ポジティブ
「よし!西野さんも頑張ってるんだ!俺も頑張らないと」
俺は先生のもとへ向かった。
職員室はいつも遠いと感じる。
どうしてこれだけ職員室とは行きにくい部屋なのだろうか。
俺はいつも職員室に向かうときは、あまり良いことが無かったからかもしれない。
そのため、頭の中で職員室に向うという行動が嫌なものになってしまっているのかも。
しかし今回はそんなことを言ってられない。
俺はいつもより早歩きで職員室まで歩く。
そして何とか到着した。
この部屋を好きな生徒はいったい何人いるだろうか…
「よし!行くぞ…」
俺は職員室の扉を叩く。
自分の名前、教室、用がある先生の名前を言う。
そして、目的の先生がそこにいることを確認すると、俺は、先生のもとへ駆け寄っていった。
「どうした、柊?何か用か」
「先生お願いがあります、春のために卒業式と入学式をやってもらえないでしょうか」
先生は椅子に座ると、腕を組み悩み始めた。
「う~ん…しかしな…今こんな世の中だしな…多くの人が集まるのは…あまり良くないんじゃないか…」
「そこを何とかお願いしたいんです。春にはもう最初で最後の高校生なんです。」
「いや…しかし、先生にも生徒を守る義務があるかなら、1人の生徒のためにそこまではできないよ」
俺は頼み続けたが、先生は一向に首を縦に振らなかった。
「失礼します…」
職員室を後にする。
「クソ…こっちもダメなのか…いやまだ諦めない」
「やっぱり駄目だった、柊君」
「安藤…そっちはどうだった」
安藤は首を横に振る…
「やっぱり駄目だったよ、『こんな時期に何やってるんだ』ってさ、どの生徒も自分のことで精一杯だって」
「そうか…西野さんもダメだったらしいし…いったいどうしたら」
俺は珍しく落ち込んでいた。
「柊君がそう言うこと言うの珍しいね」
「え?そうか…」
「そうだよ、だっていつも、ポジティブでいるじゃないか。いや、ただ僕がそういうふうに見えてただけなのかな…」
「はは…確かに、今までは無理してでもポジティブでいようとしてたのかもな…そうだ…そうだよな、周りがダメでも、俺たちはポジティブでいなきゃいけないんだ。最後まで全力を尽くす。今はそれだけを考えよう」
下を向いていた気持ちが少し上を向いた。
「安藤、ありがとうポジティブじゃない俺なんて、俺じゃないもんな」
「別に僕は何も言ってないけど…まぁ、気持ちが上がったのならそれでいいんじゃない」
「よし!今日の点を踏まえて作戦会議だ!」
「は~分かったよ」
「先生…家の子…もうダメなんですか…」
「はい…。時間はもう残り少ないです」
「そんな…どうしてあの子が…」
その人はその場に苦連れ落ちる。




