プロローグ ②
「なあ、まずは名前とかの自己紹介から始めないか。名前がわからないと話しにくい」
「そういうならあんたから始めなさいよ」
勇気を出して言った一言はブーメランとして帰ってきた。海洋さん、お願いだから半引きこもりのコミュ力不足のもやし製スケルトンにそんなことを言わんでください。思わず涙が出かかってしまいます。
だが、俺は頑張った。泣かなかった。心べっきべきに折れたけど。
「あー、俺は……下の名前だけでいいか?向こうじゃ名字関係なさそうだし」
「それでいいからさっさとしなさい」
「俺の名前は、イケイだ。前のとこじゃ、半引きこもりと高校生をやっていた」
「変な名前ね。私の名前は、トモエよ。前世じゃ、高校生と剣道の次代当主をやっていたわ」
俺の心は粉々なんて言うレベルじゃねえ。
「それはやっていたに入るのか?ついでに前世は止めろ縁起が悪い。俺はゲンと言う。前は、大学生をやっていた」
「えっ、オーガとか巨人とかやってなかったのかよ。」と言おうか迷ったがやめた。俺だと木端微塵にされそうだから止めた。
「じゃあ、お前らの番だ」
そんなバカなことを考えてたら話が進んでいた。
「……私の名前は、ミドリです。こっちは弟のルリです」
「「「弟?妹じゃなくて?」」」
まさかのシンクロ。いや、だけどあれは女の子だろう。なんかゲンさんが「女子だと思っていた俺は一体……たな……」って沈んでいるし。他の3人はフリーダムすぎるし。前途多難とか言う場合じゃねえ。とりあえず話しを進めよう。
「とりあえず、俺が同盟組もうといった理由にスライムのちょっとしたチート性能があるんだがそれについて話そう」
「そういうならよほどの物なんだろう。デメリットはあるのか?そこら辺を先に聞いておきたい」
「ああ、そこを先に言っておくべきかなデメリットは「いい加減にせんかい。一体いつまでお主らは喰っちゃべっておるんじゃ。儂はこの後も仕事があるの。」……先に向こうに行くか」
「ああ」
「ええ」
「……うん」
「(こくっ)」
というわけで隣の部屋にやって来たのだが、あの爺さん「これに特典をかくんじゃぞ。それが終わったら、ダンジョンを置く場所を決めてこの地図に印をつけるんじゃぞ」と言ったら空を飛んでどっかに行ってしまった。天井すり抜けるってあのジーさんすげえんだな。
「なあ、所でゲンの言ってたひどい内容ってなんだよ」
「ん、ああ。俺の種類の鬼な、『食糧は略奪して用意しろ』なんだよ。初期召喚可能モンスターはゴブリンだけだし」
「いやいやいや、略奪は普通でしょ」
「俺さ、向こうでのゴブリンの強さが気になるんだよ。一般人狩れるぐらいなら弱い者いじめになるし、一方的に狩られるぐらいならBAD END確定だろ」
「お前案外、繊細なのな」
「だってよ、一方的に殺すのも悪いし、殺されるのは怖いじゃん」
「そんなこと、特典で書きなさいよ」
「いや、特典は自衛に使いたい」
「……書けた」
「(ぼくも)」
ビビった。純粋に忘れていた。それにしても弟君は声が小さすぎやしないか。突っ込むことじゃないけどさ。
「俺たちも書くか」
「そうだな」
「私もう書いたけど」
「いつの間に……」
大急ぎで俺たちも書き上げた。
ちなみに俺の特典は、
・土属性魔法の完全習得
・魔力最大量増加
・魔力回復速度最速
・転移門設置能力(許可を得なければならない)
・チャット形式の脳内ネットワーク構築能力(他人に触れた瞬間に構築可能)
そして、地図を見てみんなでワイのワイの言いながら決めた。
双子ちゃんが地球の赤道あたりにあるかなり大きな島(まさか、島一つを囲むとは思わなかった)、トモエが双子より少し北の島、俺が近くの大きな大陸の内側、ゲンさんが南半球にあった高山地帯……の洞窟。
全員書き終えたら床に穴が開いた。
「こんなところはテンプレかよ~」