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3話

ごきゅ、、ぐしゅ、、

私の耳に微かに聞こえるこの音はおそらく解体の音だろう。


「ひぃぃぃ、!痛っ!!ひぇ!」

今は1人の声しか聞こえない。

その1人ももう逃げられない。



「くるな!やめろぉぉぁぁあぁぁ!!!」


、、、、、

ぐしゅじゅ、、

ごきゅ、、


怖い、怖い、怖い、私もあんな風に死ぬんだ、、

歯がカチカチとなる。その間も音は続く。コレが終わったら次は私だ。

嫌だ、怖い、死にたく無い、死にたく無い、死にたく無い、死にたく無い、死にたく無い、


ーーーーーーーーーーー


ーーーー召喚した後働いて貰う対価に魔力を支払わなければなりません。魔力以外にも対価は有ります。

魔法はイメージです。


ーーーーねぇ私たちアニメとか見てたからこの世界の人達よりずっとイメージとか出来てると思うんだよね!

傘持ってコマにのって空飛ぶイメージだってバッチリだし!


ーーーーーーーーーーーーーー


身体のトゲトゲした魔力を外に出す。イメージは出来てる。

まだ魔法がある。召喚した後の事は知らない。取り敢えずこの森から抜けられる召喚を。


私はーーー生きたいんだ!


っ!!!

光に包まれた。


手に固い感触が走る。久しぶりに感じる鉄の冷たさ。それをしっかり握りそのまま空へ!!飛べ!!


その瞬間真後ろから何か音が聞こえたけれど私は一瞬で空へ到達していた。


一気に上に昇ったからか耳が痛いし息も苦しい。しがみついたまま、ガチガチに固まった体を無理やり動かして両足で立つと屁っ放り腰だけど前が見えるようになった。そしてゆっくり、ゆっくり大きく旋回しながら高度を下げる。私の召喚したのはナウシ○に出て来るメー○ェのそっくりさん。違うのは翼にソーラーパネルが付いている事。私には動いて貰うための魔力が無い。だから太陽の光がエネルギーに出来るソーラーパネルを両翼に装着した。目論見は大成功な様で私は魔力切れで意識を失うこともなく飛行はイメージ通りに行えている。

ソーラーパネル付き。だからソーヴェ。


丁度良い高さになったので下を見ようとして、失敗した。指がガチガチに固まって手すりから離れない。尿意も感じなくて失禁してたと今になって気付いた。


生きてる!生きてる事には成功したけど、、、

あはは、、あはははは!

目からまた涙が出て鼻から鼻水が出て、ボサボサの髪の毛が幾つか顔にくっ付いたけど私は声に出して笑った。

太陽も空の真上ら辺。

まだ大丈夫。

暫く旋回しながら自分でもよく分からないけれど泣いて泣いて、笑い続けよう。


**********






はぁ、風が気持ちいいわぁ。


「これからどうしよう。」


やっと心が落ち着いてまず出てきた言葉はこれで。


ーーーいや本当にどうしよう、、


私はソーヴェの上で途方に暮れる。今はまだ太陽が出てるから飛べている。でももうじき日がくれる。なのでこのままの状態はよろしくない。もっと正直に言うと非常にまずい!


まずソーヴェが落ちる。あの森に入るのは2度とごめんだし落ちた瞬間動物だか魔獣だかの餌になるだろう。取り敢えず森をゆっくり突っ切っているのだけど日暮れまでに抜けられるのか不安になってきた。ソーヴェのスピードアップのイメージも出来るんだけど、アニメと違ってリアルGって結構怖い。


さっきは無我夢中でやったけど出来るなら安全第一で飛びたい私です。


ーー命綱なしの絶叫系とかマジで無理だから!


呼吸一つ。落ち着きましょう。良く周りを見て。良く晴れているけれど念のため雲の少ない方を目指す。


森の切れ目が見えた気がして気持ちスピードを上げる。本当に気持ちだけど。右奥に高い山が見えてきたけどあっちは雲がでてて天気悪そうだから近づかない。なんか日が当たってないせいか暗いし。山の天気は変わり易いって言うしね。 そしてやっぱり切れ目だった!ビンゴ!まだなんとかなりそうだ。


取り敢えず森を抜けたら森から続く街道に沿って飛んでどこか村とか見つけたらそのちょっと手前で降りて旅人のふりとかしてそこで一泊泊めさせて貰えるか聞いてみよう。


でも私一文無しだ。


しかも服も髪もボロボロで失禁までした後だし、どう考えても一般の人が受け入れてくれる風貌じゃ無い。一生懸命お願いしてそこで働かせてもらえたりしないかな。そこまで考えて、けれどもしも、もしもその人達も嘘を簡単につける人だったら、、今度は本当に殺されるかもしれない。最初は優しくして突然掌を返される。お城での人達みたいにあんな事をまたされてしまったら、、


いや違う。私の考えが根本から違う。


されるかもしれない、"される可能性が高い"んだ。それ前提で考えなければならない。だけどもし村に入ったらたら、そこは比較的安全という事。

夜こっそり村の敷地に忍び込んで物置の影とかで寝よう。一晩魔物に喰われる心配をせずにゆっくり寝れるだけで御の字だ。地面の上でも畑の上でもどこかの道の上でも構わない。


どれも土の上だけど。


そんな事を考えながら森を抜けた私は、村どころか道も一本もない現実にまた打ちのめされた。ここがソーヴェの上じゃなかったらヘナヘナと腰からその場に座り込んでいるだろう。希望を想像でだけど見た分大きな喪失感が襲って来る。


まだ日はあるけれど、緩やかな傾斜になっている場所に向かって少しずつ高度を下げる。少し標高が高いからか木はあっても低く、どちらかと言えば草原に近い場所にゆっくりと着地する。


地球の高原とかに当てはまるのだろうか。高くて崖とは言わないけれど少し突出していて周りが見渡せる、もし何かきてもすぐに気づいてここからまた飛び立てるそんなところに着地する。

なんかアルプスの小さな女の子がヤギ連れて出て来そうなところだな。


ら〜ららりほ〜。


ゆっくりゆっくり旋回しつつ高度を下げて最後はふわりと一度少し浮かしてポスンと着地する。うまく行った。気が抜けたからか、そのままふっとソーヴェが消えた。その場にへたりと座り込んだまま大きく息を吐く。緊張した身体が吐く息と共に抜けて解けていく。


良かった!着地も無事成功!それでも周りの警戒を怠らない様にしなければ。それも日が沈んだらどうすれば良いか分からない。この一夜を無事生抜いて、明日の朝日を浴びる事が出来るのだろうか?せめて一夜無事に寝られる所が在れば。生憎そんなところは無いしこの世界に疎い私は外の事がさっぱりだ。


ダメ元でソーラーパネル式のオール電化の家を召喚してみよう。全部の窓のシャターをして一晩引きこもれば少しは安全なんじゃないだろうか?

ただ全部のシャターをして外との視界をシャットアウトしてしまうといつ朝になったか分からないし、朝だと思ってシャター開けた瞬間に運悪く何かに私がパクリとかもあるかもだし、そもそも家よりでかい魔獣が、例えばドラゴンとか存在してるかどうかも私は知らない。少し小さな明かりとりの窓を用意してシャッターは電動にすれはば少しはリスクを抑えられるだろうか。それを召喚と言ってもそもそも出来るかどうか分からない。ソーラーが付いてても夜になったら維持出来ずに消えちゃうかも。でもやはり安全の為に家は必要だ。うん、やるだけやってみよう。


二階建ての黒い屋根にソーラーパネル付けて蓄電式。窓は全て電動シャッター、壁はコンクリート壁、、うんうんイメージを作っているとふと視界に何か動く物が入ってきた。



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