~初治療~
~前話あらすじ~
目が覚めるとそこは見知らぬ平原だった。
迫り来る巨大なアリにまたも失神するミカン。
掛けられた声はいったい……!?
…きろ!…起きろ!
「う、うぅ・・・。」
パァンッ!
「っはい!おはようございますっ!」
耳元での盛大な破裂音に飛び起きた。
「やっと目を覚ましたか。俺の名はユズ。お前、怪我はないか?」
「う、うん。大丈夫みたい・・・どうして私はこんなところに・・・?」ミカンはユズと名乗る少年をしげしげと観察した。
(16歳くらいかな。麻の服を着てるわね。あと腰には長い剣・・・銃刀法はないのね・・・)
「危ないところだったな。俺が気付かなかったら…」
「あなた怪我してるじゃないの!その腕見せて!」
「なんだよ、引っ掻き傷だろこんなモン。お前もしかして治癒魔法つかえんのか?」
「治癒魔法・・・?何言ってるの魔法なんて使えるわけないじゃない。私がするのはごく一般的な応急処置よ?」
「オウキュウショチ?何言ってんだわかんねーが治せるなら頼む。」ずいとミカンの眼前に右腕を差し出す。
「ユズ、あるならお酒と炎を用意できる?それとあなたの服の裾も少し貰うわね。」了承も取らずビリリと破る。
「おいっ!おまえ!酒ならとーちゃんが炎なら俺が出せるぞ。」指先からボウッと出してみせた。
「あっはは・・・あなた魔法使いなの・・・もう私の住んでた世界ではないのね・・・」
「まぁいいわ。少ししみるかもしれないけれど男の子なんだもん我慢できるわよね?」ユズの右腕に走る裂傷にツンと芳るお酒をぶっかける。
「いだだだだだだだだだ!治すんじゃなかったのかよ!お前さては・・・」
「はいはい。騒がないで炎を出し続けてねー。じっとしてるのよ。」と、ユズの指先で燃え移らないよう麻布を炙ったものを先程アルコール消毒した裂傷中心にグルグル巻いた。
「はい、終わり!よく頑張ったね!」ミカンはユズの顔を見てにっこり微笑む
「はい、終わり!・・・じゃねーよ!治癒魔法唱えてないのに治るわけな・・・・・・治ってる!?もう痛くねぇ!なんだよ!やっぱ魔法使えるんじゃねーか!」
「いやいや!魔法使えるわけないじゃない!その布が汚れたら取り替えるのよ。まだ治るわけないんだか・・・治ってる!?」
「「えっなんで・・・!?」」
Thank you for reading!!!