第6章 死神の過去
一行はラークの家で作戦を考えていた。
そんな中ロウは、自分の好きなレイカが何故死神なのかと頭の中で考えていた。
そしてこんな事を言ってしまったのだ。
「僕は死神なんかと旅を続けたくない」
そう言って出て行ってしまった。
「ロウ君」
すぐにレイカが追いかけた。
「私も」
と、ロージアも追いかけようとしたが、ドーラに止められた。
「今は二人だけにしてやれ」
「は、はい……」
海辺のところで、ロウは座り込んだ。
「ロウ君、敵が来るかもしれないから、ラークさんの家に戻りましょう」
「……本当にレイカさんは死神なんですか?」
その問いにレイカは険しい顔で答えた。
「……そうよ」
「死神は死んだんじゃなかったんですか?」
「世間では死んだことになっているわ。私が生きていると知っているのは、ドーラ様やロージア、そして今は亡きリュウ様だけよ」
「……」
「でも死神だった自分は死んだと、私自身思っているわ」
彼女はロウに、自分の過去を語り始めた。
6年前、髑髏団は様々な町や村を襲い、金品を盗んでいた。
そして、邪魔をしようとする者たちを、レイカは自らを「死神」と名乗り、殺してきた。
だが、ある日、ついにリュウ・シー・ドーラが動いた。
彼はリスポ隊と、三代目バトルソルジャーを受け継いだロージアと共に、次々と髑髏団を捕縛した。
そして残るはブラックと死神だけになった。
「ブラック、観念しろ」
リュウがロージアを連れて、ブラックを追い込んだ。
「クソ!」
だがその時、派手なメイクに髑髏のイヤリングをし、髪を逆立てた女性が現れた。
死神時代のレイカだ。
「目の前で死んでみろよ」
荒い口調と鋭い目つきで、殺気立て、リュウを殺すつもりだ。
「ロージア下がっていなさい」
「はい」
「レイカ、頼んだぞ(と言ってもコイツでも勝てないだろうがな)」
ブラックは二人が戦いに夢中になっている隙に逃げる気だ。
そして戦いは始まった。
先に仕掛けたのはレイカだ。
炎の魔法でリュウに攻撃をした。
だが、爆風でかき消し、そしてレイカの背後を取った。
だが、レイカは後ろ回し蹴りをし、リュウは紙一重で避けたが、レイカはそのまま回し蹴りをし、リュウのコメカミに当たった。
「強いのう……人では死神には勝てぬか……ならば」
「(何だ!?気の質が変わった……)」
リュウが修羅へと覚醒した。
そして手から電撃を放った。
レイカは横に避けたが、リュウは神速で彼女の間合いに入り、上段蹴りを放とうとした。
レイカはすぐさま両腕でガードをしようとしたが、リュウの足はそのまま下段蹴りへと変化し、彼女の太ももに重い一撃を与えた。
さらに攻撃は続く。
前蹴りが彼女の鳩尾に入った。
「ぐっ……」
だが、レイカも負けてはいない。
リュウの左腕の逆関節を決め、足払い、いや、かかとでリュウの脛を蹴り、投げ飛ばし、地面に叩きつけ、さらにリュウの顔めがけてかかと落としをしたが、リュウは紙一重で避け、電撃を放った。
「ぐわ~……」
二人が戦ってから、一日が過ぎようとしていた。
老いたとはいえ、あの伝説の戦士リュウ・シー・ドーラとここまで戦える者はそうはいない。
「ハアハア……私の負けだ」
死神が降参し、勝負は付いた。
「お前のような本物の戦士に殺されるなら本望だ。この命もっていけ」
だがリュウは彼女にこう言った。
「死神だったお前さんはもう死んだ」
「何!?」
「その強さを消すのは惜しい。だから、これからはその強さ、人を殺すためではなく、人を守るために使ってくれ」
「リュウ様、二人の戦いに気を取られて、ブラックを逃がしてしまいました」
「しょうがない。国中に指名手配書を配るようにリスポ隊の方に頼んどくよ」
「すみません」
「リュウ・シー・ドーラ」
「なんだい」
「わ、私に教えてくれ、人を守るための強さというのを」
「フッ、いいぞ」
リュウは微笑んで答えた。
それからのレイカはどんどんと自分を変えていった。
派手なメイクや髪型などもやめた。
次第に彼女の性格は穏やかになり、優しい目をし、微笑む事ができるようになった。
そして、三代目バトルソルジャー、ロージアと共に正義のために戦うようになった。
人を殺めた罪を償うため、命を懸けて戦い続けた。
死神のレイカは完全に死に、女神のレイカが誕生した。
ロウは彼女の話を、終わりまで静かに聞いていた。
「2年前にリュウ様は亡くなられたけど、私はロージアと共に正義のために戦うと誓った。でも、たくさんの人を殺めた私が、生きていることは許されない……この戦いが終わったら、私はリュウ様のところへ」
「やめてよ!」
「ロウ君……」
「死神はリュウ様の手によって死んだんだ。だから、レイカさんは生きてください」
「ありがとう……ロウ君」
「レイカさん、僕はレイカさんが、す……す……」
好きの二文字が彼は、なかなか言えなかった。
レイカはそんな彼に優しくキスをした。
ロウにとって初めてのキスだ。
「レイカさん……僕、本当にレイカさんのことが好きです」
「ありがとう……私のような女でも好きと言ってくれて……私もロウ君が好きよ。だから貴方には、私じゃなく、優しくて汚れていない女性と付き合って、幸せになってほしいの」
彼女の答えにロウは何も言えなかった。
「大丈夫。ロウ君は優しいから、素敵な女性と出会えるわ」
そう言って優しく抱きしめ、もう一度キスをした。
「さあ、戻りましょう。皆が心配しているわ」
「……はい」
二人が戻ろうとした時、一人の少女が紙の入った瓶を持って、海の方へと歩いていった。
「ロウ君」
「はい」
もしかしたらこの少女が、地図を瓶に入れて、海へ流したのかもしれない。