凄い能力を持っていたわけでもない、憧れでもない…

辞めたいと思った時だって何度もある、指に収まり切らないほどに。

しかし、実際はやめていない、それは何故か。

僕が辞めてしまったら、僕の担当する患者さんが困ってしまうからである…ただそれだけの理由だ。

辞めるなんて簡単に言っても、そう簡単に辞められる人は少ないだろう。

ましてや、ここまで苦労してなった医者を綺麗さっぱり辞められる人がいるだろうか…。


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