~支度~
~前話あらすじ~
ユズの故郷、火ノ国へ旅立つ2人。
その前に支度をしなくては。
歩いて・・・10日!?
「あの・・・遠くないですか。私の脚がストレイン損傷及び中足骨骨幹部不完全骨折しても構わないというんですか!?」
ミカンは必死に、必死に訴えかけた。体育はどうにも好きになれなかった。小さい頃から体の動かし方が分からなかったからだ。身体の構造は内部までにわたりしっかりと頭に入っていた。だがどう動かすのか、自分の身体の事はさっぱりわからなかったのだ。
「いや、怪我してもミカンは治癒魔法使えるし。大丈夫だろ?」
「私、わかりません。なぜ怪我や病気を治るのか。今まで学んできた4年間の月日と努力はなんだったのか。魔法ってズルくないですか?」ブツブツ…
「うわ・・・ずっとなんかブツブツ言ってるよ。コイツ大丈夫か・・・。」
「37.41.43.47.53.57・・・57は3×19かウフフフフ・・・。」ブツブツ…
「ヒェッ。なんかヤバイ奴だったかもしれん。パパ、ママ僕もうダメかも。」
「ところでユズさん。私たち結局ご飯、食べれてないですよね。私お腹が空きました!どこかでご飯にしましょう。」
「あ、あぁ。そうだな。」突如冷静に戻ったミカンに動揺を隠せないユズだった。
「じゃあ俺は動物を狩ってくるからミカンは薪とか拾ってきて貰えるか?火は出せても火種がなきゃ魔力の無駄遣いだからな。そうだ、ミカンは料理は出来るのか?」
「えぇまぁ、人並みには・・・。」玉子焼き程度である。
「なら良かった!うまいメシ頼むぜ!じゃあ30分後にまたここで!」
走り去っていくユズ。平原にポツンと立たされたミカン。
迫り来る、
大量のネズミ。
響き渡る、悲鳴。
キャアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!
Thank you for reading!!!