表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目指せ! 受験界の西横綱【京都大学】  作者: 明石竜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/9

序章

東大・京大。

ご存知、日本の大学受験における最高峰だ。

学力は伴わずとも、目指そうかなっと一度は考えたことのある高校生も多いだろう。

また、東大に合格出来る学力がじゅうぶん備わりながらも、自由の学風などに魅かれて京大を第一志望で狙う受験生も少なからずいるだろう。


「ぅおーい、謙一ぃ。マグロの目ん玉ケーキ食ってみろ。アイザック・ニュートンのように賢くなれるぞう」

「秀樹爺ちゃん、気持ちはありがたいけど、そんなもん食ったくらいで賢くなれたら誰も苦労はしないから」

五連休明け、五月六日木曜日。

関西圏阪神地区、芦屋で生まれ育ち、この春高校二年生になった柏岡謙一かしおか けんいちは、今朝も相変わらず祖父の秀樹から特製メニューを振舞われた。

「オウマイゴッド、僕、夜なべして一生懸命研究して作ったのにぃ」

「……秀樹爺ちゃん、毎朝、毎朝いい加減にしてくれ」

祖父のいつものこの行為にほとほと困り果てている謙一だが、祖父のことは幼い頃から秀樹爺ちゃん、と親しみを込めて呼んでいる。

明治十年代以降、柏岡家で生まれ育った男、昭和以降は女も皆、東京大学に次ぐ入学難易度と謳われる京都大学に進学していた。五人兄弟姉妹の末っ子として育てられた秀樹爺ちゃんの三人いる姉も皆、京大卒である。  

ところが、昭和十年代生まれの秀樹爺ちゃんがそれを途切させてしまったのだ。彼の一学年上の兄が京大へ進学して以降今に至るまで六〇年近く、柏岡家から親戚一同含めても京大に進学出来た者はただ一人として現れていない。東大は尚更である。

秀樹爺ちゃんは三浪もしたものの京大には己の学力が及ばず、最終学歴は神戸大卒。それでも世間一般的にはじゅうぶん高学歴といえよう。しかし秀樹爺ちゃん自身は柏岡家の一員としての引け目を感じていた。そんな彼は息子、謙一の父に当たる振一郎と、他二人の娘に京大進学の夢を託したのだが……三人ともダメであった。 

二浪経験を経て岡山大学卒業後、私立中高一貫校の理科教師となった振一郎は、息子の謙一を京大に是が非でも進学させようなんていう考えは全く持たなかったのである。それでも振一郎は謙一に一生懸命勉強して将来は国公立大、出来れば大学院まで進んで公務員か教職員か研究者になって、知的で心豊かに有意義な人生を歩んで欲しいという主旨のことを、彼が小学校に入学した頃に伝えていた。

謙一は父のその考えを特に疑問を持つことなく受け入れ、それなりに真面目に勉学に励んで来た。現に彼は今、東大・京大・その他国立大医学部現役合格者を毎年コンスタントに輩出している公立進学校に通っている。さらにその学校の中でも成績上位層が多く集う理系特進クラスに二年次から在籍している。

秀樹爺ちゃんは、そんな謙一に京大進学を大いに期待しているのだ。謙一を京大に合格させてやりたいという思いを、柏岡家の他の誰よりも強く持っている。

ただ、謙一の今の成績では京大合格はとても厳しい状況にあった。そして謙一自身も、べつに京大を狙おうなんて現時点で考えてはいないのだ。 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ