キャラメイク
キャラメイク
あのあと、妹から軽く黒餡について説明を受け、サービス開始が2週間後の夏休み初日で、キャラメイクと動作確認は、クレイドルの機能でできるからやっておいた方がいいと言われた。
β時代にキャラメイクだけで、β期間2ヶ月のうち、2週間を使った猛者がいるほどキャラメイクの自由度が高いらしい。
初回起動の際に、生体情報のスキャンがあるため、できる限り薄着、完璧を期すなら全裸でクレイドルに入ることを薦められた。
妹に切らせて貰えず、お尻くらいまである髪を洗って貰うため、妹に裸を見られても今更なので、裸になりクレイドルに入った。
「リンク」
《現在、X Unlimited Onlineはサーバーとの接続がされていないため、キャラクターメイキングと動作確認のみ実行可能です。続行しますか?》
「お、お願いします」
《了解しました。今回が初回起動のため、生体情報のスキャンを開始いたしますがよろしいですか?》
「はい」
《スキャンを開始いたします。残り時間30分》
30分、何もすることがなく、目の前に浮かぶカウントダウンの数字を眺めていた。
《スキャン完了まで、10》
《9》
《8》
《7》
《6》
《5》
《4》
《3》
《2》
《1》
《0、スキャンが完了しました。身長128cm、体重32kg、バスト……》
《クレイドル、シリアルナンバー:A002001、type COCOONにユーザーデータが登録されました。以降本機は、ユーザー様専用になります》
アナウンスのあと、視界が瞬いたと思ったら、白い空間にいた。
《ようこそ、ユーザー様。キャラクターメイキングを開始いたしますか?》
「はい」
《先ず、ユーザーネームの登録をお願いします》
「えーっと、八月一日 司です」
《それでは、司様。X Unlimited Online内でのお名前、プレイヤーネームを登録して下さい》
「えーっと、翼ちゃんは月に関係する名前にしたって言ってたから、ボクもそうしようかな。うー、十五夜はちょっと違うし、偃月や皓月でもないし、うぅー、あっ十六夜、十六夜でお願いします」
《登録いたしました。続いて、キャラクターの性別を決定して下さい》
「えっと、女の子でお願いします」
《スキャンされた性別と異なりますので、性別を決定するにはこちらの同意書
にサインをお願いいたします》
「えーっと、はい、サインしました」
《サインを確認いたしました。性別を女性で確定します。次に種族を基本種族とガチャ選出の3種族から選択して下さい》
目の前にガチャガチャが現れ、"ガチャを3回まわす"と表示された。
ガチャの注意事項には、"ガチャからは基本種族が選出されることがあります"と書かれていた。
ボクは、特に使いたい種族があったわけではなかったので、適当にガチャのボタンを押した。
ガチャの結果は、"白面金毛九尾の狐"、"機甲種"、"エルフ"だった。
「あのぉ、九尾とマシナリーのハーフって可能ですか?」
《可能ですよ》
「じゃ、じゃぁ、九尾ベースのマシナリーのハーフでお願いします」
《それでは、キャラクターの外見を決めていきましょう》
真っ白な空間に、のっぺらぼうの人形が浮かび上がった。
《スキャンした現実の外見を、女性型にして反映いたしますか?》
「はい」
のっぺらぼうの人形の背が縮み、現実のボクより若干腰が括れて女性っぽい姿になった。
《…スキャンデータほぼそのままなのですが、本当に男性ですか?》
「はい…、いちおー男です。ちょっとだけ発育の良い、女子小学生に間違えられますけど…」
《そ、そうですか。この姿をベースに種族特徴を反映していきます。》
「はい、お願いします」
《先ず、白面金毛九尾の狐を反映いたします。》
目の前に浮かぶボクが金髪になり、狐の耳と9本の尻尾が生えた姿に変わった。
《ここに、マシナリーの特徴を足していきますが、どのようになさいますか?》
「えっと、先ず、骨格をマシナリーに変更して下さい」
《はい、変更いたしました》
「次に、両腕を二の腕の途中から指先までマシナリーにして下さい」
《反映いたしました》
「更に、両脚も太ももの途中から指先までマシナリーでお願いします」
《反映いたしました。この姿をベースに調整いたしますか?》
「はい」
そのあと、瞳や髪の色、髪型と種族特徴を調整しアバターが完成した。
少し大きな狐耳の銀髪緋目、色白の少女で、手足は黒く尖った鎧のような見た目だ。
《アバターが完成しました。ステータスを確認しますか?》
「お願いします」
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名前:十六夜
性別:女
種族:白面金毛九尾の狐/機甲種
Lv:1
HP:100/100
MP:100/100
STR:15(∧)
VIT:6
INT:15(∧)
DEX:10(∧)
AGI:10(∧)
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《……、ステータスのパラメーターがかなり高いですね。原因は…、あぁ、これですか。まぁ、不正ではないので問題ありませんね》
「えっと、どうしたんですか?」
《2種族を掛け合わせたことにより、通常のLv.1の状態よりもパラメーター値が高くなってしまったようです》
「ほぇー」
《不正行為が行われたわけではないので、問題ありませんよ》
「はい」
《スキルは、SPを消費することで、スキルリストから取得することが可能です。また、冒険者ギルドなどでの習得も可能です》
「へぇー」
《それでは、武器とスキルの選定とステータスポイントの割り振りを行いましょう》
「はい、えっと、武器ですけど、ソードメイスって有りますか?」
《はい、ございますよ。2種類有りますがどちらのタイプになさいますか?》
目の前に、2種類のソードメイスが具現化した。
1つは、長さ40cmくらいの棍棒の先端に刃が取り付けられた物。
もう1つが、長さ2mほどの鍔の無い両刃の剣を模したような鈍器で、叩き潰すとか、へし折ることに重きをおいた武器に見えた。
ボクには、後者のソードメイスがカッコよく見えたので、鍔の無い両刃の剣を模したソードメイスを選んだ。
《そちらのソードメイスでよろしいですか?》
「はい」
《その武器を使用するには、【刀剣】と【棍棒】のスキルが必要ですが、初期SP30ポイントのうち、6ポイントを消費して取得しますか?》
「はい、お願いします」
《残りのSP24ポイントで、更にスキルを取得しますか?》
「えっと、残りは妹と相談して決めたいです」
《了解しました。アバターのステータスポイントの割り振りと動作確認のため、専用スペースに移動します。……、クレイドル、シリアルナンバー:A000171、朧月様とのローカル接続が確認されました。共有スペースにて動作確認を行いますか?》
「えっと、はい」
《それでは、移動します》
視界が一瞬白く染まり、気が付くと道場のような場所に移動していた。