かけられる言葉
考えるのって難しいけど楽しいよね。
「まずは……赤坂浩二という人を知っていますか?」
この質問から始めてみる。
「赤坂…浩二?…あぁ1年ぐらい前に大事件になったやつだったな。たしか奇妙な殺害事件だったみたいで、今でも犯人を捜索中らしい。だけどなんでそんなことを聞く?もっと聞きたいことならあるだろうに
よ。」
「その犯人や家族はどうしているかわかりますか?」
「こっちの質問には聞く耳なし…か。まぁいいか、犯人の名前は赤坂優月。指名手配犯で息子らしいな、あとは、赤坂直人は長男で、その妹、赤坂奈穂という名前らしい。見たことはないがな。全員がある意味有名だな。」
自分の家族(元だけど)が生きているのがわかってよかった。……自分は…元からいないようなものだったし、元気にしているならそれでいい。
「なるほど…それでは」
「その前にこっちの質問にも答えてほしいんだがな?」
「口応えするなら氷漬け…ですよ。」
「そうしたら聞きたいことも聞けないがな。」
少し嘲笑うかのように答えた。痛いところを突かれたなぁ~、睨みをきかせようとしたとき、和樹がヘリから出てきた。
「ユズキさん…お父さんはこうなると言うこと聞かないから答えてあげてくれないかな?」
(確かに質問に答えないと何も聞けないというのもあるが、いうことを聞かなくなる大人もどうなのかと、しかも実の息子にも言われてしまってるし…なんかしらけたなぁ…まぁ話してみてから考えようかな)
「あまり答えたくはないですけど……仕方ないです。なぜ赤坂浩二という人のことを聞いたかでしたよね。聞いた後に後悔しないでくださいね。」
「へいへい…」
「ホントは自分が質問していたはずだったんだけどな~…まぁいいや。質問していた理由は、自分のフルネームをいえばわかると思いますが、自分の名前はは、赤坂優月。奇妙な殺人事件の犯人らしいです。」
「いやちょっと待て、犯人は男だぞ。お前みたいな女じゃなかった。」
「それにも色々な理由がありまして…」
大体自分の事を話してしまった気がする……話した内容としては、自分の事。家族の事。父親の事。
なんでこんなに話したのか分からないくらい話した。話しているうちにむこうからも自分たちの事について教えてくれた。
長い間、とても落ち着いた気分で話ができたのは、これが初めてかもしれない。今までちゃんとした会話はろくにしたことがなかったから。
話が一区切りしたところで、忘れていた事を思い出す。
「そういえば自分は質問に答えたのだから、こっちからの質問にも答えてくださいね?」
「もう細かいことはいいじゃねぇかよ」
「よくない!」
「お父さんは答えてあげて、ユズキさんも落ち着いて…ね」
ふざけた感じで返した返事に怒りを覚え、殴りかかろうとしたところを和樹に止められた。
「んぁ~なんだ…その~悪気があったわけじゃないんだ…すまん。」
「いいですよもう気にしてないですし。」
「厚かましいようで悪いが、一個お願いみたいなものだが聞いてくれないかい」
妙に低姿勢でこちらに何かを頼んできている。まぁ無理じゃなければと返したのが悪かったのか、思いもよらないお願いだった。
「俺はお前が気に入ったから俺の家族になってくれないか?どうせ身寄りもいないんだから悪くはないだろ?」
「は……い?」
頭が真っ白になってきた。