高山より
さて、俺たちがこの世界に来て二日目になった。
スライムのイケイが、移動方法を持っていなかったので5日としたものの、どうにかしてくるだろう。
俺がダンジョンを作る場所として選んだのは高山地帯の中ほどにある岩と氷がドーム状になっている場所だ。
ここをメインとして、あちこちにアリの巣の様に広げていくのが目標だ。
高山地帯だから訪れる人も少なく、来るのは命知らずかよっぽどの冒険家。
それだから、色々なことが出来る。最初の目標は、自己防衛ができるだけの設備と人員を用意するということだ。
だが、その人員の用意の手配の仕方がわからない。
つまり、モンスターをどのように召喚?するのかがわからない。
……昨日、トモエと話をしたときには特に言わなかったがこれはかなり大きい。一晩寝れば何か思いつくかもと思い寝てみたが、何も思いつかない。
何度か、「召喚」だの「来たれ、ゴブリン」だの言ってみたが恥かしい思いをしただけだった。
俺の特典は、
・遠距離会話(通信前に何らかの通話を知らせる合図を行うもの)
・掘削能力
・腕力強化
・統率能力
・鑑定眼
・錬金術完全習得
・鍛冶技術完全習得
なのだが、何か召喚系の物も取っておくべきだったと後悔している。
仕方がないので、トモエにでも聞こうかとしたら、
《……えーと、ミドリです。ルリと私は無事です。……追伸、召喚の仕方わかる?》
と聞こえた。
タイミングがいい。俺から返信をする。
〔俺だ、ゲンだ。召喚の仕方は俺もわからない。以上だ〕
ふう。どうしようもないから、近くの岩を崩しながら一人でダンジョンを作ってゆく。
ここの土は、主に鉄分が多いようだ。どこかに工房のようなものを作って見るのもいいかもしれない。
すると突然。そう、突然だ俺が掘り始めたドームが少しグラグラと揺れ、穴が開きそこから……。
「よう、来たぞ。」
イケイがやって来た。……よかったドームは壊れていない。
「おい、どうしたんだよ。連絡しろって言うからここまで来たんだぞ?」
「ああ、分かった。お前、上を見ろ」
「上って、……ああすまん俺たちが生き埋めにならないためにも帰りは静かに帰る」
「そうしとけ。で、お前はどうやってここに来た?」
「えっ見てわかんない?地中を泳いできたんだけど」
こいつは、アホらしい。
「案外苦しかった上に、モグラのモンスターもいたから大変だったよ」
モグラのモンスターか、使えそうだな。一人で掘るのは大変そうだ。
「っていうか、俺もだけどダンジョンの作り始めってなんか情けないね」
「まあ、始めたばかりだからな。それよりお前はモンスター召喚の方法は分からないか?」
「えっまだできてないの?」
という、返事で俺はかなりの衝撃を受けたのだった。
「おーい、聞いてるー。って気絶してるし」
次の話も、ゲン視点だと思います。
今日のちょっとした呟き
この同盟は変態ばかりだな……byゲン