第7章 謎の女
ロウとレイカは少女のところに行き、ホンヤックの実を食べさせ、地図の事を聞いた。
「うん、私が2年位前に流したの」
少女の名はレーヌ・ベル・バーラ(10歳)といいこの村の村長の孫娘だ。
「前にハニーお姉ちゃん、あっ、本当のお姉ちゃんじゃないよ。にもらったの。世界は広い、もしかしたらビンの中に地図を入れて海に流したら、違う国まで流れ着くかも……そう言って、私にくれたの」
「ロマンチックね」
そういった時のレイカの顔は、かつて死神と呼ばれ恐れられたようには見えず、一人の優しく美しい女性だとロウは思った。
「で、また地図を流したの?」
というロウの問いに、彼女の表情は寂しそうな表情になった。
「ハニーお姉ちゃんが、言っていた。マジカール王国には昔、魔王と戦った戦士たちがいて、今も生き残っている方がいる。だから私、この国を秀吉から救ってくださいと書いたの」
「そうだったの……でも安心して、もうすでに伝説の戦士の一人、ドーラ様がお見えになっているから」
「本当!」
「うん」
そのときだった。
「これも運命なのかしらね」
と、ホンヤックの実も食べずにドーラたちの国の言葉でひとりの女性が現れた。
「ハニーお姉ちゃん」
どうやらこの女がハニーという女性らしい。
ロウとレイカは二人をラークの家へ連れて行くことにした。
その頃織田秀吉は、ブラックからの情報を聞いていた。
「すると伝説の戦士の生き残りと、その仲間がこの国へ来ているのだな」
「ああ……それより織田さん、海を越え、西の国の敵は倒したのかい?」
「今ワシが作った人造人間21~24号と、俺の部下となったこの国の兵士20人で攻めに行っておる」
「そうかい」
「ああ、僕も行きたかったな」
爽やかな感じの青年が呟いていた。
「25号、お前は俺のボディーガードだ。だがいずれお前も戦う日が来る。それまで待っていろ」
「はいはい」
「あの時代では負け戦だが、この時代では俺が天下を取る」
鋭い表情で力強く、秀吉はそういった。
その頃ラークの家では、ドーラたちがハニーにいろんな質問をしていた。
「お主はワシらの国……いや、この世界中の国々を知っておるのか?」
「はい」
ハニーは即答で答えた。
「では、世界中を旅したというのか?」
「はい」
「お主の生まれは?」
と、この質問には何も言おうとしなかった。
「そういえばコイツ、3年前にこの村へ流れてきたんだっけ」
「ほう……ハニーとやら年はいくつじゃ?」
この質問にも彼女は何も言おうとしなかった。
「ドーラ様、そして皆様、どうかこの世界を救ってください」
「もちろんじゃ」
「そのためにも作戦会議だ」
「ならまず、あるマシンを破壊してください」
と、ハニーが言った。
「あるマシン?」
「なんじゃそれは?」
「龍馬さんならご存知でしょう。タイムマシンを」
「なんと!そんなものがあるのか?」
「はい」
「なんじゃ?そのたいむましんとは?」
「魔法術で言うならば、時空の術です」
「過去や未来に行く事ができるということじゃな」
「はい。そして織田秀吉は、タイムマシンという乗り物に乗って、過去からこの時代へ来た人間です。あとの5人は科学が生んだ人造人間。ホムンクルスですよ」
誰もが驚きを隠せなかった。
「ところでタイムマシンとやらは、時空の術みたいに、他の誰かを巻き込むのか?」
「それはないと思います。タイムマシンの近くにいれば別ですが……」
「よく分かった。ではまずタイムマシンを破壊しに行くぞ」
「まだタイムマシンのエネルギーを補給しているとこだと思います。でも、あれに乗って別の時代へ行かれたら、厄介です」
「確かにのう……(それにしてもこの女子何故こんな情報を持っているんだ?もしかしたら秀吉の密偵!?)」
「ドーラ様?どうかされましたか?」
「いや、なんでもない。ではそのタイムマシンのところへ案内してくれ」
「はい」
謎の少女ハニーにドーラは半信半疑であったが、彼女の案内で、タイムマシンの場所へと向かうことになった。
果たしてハニーは何者なのか?