お家へ
お願いの内容を聞いて少しの間硬直していたが、我に返ったところで声をかけられる。
「おい大丈夫か?…まぁ俺も無理言った。すまない。だけど家には来てほしいんだがいいか?和樹の面倒をみてくれたお礼がしたいんだ。」
「まぁそういうことなら…」
「んじゃ決まりだな。いつまでもここにいないで帰るぞ。」
そういって何の気なしにヘリに乗り込んでしまった。もうこの無人島に帰ってこれる保証もなかったのにも関わらずに…
とりあえずヘリの中で今更ながらの自己紹介をされた。そういえば名前知らなかったしね。名前は高崎弘毅というらしいので弘毅さんと呼ぶことにした。
目的地に着くまでは案外暇だったので質問できなかったことを聞いてみる。
「弘毅さん、今の日本では悪魔の扱いってどうなっていますか?」
「今から行くところだからな。はっきり言えば最悪かもしれないな。」
最悪という言葉に気になったが黙って聞くことにした。
「ちょっと前まではそこでもなかったんだけど、最近になってからだな。ヒーローっていう悪魔退治専門の公務員の奴らが見境なく悪魔を刈り始めたのは。あんたみたいに悪魔の中でも話の分かるやつだっているのにも関わらず…だ。」
「そんなことに…」
自分の知っているヒーローというのは、暴れている悪魔を退治するみんなの憧れみたいな感じで、自分も小さい頃はヒーローになりたいと思っていたくらいだった。
「噂でしかないんだが、こんなことになってる理由というのは、ヒーローの増えすぎらしい。要するにヒーローが増えすぎたせいで国が金を払えなくなってきたから、悪魔をどれだけ刈れたか。どんな悪魔を刈れたか、でもらえる金が決まるシステムになったかららしい。悪魔で噂でしかないんだが、この理由だと案外納得がいくんだよな。」
悪魔にとっては地獄みたいな場所なんだろうなと感じた。要はそこらじゅうにヒーローがいて悪魔たちを虎視眈々と狙っている。しかもいくら倒そうがすぐ次のヒーローがすぐそばにいるというね。これで最初にいっていた最悪の意味が分かった。
本当に最悪だな…
「だけどそんな中でも生活を続けている悪魔ならいるぞ。うまく人の目をかわしたりしてたりな。その中の数人は家にいたりするんだけどな。」
「へ~…どんな人たちなんですか?」
こんな質問を投げかけると和樹が答えてくれた。
「いろんな人がいるよ!狐の耳のお姉ちゃんだったり、仏様みたいに腕がいっぱいある兄ちゃんだったり、僕は皆大好きだよ。だから最近のヒーロー達は嫌いなんだ。話せばわかるのに話そうとしないのはおかしいよ……」
「和樹がそんなこと気にしても仕方ないよ。」
慰めれたかな?
ヒーロー達をどうしようかを考える。見る人から見ると悪魔は、すぐに判断できてしまうらしい。何やら悪魔は近づくと殺気を感じるらしいが、自分の場合若干離れていても殺気を感じることができるらしい。
しかし弘毅さんに聞くと隠す方法はいくつかあるらしい。でも今考えても…いやだめだ今考えとかないと日本に着いてからは弘毅さんの家を中心として活動しなければならないと思うから、迷惑だけはあまりかけたくはなかった。
「見えてきたぞ。あれが俺ん家だ。」
「でっけ~……」
目に入ってきたものは広大な土地に豪邸?いや…もはや城?があり、言葉が出なくなった。
アンナノアルンダナー