~幼稚園~
久々投稿です。見て貰えれば嬉しいです。
体がだいぶ大きくなり、おれは幼稚園に行くことになった。
幼稚園には行きと帰りに送迎用のバスが出ていて何故か帰りのバスで毎回ジャイアンとスネ夫のような奴にバカにされていた。
「ばーか、ばーか」
「ばかっていうやつがばかだ」
「はーげ、はーげ」
おれの頭はお坊さんのような坊主頭で自分でもちょっとそう思うので反論しにくい。
結局おれは毎回泣いて家に帰っていた。
「ただいま~」
家は玄関を入ると高い天井になっていて、シャンデリア?もどきの照明器具が天井から吊されていた。
今思えば狭い家なのに無駄な所にお金をかける家系なんだな~と納得、見栄だな。
玄関から真っ直ぐ進むと8畳位の居間がある
玄関に居る今でもそこから言い争う声が聞こえてくる。
居間と玄関を仕切る襖を開けると爺ちゃんと婆ちゃんが居間のコタツの定位置に座り言い争っていた。
爺ちゃんは戦争を兵士として乗り切った今の僕の中ではタフガイ爺ちゃんだ。
だけど歳のせいか戦争の時の話しも通信兵の時に雷に撃たれて戻ってきた。
戦争に行ったけど撃たれて直ぐに戻ってきたなど、
あんた何回戦争と日常をいったり来たりしてたんだ!と、突っ込み所満載な爺ちゃんだった。
まあ、ボケてきてた。
そんな爺ちゃんに婆ちゃんがそこの家の嫁いできた娘さんがどうこう、今年は寒くなるからあったかくしてないと、と話しをしても
爺ちゃんは耳も悪いせいで婆ちゃんの身振り手振りと僅かに聞き取れる単語だけで独特の思考回路が出した答えを返して行く。
そこの嫁さんと婆ちゃんが指差した方へ頷きながら
「あそこの川はあぶねぇがらなぁ」
ちなみにその方向に川はない。
爺ちゃん、それは三途の川だ。
あったかくしてないとには、婆ちゃんが爺ちゃんの服を掴みながら言ったのをどう解釈したのか婆ちゃんの手をはたき落とした。
婆ちゃんがそれに怒り言い争いに。
だいたい、いつもこんな流れで2人は言い争っている
僕はそんな2人のコタツを挟んだ向かい側に座りいつもコタツのテーブルの上に置いてある煎餅を食べて言い争いを眺めていた。
ある日いつものごとく泣かされて帰ってきて自分では反論できる言葉が思いつかず、婆ちゃんに泣きながら相談した。
「うぐ、バカ、とがぁ、ひっく、ハゲとがいわれるぅ」
「バカって言う奴にはお前の方が馬鹿だ!って言ってやれぃ」
婆ちゃんは結構きつい性格の人だったから言い方も乱暴な方だった。
馬鹿に対しては言い返した事を話すと、幾分婆ちゃんも落ち着いたようだった。
ハゲに対して教えて欲しいと言ったら、
「坊主なんだからハゲじゃねぇ!って言ってやれぃ、それでも何か言ってきたらぶん殴ってやれぃ!」
婆ちゃん、ワイルドすぎる。
それに坊主頭をハゲだと言われているんだから、何の解決にもなってない。
でも流石に5才児。
そこは盲点だったと思いすっきりした気持ちになっていた。 ぶん殴るのは最後の手段にしようと思いながらその日は眠りについた。
翌日、帰りのバスでジャイアン、スネ夫が例のフレーズを口にする。
「はーげ、はーげ」
その時の僕の心情。
ふふん、それは僕には効かない!きっとこの言葉を聞けば、ジャイアンとスネ夫もハ!?とするはず!
こうして切り札(と思っている)を繰り出した。
「ぼうずもハゲもおんなじなんだよう」
即・反論された~。
結局逆にこちらがハ!?とさせられ、いつものようにハゲと馬鹿にされはじめた。
ぷるぷる震えながら強く拳を握り締めて立ち上がると前の座席から身を乗り出している二人の内、スネ夫に向かって襲いかかった。
その両頬に爪をたて渾身の力で握った。
スネ夫も負けじとこちらの頬を掴み返してくる。しかもスネ夫は更に捻りも加えてきた。
泣きながらもまだこっちは捻ってない事を思い出した俺はスネ夫の頬も思い切り捻ってやった。
「びぇぇぇえ!」
スネ夫がたまらず泣き出し僕から手を離す。ここで仕留める!
その時の戦力計算ではジャイアンには勝てない。ならスネ夫をまず完膚無きまでにしておこう、と本気で思っていた。
スネ夫の泣き声で保母さんが止めに入るまで爪を食い込ませていた。
恐ろしい5才児だ。
それからは馬鹿にされることはなくなった。
ジャイアンはたまにこっちを見てるけど、スネ夫に至っては目が合うとあからさまに避けられた。
結果的に婆ちゃんの 言った通りにしたら解決した。
流石婆ちゃんだ。




