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36話 精霊艦隊

 王国暦442年1月。

 マーナ星系を壊滅させた王国軍は、110光年先のトール星系に迂回進撃した。連合に対して太陽系へ戻ると見せかけ、恒星系外で進路を変えての侵攻である。

 ヘラクレス星系からマーナ星系までの150光年を戻っていた連合主力は、首星への急行中にトール星系壊滅の報を受けた。


「トール星系を襲ったのは、本当にケルビエル要塞だったのか」

「間違いなくケルビエル要塞だと確認されています」


 救援艦隊を指揮するデクスター元帥は耳を疑ったが、総参謀長のホーキンズ大将は無情に頷いた。トール星系にも艦隊と要塞が配備されており、偵察艦隊も索敵行動を行っていた。正規軍がケルビエル要塞を見間違う事は有り得ない。


「馬鹿な、早すぎる」


 一体どうなっている。と、デクスターは訝しんだ。

 連合の首星があるマーナ星系と、中立のフロージ共和国に最も近いトール星系との航路では、膨大な民間交易船が行き来している。

 それらの船舶全てから通報が無かった理由は、ケルビエル要塞が航路を大きく迂回したからとしか考えられない。だが大きく迂回すれば、到着は遅くなるはずなのだ。

 ケルビエル要塞の出力が連合要塞の3倍も大きく、一回で長距離をワープ出来るにしても、高次元空間の計算などで制約がある。常識的に考えれば、有り得ない進撃速度だったのだ。


「薬物を使用して、殆ど寝ずに移動し続けたのか」

「それは無いと考えます。ワープ中に意識を失えば、高次元の渦に飲み込まれます」


 デクスターの想像は、ホーキンズから即座に否定された。

 物理的には不可能では無いが、実行させるのは正気の沙汰ではない。要塞には艦隊や戦闘艇も駐留しており、失う場合の損失が大きすぎるからだ。


「我らは全艦に、魔素機関の稼働者を2名付け、24時間休まずに行軍している。だがケルビエル要塞の稼働者は、アマカワ子爵だけのはずだ」

「全長90キロメートルの要塞をワープさせられる高魔力者は、王国に発生した遺伝子の奇跡。それが2人も居るはずがありません」


 ケルビエル要塞の情報は、連合軍が最優先で入手を試みている。

 ヘラクレス星域会戦で連合軍が捕虜にした王国軍からも情報は得ており、運行補助者がユーナ、フィリーネ、コレットの3名である事や、その魔力値も概ね把握している。

 彼女達は、複数設置されている魔素機関で副砲のレーザーやシールドは発生させられても、要塞全体を包むワープは行えない。


「それでは何故、これほど早いのだ」


 デクスターが知りたがったケルビエル要塞の進撃速度の秘密は、ハルトが持つA級結晶にあった。

 連合は精霊結晶の情報も得ていたが、捕虜たちがC級結晶を最高だと誤解していたため、それを基準にして辻褄が合わなかったのだ。

 王国軍が制圧したトール星系から、フレイヤ星系までは150光年。

 連合軍が辿り着けていないマーナ星系から、フレイヤ星系までは120光年。

 しかし、この時点では王国軍がフレイヤ星系に侵攻するとは限らなかった。

 人類国家連合群は、複数の国家が加盟する国家集合体だ。

 マーナ星系やトール星系を主とする国家の艦隊が、本国からの救助要請を無視して、侵攻されるのか不明瞭なフレイヤ星系に向かう事は困難だった。

 そして彼らがマーナ星系に辿り着き、地獄と化した惑星フィンの地下深くや海底深くで生き延びた人々の救助を行いながらトール星系にも救援部隊を送った後、悲壮感に満ちた通信がフレイヤ星系から届いた。


「急報です。フレイヤ星系が、ケルビエル要塞に襲われています」

「くそっ。辺境の蛮族どもは、連合の全星系を破壊する気だ」


 現状に至ってデクスターは、王国軍の目的を完全に理解した。

 それは連合が現在有する5つの星系の内、ヘラクレス星系を除いた4つの星系を残らず破壊して、人類国家連合群を敗滅に追いやるという目的である。

 フレイヤ星系は未だ陥落していないが、後方星系で防衛力に乏しい。壊滅は、時間の問題だった。

 星系ごとの人口は、マーナ星系90億、トール星系62億、フレイヤ星系50億、そしてマクリール星系48億、ヘラクレス星系10億。

 このうち人口が多い4星系250億人が失われれば、惑星を実効支配しているとは言い難いヘラクレス星系の10億だけが残っていようとも、人類国家連合群は敗滅を免れない。


「全軍、次に王国軍が攻撃するマクリール星系に向かう。大至急だ」


 デクスターには、それ以外の選択肢が無かった。

 そして命令を受けたホーキンズも、参謀長として他の判断は出来なかった。


「フレイヤ星系には、艦隊の補助艦を一部分離して救助に向かわせますか」

「そうしろ。それとヘラクレス星系からも、追加の救助隊を出せ。救助後は、中立のフロージ共和国にでも避難させろ。フロージ共和国民を1人でも乗せておけば、先方も拒否は出来ないだろう」

「了解しました」

「併せて戦闘艦に命令。全艦、ワープ限界距離を超えて跳び続けろ。艦隊陣形など無視しろ。1隻でも良い。マクリール星系が破壊される前に辿り着けば、家族を避難船に乗せられる。そう伝えて各艦を追い立てろ」


 デクスターは戦闘艦を脅し付け、マクリール星系に急行した。

 王国軍が居るフレイヤ星系からマクリール星系までは、約160光年。

 連合軍が居るマーナ星系からマクリール星系までは、約110光年。

 両軍とも最短宙路を選択したが、連合側はフレイヤ星系が王国軍に攻撃された時点から、フレイヤ星系に移動を開始した。

 その結果、連合艦隊は相応の脱落艦を出しつつも、王国軍に先んじてマクリール星系に到達できた。

 マクリール星系にケルビエル要塞が姿を現わした時、デクスター率いる連合艦隊は、マクリール星系の防衛艦隊と合流を果たしたところだった。


「ワープアウトしました。多次元魔素変換観測波にて、周辺3億2000万キロに敵影なし。星系には軍艦規模の魔素反応多数」


 司令部の航宙部長が報告すると、ヴァルフレートは星系図を睨みながら指示を出した。


「魔素機関停止。全艦隊、速やかに出港せよ。戦闘艇は待て。要塞を再加速させて、敵との距離を詰めてから出す」


 要塞司令部のメインスクリーンに、マクリール星系内の索敵結果が次々と反映されていく。その間に艦隊が飛び出し、要塞周辺で陣形を整え始めた。

 やがて艦隊が展開を終えた頃、星系図には青と赤の敵味方が綺麗に分かれて表示されていた。


 王国軍 4個艦隊相当 戦闘艇578万艇 攻撃要塞1基

 連合軍 15個艦隊 移動要塞8基 民間船多数

 戦力比 100対71


 マクリール星系には、連合首星があったマーナ星系を除く辺境2星系と比べて、圧倒的多数の戦力が駐留していた。

 その出所がヘラクレス星系であろう事は、ヴァルフレートならずとも容易に想像できた。


「今から反転してヘラクレス星系に直進したら、マクリールを救援に来た艦隊は追い着けないから、第二次ヘラクレス星域会戦は圧勝じゃないか」


 ハルトが左隣のフィリーネに笑いかけると、フィリーネは微笑み返した。


「確かにそうですけれど、目の前の敵に対しても優勢ですわよ」


 それもそうだった。と、ハルトは同意した。

 最終決戦となる4星系目の戦いは、連合の艦隊こそ間に合ったものの、敵戦力評価が味方の半分という圧倒的優勢になっている。

 これを見逃す理由も無く、ヴァルフレートは進撃を命じた。


「あの敵を砕けば、連合の息の根を止められるぞ。この戦いに勝てば、全員に昇進と特別功労金を約束する。我々の手で、ディーテの悲願を達成するのだ。全軍、星系内に向かって突き進め!」


 命令を受けた将兵は奮い立ち、各艦の魔素機関が出力を上げて光を放ちながら、巨大な津波となって連合軍に押し寄せていった。ケルビエル要塞も加速を行い、艦隊に先行する。それらの進撃に合わせて、ミサイル群も一斉に放たれた。

 既に目前の敵を倒さなくても、連合は継戦能力の大半を喪失している。

 だが敵艦隊と移動要塞を放置すれば、昨年の首星防衛戦のように、王国の1星系に特攻される危険は残る。王国が安全を確立するためには、確実に息の根を止めておくべきだった。

 艦隊に先行したケルビエル要塞は、敵の射程外で魔素機関を停止させ、慣性航行中に大量の戦闘艇を放出した。


「要塞ミサイル群、敵軍のミサイル群と交差します」


 両軍の核融合弾が衝突を始めて、各惑星の夜空に輝く星々を増やした。

 両艦隊の光学観測機が、連鎖する白光に視界を奪われていく。

 恒星爆発の衝撃波が各艦のシールドを揺らす頃、ついに両軍はレーザーの射程に入った。


「撃て、連合軍を掃討しろ!」

「全艦、広がって射線を確保しろ。王国軍を弾き返せ」


 両勢力の軍艦艇は性能に大差が無く、両軍は共に同程度の距離から砲撃を開始した。

 星系簡略図に表示された4の青艦隊と、15の赤艦隊が簡易星系図でぶつかり合う中、それぞれ戦闘艇3万の集団を表わす192の青い塊が赤艦隊に迫っていく。

 艦隊を傷つけずに敵艦艇を削り取れる、極めて有用な戦闘艇軍団。

 3星系で22万艇が沈んでしまったが、1個艦隊50万人が沈むのに比べれば、損失は抑えられている。そして本来の3分の1と見積もっていた半素人のパイロットたちも、3度の大会戦を経験させた事によって急成長していた。

 王国軍の必勝のパターンとなりつつある光景に、王国軍司令部は4度目の勝利も確信した。

 だが青い波は、赤の前衛に打ち消されていった。


「戦闘艇の状況を報告せよ。被害が大きいのでは無いか」


 星系図に違和感を覚えたヴァルフレートが、参謀長に確認する。

 参謀長は直ぐに参謀達に指示を出して、戦闘艇軍団の指揮所から報告を拾い上げて原因を把握した。


「敵艦に、核融合エネルギー変換型の電磁パルス砲が大量に取り付けられております。攻撃を浴び続ける戦闘艇は、シールドが消える瞬間に撃ち落とされます。しかもシールドを張り続けても、艦砲で落とされています」

「どれくらいの増設だ」

「我が軍が事前検討していた最悪の増設パターンです」


 連合軍艦艇に増設されていたのは、自動追尾型の電磁パルス砲だった。

 軍艦はコーディング処理で殆ど無効化されるため、電磁パルス砲は戦闘艇に対する対宙砲火にしか役に立たない。さらに艦体各所へ核融合変換器を取り付ける事で、爆弾を腹に巻いたような危険な状態になってしまう。

 大量の電磁パルス砲を取り付けている敵艦隊は、あまりに不自然だった。


「敵はマーナ星系が襲われている報告を受けて、直ぐさま飛び出して来たのだろう。マーナ星系で戦闘艇を使ったからと言って、電磁パルス砲を大量増設している時間は無かったはずだ」


 問われた参謀長は、マーナ星系で取り付ける時間が無かったかを考えて、マーナ星系内の工場も資源も破壊し尽くした事を思い出した。

 そして王国軍が、戦闘艇を導入する際に半年掛けて検討し尽くした最悪のパターンを完璧に再現するには、マーナ星系で取り付けても間に合わない事にも思い至る。


「明らかに我が軍の機密情報が漏れています」


 総参謀長の結論に、ヴァルフレートは舌打ちした。


「何人を戦闘艇の操縦者にしたかなど、操縦者本人たちにも伝えておらぬ。遠征軍に、どれだけ連れて行くかもだ。どのようなパターンが最悪かなど、王国上層部しか把握していない。連合がどうやって知るか、答えは明らかだがな」

「王太孫殿下だけで出来る事ではありませんな」


 露骨に名前を出した総参謀長に、ヴァルフレートも殺意の篭もった視線を本国へ向ける。


「レアンドルだけであれば、今回の戦功で王位継承権を入れ替えれば済む。だがラングロワは、証拠を隠滅した後だろう。どう始末を付けてやるか……まずは目前が先だな。戦闘艇の戦力評価を3分の1から10分の1に下げて、戦力評価を出し直せ」

「了解致しました」


 両軍の戦力評価が激変し、100対70が100対112になった。

 その数字を見たヴァルフレートが、思わず呻き声を上げる。

 核融合変換器の増設によって、敵艦の防御力も下がっている。連合の移動要塞を一方的に撃ち落としているケルビエル要塞に次の仕事を与えれば勝てるだろうが、578万の戦闘艇は湯水のように使い潰さなければならない。

 だからといって戦闘艇を収容すれば、連合側に負けてしまう。既に近距離で、ここから撤退する事も出来ない。

 ヴァルフレートは総司令長席から個別通信を行い、ハルトに連絡を取った。


『アマカワ中将、余裕が全く無くなった。卿と精霊結晶は、もっと活躍できるか』


 本当に余裕の無い声で問うヴァルフレートに、ハルトは迷った。

 100対112の数値は、当然ハルトも把握している。

 そして乙女ゲーム『銀河の王子様』で見たエンディングに至るストーリーで、不利な状況から巻き返した方法も見ている。だがそれには、犠牲が伴うのだ。

 戦争終結の分岐点に立っている事を理解するハルトは、迷いながら答えた。

『僅差で勝つならこのままで済みますが、状況を大きく好転させるためには、私が現在装着している精霊結晶が犠牲になります。今後のケルビエル要塞の性能が落ちますが、よろしいでしょうか』

 ハルトの説明を聞いたヴァルフレートは迷い、やがて答えた。


『この会戦に勝てば戦い自体が終わる。卿の損失分は、後に何らかの形で補填しよう』

『了解しました』


 ヴァルフレートとの個別通信が切れた後、ハルトの視線は無残に散る戦闘艇の波から、自らの端末に移った。


『高次元生命体……精霊王セラフィーナ』

『何かしら』


 呼び掛けに応じたセラフィーナは、薄紫の瞳を夜の猫のように見開くと、口角を上げて不敵な笑みを浮かべた。


『精霊結晶を介してでは無く、直接契約して欲しい。そしてこの星域と精霊界との間に界を繋げて、ここを白百合の聖域に変えてもらいたい。星系に存在する全ての精霊たちは、精霊王の影響下に置いてくれ』


 それは本来ハルトが知るはずの無い情報、知るはずの無い言葉だった。

 乙女ゲームでトゥルーエンドに至るストーリーで発生する、ユーナたちが精霊王の力を引き出していたキーワードである。セラフィーナはコレットに付いていた精霊王だが、作中にはセラフィーナの言葉も出ていた。

 ハルトは自らの精霊結晶を掲げると、ケルビエル要塞内に持ち込んだ契約者不在の大量の精霊結晶も想像した。


『こちらの世界に干渉するエネルギー結晶体は、これと要塞内にある精霊結晶で足りるか』


 問い掛けるハルトを薄紫色の瞳で見詰めていたセラフィーナは、やがて決意に満ちた表情で答えた。

『充分すぎるわ。それと次に使う精霊結晶は、深い緑色のにしなさい。ちょっと懐から出してみて』


 ハルトが懐から6つ持っていたB級結晶を取り出すと、セラフィーナはそれを見ながら告げた。


『そうね。ミラなら、他に桜色のフルールと、黄緑色のレーアも付けて大丈夫そうね』

『3体同時の契約か』


 ハルトが繁々と精霊結晶を見詰めると、セラフィーナは実験動物を観察する科学者のような視線をハルトに向けた。

 直後、ハルトの精霊結晶が砕け散って、代わりにセラフィーナがケルビエル要塞内に顕現した。


「きゃああっ!?」


 ハルトの左手側に突然現われたセラフィーナに、左側に座っていたフィリーネが悲鳴を上げた。その悲鳴に斟酌せず、金髪薄紫瞳のハーフエルフは背中から生やした二対の白翼をはためかせ、白い光で要塞司令部を覆い尽くした。

 セラフィーナの光は物理的な障害物を無視して、要塞司令部の外に広がり、やがて要塞内に保管されていた精霊結晶を砕け散らせた。

 するとケルビエル要塞自体が強烈な白光を放ち、輝く霧のような現象を周辺宙域に発生させていった。輝く霧は光速を上回る速度で広がり続け、瞬く間に星系全体を覆い尽くした。

 戦闘中の両軍は、突然ケルビエル要塞から発生した現象に目を見張った。

 そして要塞の巨大な作戦司令本部では、ハルトの左隣でいつの間にか消えた精霊と、それを引き起こしたと思わしきハルトに数千の瞳が向けられていた。

 ハルトは司令部からの注目に構わず、通信端末を操作して、一呼吸置いてから星系全域に通信を送った。


『ケルビエル要塞司令官ハルト・アマカワ中将より、星域の全軍に告ぐ。たった今、精霊結晶の開発者であるカーマン博士の置き土産を起動させた。全軍の精霊結晶の性能が向上して、逆に敵艦の戦闘力は大きく落ちた』


 通信を聞いていた人々の大半は、ハルトからの通信の意味が理解できなかった。

 だが無残に散っていた王国軍の戦闘艇群が、電磁パルス砲の砲撃を悉く避けながら、白光のエネルギーレーザーを一斉に放って連合駆逐艦を引き裂き始めた。

 王国軍駆逐艦は雨のようにレーザーを照射し、連合軍巡洋艦のシールドを叩き壊した。王国軍巡洋艦のシールドが、連合軍戦艦のレーザーを掻き消した。

 王国軍から放たれる白光の矢が、連合艦隊を瞬く間に撃ち抜いていく。

 本来であれば覆せない上位艦種を単独撃破する光景は、王国軍艦艇の出力が、連合軍艦艇の出力を圧倒的に上回っている事を証明していた。

 この現象は、精霊王セラフィーナがマクリール星系に顕現し、この地を精霊界と繋げた事で、精霊達の動きが良くなり、精霊界の魔素を連合が勝手に使えなくなったからだ。と、ハルトは理解している。

 精霊王がその地に宿るため、顕現は精霊王1体に付き一度しか使えない。マクリール星系に界を繋げるセラフィーナとは、ここでお別れだった。


『敵はワープも出来なくなったはずだ。残らず駆逐しろ。以上だ』


 通信を終えたハルトが着席した後、作戦司令本部には沈黙が続く。それでも魔素機関の出力から算出される戦力評価だけは律儀に再計算されて、100対22に再変動した。

 これで戦争は終わったと考えたハルトは、念のためヴァルフレートに個別通信を入れた。


『後はお任せします。主にカーマン博士の置き土産の言い訳ですが』

『やってくれたな。まあ良い。後で打ち合わせを行う。それまで軍事機密と言って、誰にも説明するな』

『了解しました』


 それから半日後、防衛戦力を一方的に掃討されたマクリール星系政府は、ディーテ王国に無条件降伏を行った。

 その後、全ての戦力を失った事を知ったヘラクレス星系が降伏したことで、479年に渡って繰り広げられた人類初の星間戦争は終戦を迎えた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ありがとうセラフィーナ いい女だったぜ
[一言]  S級が神、A級が王、B級が高位貴族(公爵、侯爵、辺境伯)、C級が貴族(伯爵、子爵、男爵)、D級が下位貴族(準男爵、士爵)みたいな感じなのかな?  それじゃあ~A級は一般公開できないはずで…
[一言] しかし、相手壊滅で戦争終結したら貴族政どうするんだろうか? 流石に今までみたいな大規模な優遇は続けられない気がする。
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